表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
九月の出来事B面  作者: 池田 和美
8/8

九月の出来事B面・蛇足

使用上の注意


 蛇足の使用に当たっては一度本編を読み終えてからの方が適切と考えられるので、まず本編をお読みください。

 なお蛇足の「行」は本編の当該行の目安で(作者の数え間違いや書式変更などで)多少前後していても広い心で利用していただければ幸いです。

 そしてお知らせしますが、この作品に登場する人物、団体、事件などは、実在の物とは関係ありません。また、たまに物理法則を無視する時もありますが、面白さ優先の法則で、これまた広い心で許していただければ幸いです。


★九月のB面①

 ●夢のパート

  1行:発車ベル

   昔は本当にベルがジリリリと鳴っていた。あの新幹線ですらそうだった。今みたいな音楽になったのは、たぶん平成元年だったような…。私鉄が華やかな関西圏では、もっと早かったかもしれない。

  2行:国電

   今ではジェイアールと呼ぶことに慣れましたね。一時期あった「E電」なる言葉はいずこへ? たまに和美の口から出て、周囲から「昭和」と言われる(シクシク)

  40行:学生運動家

   昭和から平成になり、とうとう令和の時代だというのに、いまだに存在しているらしい。いや、まあ若者が自分の主張を発信するには色々な方法があっても良いとは思いますけどね。

  47行:東京に戻る列車

   総武線の東京から離れた地域では、まだ蒸気機関車牽引の客車列車が主流の時代と設定している。かといって、どの形式の蒸気機関車がどんな客車を牽引していたかまでは調べていない。取手駅以北だと、京都鉄道博物館での動態保存が有名なC六二が特急「みちのく」を牽引していた頃だと思う。電気機関車だと上野駅発の長距離列車で交直流両用電気機関車EF八〇が活躍していた頃だ。合間運用の気動車かもしれない。

  56行:ミネさんがドイツ語で…

   今回は出番が多かった言語。まあ、和美の中二ゴコロが擽られるからなんですが。

  64行:全学連

   学生運動家たちの組織。今でもあるらしい。

  同行:アノ方

   特定の誰かを決めて書いたわけでは無い。実在した当時の有力者の誰かでもいいし、まったくの空想上の人物でもいいし。

  73行:歴史書に書き残される…

   まあ「学生運動という物がありました」という形で教科書には載るようになりました。

  76行:ブント

   ドイツ語。日本では共産主義者同盟の事を差すことが多い。夢に出てきたこの時代には各派閥に分裂していると設定した。この後再結集して安保闘争が再び激化する、嵐の前の静けさの時代。

  82行:「だれなんでしょう」

   洋子はドイツ語が達者では無いので平仮名表記にしてみました。以下も同じである。

  96行:「秘密国家警察(ゲハイメ・シュターツポリツァイ)

   いわゆるゲシュタポってやつだ。非人道的なあれこれをやらかしたらしい。ハリウッド映画では大抵悪役である。

  142行:「…女神の様に神聖視する人…」

   学生運動の犠牲者、樺美智子さんの事か? 検死では圧死であったようだ。もちろん学生側は警察機動隊の暴行説を唱えた。

  160行:「安保阻止はできなかったが…」

   安保闘争という日米安保条約に反対する学生たちの運動が二回あったのだが、後に出て来る三三万人デモという単語と合わせて、六〇年安保の時であろう。デモの結果、責任を取ると言う形で第二次岸改造内閣が総辞職した。岸元首相といえば、安倍晋三元首相の祖父である。日米安保の方は現在も維持されているので、結果論的だが冷戦時代の日本に必要だったのかなかったのかが分かる。

  176行:受験のために勉強を…

   昭和の時代、女性は短大が当たり前という風潮があった。まあ新聞では「増える女子大生」なんて記事も書かれたこともあったが、男社会に女性が入り込んできて目立ったからだ。そんな中、大学へ進学したとなると、洋子の実家は地元でも裕福な家庭と推察される。

