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彼女たちを守るために俺は死ぬことにした  作者: うんちん丸
第4部 お姫様に寵愛を
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9/9(金) 穂積音和①

 日野さんはやめようと言ってくれてたけど、ちょうど1週間の今日までやりたいってあたしが言った。

 なぜか知ちゃんが号泣した。


 そして朝いつも通り、みんなにあいさつしていく。


 今日の主役はあたしじゃなくて、文化祭実行委員のアピールが目的。だから会長、しおり先輩、芦屋さんも来てくれた。



「あーーーら凛々子。あなたはこういう泥臭い活動がとてもよくお似合いだこと!」


「おはよう、いの。よだれのあとついてるわよ」


「〜〜〜〜!?」



 かいちょーに突っかかった生徒会長が自爆してた。



 たかおみは寝坊し、途中から一緒に立った。

 たかおみに挨拶されて、なぜか先生が号泣してた。


 今まで、あたしは知ちゃんが全てだった。でも少しずつ、世界に温度を感じるようになった。優しい人が思ってたよりたくさんいて、一日、一日、人との対話が不思議で、楽しくて。


 そんな世界を知ったばかりだから。あたし、まだ逃げたくない。



 ふと、中村さんたちが3人で来るのが見えた。あたしを見て、ヒソヒソしゃべって笑ってる。



「おはようございます」


「おっはようございまーす! きゃははは!」



 さっきまであんなに見てたのに、すれ違うとき目が合わなかった。



「……」



 中村さんたちと仲良くするの、諦めないとダメなのかな。



「音和ちゃん、ちょっと話さない?」



 うつむいていると、声をかけてくれたのは日野さんだった。



「二人で抜けようよ」



 と、ウインクされる。



「会長、知実くん。ちょっと音和ちゃんが体調悪そうなんで、少し休ませて来ていいですか?」


「!?」



 あたしまだ返事してない! ちょっとへこんだけど、全然大丈夫なのに。



「大丈夫か? 穂積」


「どした、無理するなよ?」



 会長も知ちゃんもあいさつを止めて、心配そうにあたしに声かけてくれた。そこに、構わず日野さんの腕が絡んで来る。



「じゃああと少しですが、よろしくお願いします。音和ちゃん借りてきまーす☆」



 すみに置いていたカバンを拾って、強制的に引きずられていく。


 しかもそっち昇降口じゃない……。あたしどこに連れて行かれるんだろ……。



「ん? 今、連れて行きますじゃなくて“借りて行きます”って言わなかった?」


「あいつ嘘下手なんですみません」



 知ちゃんが頭を下げてるっぽいのが遠目に見えた。

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