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8/11(木) 部田凛々子①

「ねえ、チュン太。あたしはなぜ誕生日にあんたと二人で、公園なんかにいるんだろうか」


「それは凛々姉の努力が足りな……って睨まないでください」


「あんたがおもしろくないこと言うからよ」


「はいはい、すんません……」



 キャップをかぶり、Tシャツ短パンの小学生男子みたいな格好をした凛々姉は、ベンチにどかっともたれかかり、大空を見上げて大きくため息をついた。


 俺たちが木陰にある1つだけのベンチを占領し、目の前の滑り台を眺めながらケーキを食べていた間、誰も公園に訪れることはなかった。それはお盆だからか猛暑だからか。……単に俺たちが暇人すぎるから、という結論には至りたくない。



「とりあえず、ケーキありがと。おいしかったよ。おばさまにもお礼よろしく」


 今日は凛々姉の誕生日。以前学校で「誕生日よろ」って釘刺されていたから、外出許可は2日間取っていた。


 もし今日のことを忘れていたりしたら、世にも恐ろしいことになっていただろうな。


「おう、伝えておくよ。じゃ俺はこれで」


 さて、誕生日も祝ったし歌も歌ったし。これでもう約束は果たせたな! 病院に戻ってほたるに会いに行こう。


「待ちなさい」



 立ち上がった俺の手ががしっとつかまれる。



「チュン太」



 振り返ると、凛々姉はニヤリと笑った。



「な、んでしょう……」


「どこ行く気?」


「いや、帰る……」


「ヒマ、よね?」



 な、なぜだ。足が動かない……だと?!



「まだ午前中だし、ちょっと出かけるわよ」


「凛々姉も誕生日で忙しいと思うし、俺、そろそろおいとましよっかなーって……」


「ホラさっさと行くわよ」


「って強制ーー!!? 待て、待て待て待ってー!」


「ああ?」


「その顔怖いやめてー!」



 この人、友だちいないのかよ!

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