  184行:「また日本が戦争に巻き込まれたら…」

   時代背景は、アメリカがベトナム戦争で苦しんでいて、ソビエト連邦と核戦争一歩手前まで行ったキューバ危機の直前と考えている。「もはや戦後ではない」と経済白書に書かれた一九五六年よりもずっと後だ。経済成長真っただ中の時代である。

  192行:「…爆弾が降って来ない平和な町を」

   東京大空襲は一九四五年三月一〇日で、死者数は一〇万人以上である。この内に軍人も含まれるが、大部分が民間人である。ドコゾのチョビ髭がガス室にユダヤ人を送り込んだのと、何が違うのだろうか? これも勝てば官軍なのだろうな…。

  219行:「『だるまさんがころんだ』だな」

   このセリフでミネさんは関東圏の出身と考えることができる。関西圏ならば「ぼんさんがへをこいた」だろう。


 ●アキラのベッドのパート

  9行:変な夢を見るような機械。

   じつはすでに開発済みで『清隆学園の夏休み』収録の『幕間④』に登場している。それどころか来月にはパワーアップして再登場する予定。

  57行:高校へ進学してソッチ方向へデビューしたわけではなかった。

   まあ性的マイノリティには寛容な時代になりましたね。かつてはそれだけでマンガのネタになった物だけど、今じゃそういうキャラクターが混じっていても当たり前といった感じ。ちょっと古いマンガ、白いワニの元ネタで有名な江口寿史「ストップ!ひばりくん!」なんかも、ひばりくんが普通の女の子だったら、普通のラブコメだもんな。

  72行:そんな説明を沖縄の人に…。

   別に沖縄や津軽の人に説明しなくてもいいとは思う。「君が何を言っているのか分からない」を適当に方言へ変換してみました。現地の方が読んだら違うと申されるかもしれませんが、まあいい加減な方言変換ということで許していただけないだろうか。

  96行:精神は普通の男子だったから、相手も普通に女子であった。

   性的マイノリティの方に噛みつかれるかもしれない一文。でも大多数の男性が、大多数の女性に恋することが多いのだから「普通」という言葉は使用してもいいと思う。言葉の定義って難しい。和美は男子が男子に恋をしても良いと思うし、その逆も別に構わないと思っている。大事なのは長く愛し合える関係になれるかどうかだよね。

  140行:ジュール・ベルヌ

   サイエンスフィクション界の偉人。宇宙旅行から時間旅行まで、ほとんどのパターンを書き残しており、一説未来人の伝説すらある。特に『月世界旅行』は、それがなければ宇宙開発が成されなかったのではないだろうか。宇宙ロケットの開発に携わった人々のほとんどが『月世界旅行』を読んで、宇宙旅行を夢見ていた。ゴダード、ツィオルコフスキー、オーベルトみんなそうだ。

  159行:婚約者のお見舞いの帰り道。

   前回の『八月の出来事B面』参照。

  166行:マスターに五人分の死体を集めて作られた。

   ヒカルはもちろん本文で説明している通り『クリーチャー』なのだが、五人分の死体を合わせて『構築』されたという設定である。

   さて、ここでは彼女を構成するその五人をここでは推理してみよう。

    スキャッターショット・攻撃指揮官

    ノーズコーン・砲撃員

    ストレイフ・狙撃員

    ライトスピード・探査員

    アフターバーナー・射撃員

     って、それじゃあ「トランスフォーマー」のテックボット部隊、合体戦士コンピューティコンじゃん!

  176行:肘から先がよく飛んで行ってしまうのだが

   今回はロケットパンチの出番なし!

