法律
日本政府は、急ピッチで霊能力や超能力の使用制限に関する法律の整備に向けて動いていた。
これは、何もこれらの能力者を差別する目的ではなく、能力を使いこなせない人間との相互共存を実現するためや不正、事故防止のためでもある。
霊能力、超能力いずれにせよ、高い殺傷能力や人間の精神に干渉し、洗脳や思考を誘導したり、記憶を読み取るなど普通の人間からすれば脅威となる能力を備えている。
そういった能力者との相互共存を行うためには、やはり能力の使用制限が不可欠となってくる。能力を持つものと持たないものとの間の共存を実現するための使用制限だ。
また能力の中には、記憶や考えを読み取れる能力や未来予知能力があり、それらを利用して株や競馬などで利益を不正に得ることを防いだり、瞬間移動能力を行使できる人物が突然道路や歩道に出現したことで乗用車や歩行者との接触を防ぐなどの不正、事故防止の目的もある。
能力の使用を制限する法律の制定を目指すと言っても、なにもこの法律のみで能力者を取り締まるわけでなく殺人罪や洗脳の類ならば障害など通常の法律とも組み合わせる形で運用されるし、緊急避難や正当防衛による使用も認めるつもりだ。医療に応用できるなど専門的な資格を取得さえすれば、能力を決められた範囲での行使も可能となるから、能力者を締め付けたいわけではない。
中には能力を自由に使用できないことに不満を抱くものもいるだろうが、これは相互共存のために必要な措置なのだ。
最も能力の使用制限を課す法律が制定、施行されても暫くの間は幽霊や妖怪への対応のために霊能力者の一族などは例外的に民間協力者として政府の監督のもと、能力の行使を許す見込みだ。
但しいずれは心霊現象などへの対応も政府機関が主導として行いたい考えだ。あるいは民間の心霊現象専門の駆除業者や猟友会のような形に落ち着くかもしれない。
政府に協力している霊能力者の一族は確かに比較的に真っ当な存在であるが、それでも霊能力を使えることを理由に犯罪などに手を染めていた霊能力者一族がいるため完全に信用できず、真っ当な霊能力者一族の中にも小学生の時から戦闘訓練を行っていた一族もいるからだ。
そもそも国家とは、暴力を独占することで成立する存在だ。
警察や軍隊という暴力を国家が有するからこそ、法律などに国民を従わせることができる。
日本政府は、超能力者や霊能力者を差別する気はないが、それらの能力者に治安を維持する能力を一部だろうと譲る気はなかった。
霊能力者といえば、これに関連して証人保護プログラムのような法律を制定するべきという動きもある。霊能力者や魔術師、または妖怪などから民間人の生命を守るためにだ。
霊能力者や魔術師からすれば何らかの儀式に最適な霊的、魔術的な素質を持つためや妖怪からすれば極めて美味な要素を持つために民間人の生命が狙われているという事例も報告されているために民間人保護のために政府が動くべきという考えからだ。
特に霊能力者や魔術師の場合は、大量の死者を出しかねない儀式を実行に移すために民間人を追い求めた事例もあり、証人保護プログラムの類は必須だろう。
未知の天体に飛ばされた日本では、これまでにない法律についても議論が交わされていた。
誰かこれをもとに民間の除霊業者とか、付け狙われてる民間人をまもる警官とかかいて。