表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女たちを守るために俺は死ぬことにした  作者: うんちん丸
第4部 お姫様に寵愛を
165/301

9/8(木) 穂積音和③




「どした音和、遅れるぞー」


「ない……」


「おべんとー? あたしさっきたくさんパンもらったから、よかっ」


「上靴が、ない……」



 あい活!を終えて昇降口に行くと、昨日、ちゃんと置いて帰ったはずのサンダルがなかった。



「どこに置いたんだよ、まったく〜」



 知ちゃんはそう言いながら、1年の靴箱に来てほかの人の靴箱を見てくれた。


 でも昨日もここから帰ったし、間違えるはずないんだけど……。



「他のクラスのロッカーも見てみるよ!」



 日野さんがロッカーの向こう側へと行ってくれる。



「時間あんまりないし、音和は職員室でスリッパ借りて来い。その間、俺たちで探してるから」



 こくりと頷いて、あたしはソックスのまま職員室へ走った。

 担任の先生に少し怒られたけど、来客用のスリッパを借りることができた。大きすぎて歩くとパタパタと音が鳴る。


 昇降口に戻ると、知ちゃんも日野さんも首を横に振った。


 こんなこと一度もなかったのに……。なんだか嫌な予感がする。



 クラスは変わりなかった。いつも通り喋らない人とは喋らないし、話せるようになった人とはひとことふたこと話す。


 チャイムが鳴って、担任の先生が来て、ホームルームを受ける。スリッパはいてることについて誰かに何か言われるとか心配だったけど、そういったこともなく、あっけなくホームルームが終わる。


 1限目は担任の先生の授業だから先生はそのままクラスにいた。その間も何もなかった……。


 もしこれがいじめだったら。漫画なら制服隠されたりとか、教科書破かれたりとか。デスクに落書きされたり、ゴミかぶらされたりとか。そういうの見たことあったから怖かったけど。そんなことされたら、絶対泣くと思ってたけど。何もないってことは、あたしの考えすぎだったのかな。そうなら、どうしてサンダルがないんだろう……?




  ◆◇




 1限が終わってひとまず教室の外に出た。2限も教室だし、時間ギリギリまで上靴を探そうと思った。


 でも、ひとりで探すの心細い。知ちゃん手伝ってくれないかな……。1階の3年生の教室前の草むらとか怪しいけど、あそこ、一人で行きづらいし。


 教室前の手すりから下の草むらを眺めていると、スマホが鳴った。




 知ちゃん

 ----------------------

 ウチのクラスのやつが自販

 機でおまえの靴見つけたっ

 て。

 今預かってる!

 ----------------------

 9:52




 良かった!

 すぐ行くって返事して、階段へと走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