  216行:「なにをするつもりだ?」

   そんなこと分かり切っているじゃありませんか。ヒカルも分かっていて訊ねているのだろう。

  292行:「問答無用!」

   やはり犬養毅みたいに「話せばわかる」と言わせるべきだったか? ちなみにまったくの余談だが、犬養毅は童話「桃太郎」に出て来るお供の犬の子孫らしい。


 ●海城家朝食前のパート

  34行:ジョン・メイトリックス

   アメリカ陸軍元大佐。男性。娘をテロリストに人質として取られて大変な目に遭った事がある。ショッピングモールの警備員に「筋肉もりもりマッチョマンの変態だ」と比喩されたほどの恵まれた体躯の持ち主。彼自身も冗談のセンスが秀逸で、数々の名言を残している。彼の名言の中で和美が好きなのは「連れを起こさないでくれ。死ぬほど疲れてる」

  119行:ウエストポーチのような物

   拳銃のホルスターである。こちらには黒い自動拳銃である「ギルティ」が入れてあると思われる。前回辺りから膂力に衰えが出てきたヒカルは、反動の大きい「イノセンス」の携帯を諦めているのかもしれない。…それか清隆学園の男子寮で手に入れたエアーソフトガンの可能性もあるな…。

  161行:発表された論文

   前回の『八月の出来事B面』と、『清隆学園の三学期』収蔵の『一月の出来事』参照。今回は『九月の出来事B面』と言いながら、来年冬に起きる事件の裏話ばっかりだったりする。

  177行:過酸化水素水を加熱して得られる気体

   読者諸兄は分かっていられると思われるが、いちおう記すと「酸素」が正解である。小学校の実験レベルの問題だ。

  195行:いちおう県立大学の生命工学研究所と連名

   何にも権威という物は必要だ。よって市井の研究家がポッと発見した事が論文に纏められても、なかなか認められる事が少ない。これを防ぐ方法として、すでにその方面の研究をされている学者の名前を借りて論文を発表する事は多い。この場合も、ただの高校生が書いた論文では学会から見向きもされない可能性があるので、研究所と連名という手段を取ったのであろう。


 ●海城家朝食後のパート

  34行:不老不死とは言っても殺されたら死ぬのである

   『施術』による不老不死にはいくつか条件がある。月一回程度『生命の水』を接種しなければならない。常人ならば死亡するような大怪我をしても容易く治すことはできるが、即死するような大ダメージには敵わない。そして『生命の水』を接種していても、少しずつ肉体は老いて行くので、ある程度経ったら新しい肉体を作り、そちらへ記憶などを移さなければならない等である。

  45行:聖障壁(イコノスタシス)という見えない壁

   仮にアキラたちがそう呼んでいるだけで、天使側は特に呼称は設けていない。

  120行:科学と対極な呪術的で魔術的な方法だった

   何だっけ? 「あまりにも進んだ科学は魔法のように見える」だったっけ? クラークさんの原則だったような…。

  143行:四苦八苦

   仏教用語。毎回、和美がノートパソコンの前でこうなっている。四苦はヒカルの説明の通りだ。八苦は、その四苦に「愛する者との別離」「憎悪する者との出会い」「求める物が得られない」「人間の心と体がままならない」という四つを加えて八つの苦しみとする。

  184行:白膏学苑

   詳しくは『清隆学園の三学期』収蔵の『一月の出来事』参照。

  209行:「朱雀と玄武は無いのか?」

   まあ青龍、白虎、朱雀、玄武と四つで四神と呼ばれるセットだからなあ。ヒカルの疑問も当然である。そして、まだ朱雀と玄武の設定は出来ていないので、出す予定はない。特に朱雀は、そのものズバリの名前をした学校が実在するので難しいと考えている。

  215行:ヒカルはキョトンとしたまま…。

   機動戦士ガンダムの放映が、昭和五四年。一大ムーブメントになったガンプラの流行が翌年の昭和五五年あたりだが、ヒカルはその頃日本にいなかった可能性もある。それに男の子の流行を把握していろなんて、その年頃の子供が家族に居れば別だが、普通の女性には無理難題だろう。当時ガンプラはどこも売り切れ続出だった。隣町の模型店にしか入荷が無くて、わざわざ出向いても一人一点という制約だった。和美も友だちの代わりにジムを買った思い出がある。

