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救出作戦

ミリタリー描写に間違いがあればご容赦ください。

幸いにもコロナウィルスの蔓延に見舞われてこそいないものの、それを除けば我々の知る地球の日本をはじめ様々な並行世界や異星が未知の天体に飛ばされてから数年。


高度な文明水準を誇る科学・魔法文明が存在すると同時に、魔法などのお陰で同時代と比べて生活水準が上であるものの中世程度や魔法が存在するだけでそれ以外は中世ままの文明など技術や社会水準に大きな隔たりのある天体上。


暴走する無人兵器や無政府地帯と化した地域、高度な技術力を持ち侵略のために星の海を越えてきた異星の侵略軍や相互理解不能な悪魔のような知的生命体などの問題を抱えつつも、ある程度の国際秩序の構築に成功した天体上では、技術レベルの低い地域に対してODAやきちんと現地の法律で裁かないなどの保護をしたうえでNGO・NPO団体などによる発展途上国未満のファンタジー系の地域に対しても発展援助が行われるようになっていた。


しかし、日本ではない国のNGO団体が農村での農業支援や医療支援を行っていた折、ゴブリンの襲撃を受け、村人ともども拉致されてしまう事件が発生。現地の軍隊や冒険者と呼ばれる怪物狩り専門の民兵が救出のあてにならないと判断した当該国は、現地国民の救出と保護のために陸軍レンジャー部隊を派遣した。


深夜12時を過ぎた森は、深い闇に閉ざされ静寂に包まれている。ファンタジー特有の大型生物もこの付近には住んでいないため、動いている物は精々夜行性の鳥や小動物、虫くらいなものだ。そんな闇の中に金色に輝く4対の目が見える。


その正体は成人しても子供ほどの矮躯しかもたない亜人---ゴブリンであり、鋭利な槍を構え住処の洞窟の入り口に歩哨として立っていた。ゴブリンと呼ばれる亜人---というよりはヒューマノイドか‐‐‐の中にも高い知性を持ち、人間との相互共存が可能な存在もいるものの、二人組のゴブリンはある程度の知性を持った野獣に分類されるゴブリンだ。


野獣といってもそれなりの知能を持ち合わせているため、夜寝ている間は3時間交代で歩哨を立てる程度の知恵は回るし、見張りを退屈とみなすゴブリンが多い中、しっかりと周囲を警戒するなど大抵のゴブリンよりは頭が回るほうだろう。ただし、その警戒が意味を成したかというと別だ。歩哨の警戒の上を行く隠形の術で接近されていたのだから。


突如としてゴブリン歩哨は、地に倒れ伏した。頭部から奇怪な緑入りの血を垂れ流しているところを見ると、頭を射抜かれたのだろう。頭を射抜いたものの正体は、.300BLKと地球で呼ばれている正確に言えば違うものの7.62mm系統の弾丸である。


それを放ったのは、ゴブリンに誘拐された自国の民間人を救出に来た某国のレンジャー部隊だ。彼らは、森林迷彩服を纏った上で周辺の植物をギリースーツ代わりに身につけ、顔面にドーランを塗りながら茂みや木々に隠れて潜んでいた。ゴブリンが嗅覚が発達していることを警戒して風上に潜んでだ。


発砲してから暫く警戒していた彼らはほっと気を緩めた‐洞窟での戦闘を想定して用意されたカービンにはサプサッレーがついているが.300BLKクラスの弾丸だとアニメや映画のように完全に銃声を消しはしないため、現地からの情報にそんな特徴はなかったものの、万一聴覚が発達していれば今の銃声で大量のゴブリンに攻められる可能性があったためだ。勿論洞窟内で侵入者を待ち構えていた場合は別だ。


これはアニメや映画ではなく現実であるから主人公の都合のいいように物事は進みはしないし、相手も知能をある程度持ち合わせているなら油断できはしない。


襲撃を受けた村の生存者からゴブリンの根城らしく洞窟を聞いた陸軍レンジャー部隊は昼のうちに偵察を終え、ゴブリンの巣を特定すると3班に別れて深夜人質救出作戦を開始した。


1班は洞窟に突入するチーム、2班は洞窟の外に待機する援護チーム。3班は、ここから離れたところで偽装しながら待機している車両部隊であり、脱出に備えている。洞窟の前まで車両で乗り込めば、走行音やエンジン音で警戒されてしまうからだ。


ゴブリンという怪物に警戒しすぎかもしれないが、不測の事態を想定するのが現代の軍事作戦であり、怪物との交戦経験を持つファンタジー系の軍や冒険者でも同じことをするだろう。単に強力な特殊能力を使えるがゆえに有能と持て囃されている人間ならともかく、まともな戦術眼や命令遵守に基づいて行動する集団ならば、弱いと言っても怪物を警戒しすぎるにこしたことをないことを知っているからだ。



歩哨を排除した突入版が洞窟目掛けて突入する中、指揮をとる士官もしくは下士官は内心で面倒臭い任務だと愚痴をぼやいた。


確かに自国民の保護は大切だとしても、怪物のねぐらに人質のいる状況で突入して人質を傷つけずに倒すなど厄介な任務だ。おまけに大型動物の存在は確認されていないと言っても、最悪ドラゴンなどと遭遇する可能性もあるのだから。


士官もしくは下士官は人質を死なせる可能性があるため使用に許可はおりなかったが、ゴブリンに効果があるかはともかく、催涙ガスを洞窟全体に充満させて、身動きできない状態で突入したかった。それに救出対象も怪物に捕食されているか、なぶりごろされている可能性が高いから死体と対面する嫌な任務だ。


そんな風に指揮官はぼやきながらも、救出作戦は順調に進んだ。暗視装置だと視界を狭めるため裸眼で洞窟の中を確認しながら進み、ゴブリンが仕掛けた鳴子や槍衾、トラバサミなどの悪辣なブービートラップを解除し。ゴブリンの住処に暗視装置を装着して踏み込み、赤子に至るまで殲滅した。


その上で攫われた村人とNGOの生き残りの確保に成功した---最もゴブリンに食い殺されたのかほんの数人しか生き残りはいなかったが。


なにはともあれ、陸軍レンジャー部隊は救出作戦に成功したのだ。









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