  263行:「あん時は、気持ち悪くてな」

   詳しくは『六月の出来事B面』参照の事。明実が余分に作った手足のせいでアキラの脳へ負担がかかって、気持ち悪そうにしていた。もしかしたら卵巣奇形腫によって引き起こされる抗NMDA受容体抗体脳炎のような状態になっていたのかもしれない。

  296行:瞬時に五桁同士の掛け算を含む計算を暗算でこなし

   また和美は空想上の人物だから大げさな設定を考えて、なんて思う方も多いかもしれませんが、同級生に居たんですよ本当に、これだけの暗算能力を持った不良少年が。あれで生活態度が真面目だったらどこかの大学で数学を研究していたに違いない。

  381行:研究所にて養生生活

   詳しくは『四月の出来事B面』参照の事。

  409行:「まず、あたしだろ…」

   以下に会話の中に出て来るのは、いわゆる怪盗というやつである。

    怪人二十面相:江戸川乱歩創作のおそらく老若男女問わず日本で一番有名な怪盗。

    ホッツェンプロッツ:ドイツの怪盗である。「おかあさんといっしょ」内で放送された一九七六年制作の人形劇の出来が良かった。

    快盗天使ツインエンジェル:現在パチスロになるアニメが多いが、逆にパチスロ先行のオリジナルアニメである。放送は二〇一一年。

    怪盗キッド:今や毎週死体が転がるという国民的アニメ「名探偵コナン」と同じ青山剛昌「まじっく快斗」の主人公、黒羽(くろば)快斗(かいと)がその正体。

    ルパン三世:おそらく怪人二十面相と肩を並べるほど日本で有名な怪盗…、いや大どろぼう。アニメ放送は一九七一年開始と言うんだから長いシリーズである。というか四世か五世に代替わりしても怒られないと思うのは和美だけでしょうか。

    キャッツアイ:北条司「キャッツアイ」に登場する三人組の怪盗である。同じ原作者の作品である「シティハンター」の劇場版で、両者の夢の競演がなされた。

    神風怪盗ジャンヌ:元は「リボン」で連載されていた種村有菜の連載少女マンガ。一九九九年にアニメ化された。

    怪盗セイント・テール:元は「なかよし」で連載されていた立川恵の連載少女マンガ。一九九五年にアニメ化された。

    怪盗ラパン:元は「まんがタイムきららMAX」で連載されているKoiの「こころがぴょんぴょん」するマンガである「ご注文はうさぎですか?」に出て来る劇中劇のキャラクター。「ご注文はうさぎですか?」は二〇一四年から数期にわたってアニメ化されている。

    (あいだ)抜作(ぬけさく):これは難易度が高め。元は「週刊少年ジャンプ」で連載されていた、えんどコイチの連載ギャグマンガ「ついでにとんちんかん」の(いちおう)主人公。

    怪盗とんちんかん:上記の間抜作がリーダーを務める三人組の怪盗である。とはいっても盗む物は高価な物どころか安価・無価値な物ばかり。追っ手である警察にすら「もっと高価な物を盗め」と言われる始末。「ついでにとんちんかん」は一九八七年にアニメ化された。


 ●ヒカルの部屋でのパート

  23行:椅子の背もたれに銀色の銃が…

   おそらくヒカルが『四月の出来事B面』から使用している「イノセンス」であろう。ヒカルはこの他にもチーフスペシャルを模したエアーソフトガンも持っている。他のベッドの下に入れてある旅行鞄は身の回りの品で、黒いナイロン製の大きなケースというのは『五月の出来事B面』から登場した短機関銃のケースだ。

  52行:「ちょっとしたバイト」

   『五月の出来事B面』参照。ふと思ったのだが、あの時に稼いだお金でヒカルは身の回りの物を色々と揃えたと思うのだが、アキラにはお金が入ったのだろうか?

  59行:(こうやって普通の人には知らされない内に、色んな事態が進んでいく…)

   東京だと近所の火事すら知らされない事がある。鉄道沿線でダイヤの乱れがあったとか、死傷者が出ればマスコミも報道するが、ボヤ程度では知らされない。電話で問い合わせてもダメ。このネット社会になったのだから、少しぐらいは情報を上げてくれてもいいだろうにと思う。夜中にサイレンを鳴らして緊急車両が走っていくと、知り合いではないだろうかと不安になる。まあ個人情報保護など難しい問題もあるのだろうけど。

  62行:心臓に注射針

   重傷者を助けるためにアキラ自身が取った行動。詳細は『五月の出来事B面』参照。

  68行:「怪我をしたのは、おまえがマヌケだからだ…あん時のあたしゃ、無傷だったろ」

   えーと、たしかに『五月の出来事B面』では無傷だったような気もしますが、他の事件の時は、怪我をするのはヒカルの方が多いような気がする。とくに天使と戦った時は死にかけていたはず。

  131行:「これって、三回見ないと繋げねーの?」

   前回はブロンドの髪をした下着っぽいエロ衣装を着たネエチャンというエロ画像でした。裏情報のサイトを見ていて、第三者がやってきて慌てて画像を隠しても、誤解を誘導するようになっているようだ。

  156行:中年事務員の物真似

   コントをしているのではなく、視力にも障害が出始めているようだ。理由は次項。

  214行:ヒカルの『マスター』が作っていた『生命の水』と、明実の物では…

   ヒカルのマスターが作った『生命の水』ならば老化はまだ始まらなかったと思われるが、いまは明実が製造する『生命の水』を使用しているので、白髪や筋力の衰えなど始まっている。ちなみに目は最初に老化が始まる部位なんだそうな。

  243行:どうやら馬鹿にされたようだ。

   ヒカルが警戒した理由が分からないから馬鹿にされているのではないだろうか。まあ朴念仁までは言わないけれど、ちょっとアキラも鈍いよね。

  278行:「この業界で…」

   どんな業界なのだろうか。少なくとも普通に就職活動を受け付けている業界ではないだろう。まあフランスの外人部隊とか、そういうキナ臭い仕事に就いた後だと、お声がかかるような気がする。

  289行:「せかい? 標準語? 英語じゃねえの?」

   さすが陽の沈まぬ帝国。南太平洋のピトケアン諸島や南大西洋のフォークランド諸島、あと領有を宣言している南極地域とか、全てを考慮すると、いずこかの土地が昼である。

  300行:七つの大陸とか七つの海

   おそらく小学校の社会でやる範囲。でも昔は「七大陸」と教えたが、いまは「七大州」と教わるらしい。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、南極である。七つの海は時代や国や地域により変化する。アルボラン海、イベリア海、リグリア海、ティレニア海、イオニア海、アドリア海、エーゲ海とか言っていると「どこのアカイア人ですか?」と訊ねられる事でしょう。

  362行:「その二つは似てるから…」

   実際に喋っている人たちは否定するだろうが、語学力が壊滅的な和美から聞くと似た言葉である。もちろん個人の感想です。

  366行:「北アメリカは英語でいいだろ?」

   カナダの一部は、フランス語だったりするから油断ならない。まあ英語が通じるらしいけど。ちなみにフランス語圏がカナダから独立しようとする運動があったりもする。

  403行:早期リタイヤして海外移住

   まあ一時期話題にはなりまして、テレビの中じゃお金持ちたちがこんな贅沢な暮らしを向こうではしていますよとやっていましたね。でもこんな世界的疫病が流行しちゃうと、やっぱり医療体制がしっかりしている日本の方がマシだと思うのだけど。どうだろうか。もちろん個人の感想です。けっして貧乏人のヒガミじゃないんだからね!(たしかに貧乏だけどさ)

  432行:インフラの輸出

   一帯一路だっけ? 国家戦略としては間違ってはいないと思う。けど、発展途上国を借金漬けにして港や土地を奪うなんて事をして恨みを買っていると、後のしっぺ返しが怖いと思うのだが。まあ日本は環太平洋で頑張るからそちらはそちらで頑張って下さい。

  449行:「冷戦の時に…軍事顧問を派遣していたから…ロシア語が使えると便利だぜ」

   もっと具体的だと、旧ソビエト連邦製の戦車T五四/五五が採用されている国や地域と言った方が分かりやすいか。(ただし大量に鹵獲した物を改修して輸出までしたイスラエルを除く)全部で七〇ヶ国ぐらいある。

  459行:「…日本とパラオぐらいなもんだぞ」

   とはいってもパラオの日本語はだいぶ現地で変化しているから、普通の日本人が行っても通じないけどね。例:日本語の「美味しい」はパラオの「アジダイジョウブ」。現地の人に親日の方が多いので、そういった方は現代日本語を勉強されているので、限定的に通じるみたいだけど。

  477行:讃美歌十三番で呼び出せる某スナイパー

   世界一有名なスナイパーのことですな。この『九月の出来事B面』執筆中に作者のさいとうたかをさんの訃報を耳にしました。故人のご冥福をお祈りいたします。

  502行:「アレっておとぎ話じゃねーの?」

   逆にどんなおとぎ話も歴史的事件が関わっているという説もある。桃太郎や浦島太郎も、歴史的事件に結び付けて考える人がいるぐらいだ。ちなみに金太郎なんかは酒呑童子や土蜘蛛退治で有名な源頼光(みなもとのよりみつ)の四天王が一人、坂田金時(さかたのきんとき)の幼少時の話だ。実在が疑問視されているが、歴史的人物の話である。


★九月のB面②

 ●駅前で待ち合わせのパート

  2行:新宿から伸びる私鉄と…JRの路線が交わる駅

   清隆学園関係で何度も登場している分倍河原駅のつもり。

  21行:近所大学へ通う女子大生たち

   まあ近所の大学と言っても清隆大学ぐらいなんですけどね。

  43行:筋肉質の彼と、釣り合いが取れるほどの高身長の美少女

   設定的な話をすると、実はサトミの方が、五センチほど身長が高いことになる。まあ相手より低く見せるテクニックが色々あるので、そういう技術もサトミは身につけているという事で。ちなみに素晴らしいボディラインとやらはもちろん紛い物である。

  49行:百円ライター

   日本のとても素晴らしい発明品の一つ。これが発明されるまではキャンプから公園での花火など、火を点けることが大変だった。ライターは高価な物ばかりで、しかも使いづらい物ばかりだったし、もっと手軽な火種であったマッチは危険であった。

  122行:六人で海水浴へと出かけたのだ

   詳しくは『清隆学園の夏休み』収録の『夏の想ひに』参照。

  133行:一学期をそれなりの成績で終えており…

   「睡眠学習の成果だ」本人談。

  161行:「…石見氏直系の名が廃るわよ」

   詳しくは『清隆学園の一学期』収録の『四月の出来事』参照。

  175行:具体的に言うと華道をやっているような女の子

   さらに詳しく言うと図書委員会で副委員長をやっていて、今回出番が無かった人かな。

  216行:「正解。私、顔は良いんだけど、頭が悪いのよね」

   サトミが入院していた原因については『清隆学園の一学期』収録の『六月の出来事』参照。

  231行:「貴様が色気を武器にしても、ちぃとも楽しくないな」

   まあ紛い物とわかっているんじゃあねえ。


 ●夏休み中の図書室、開室日での風景

  157行:夏休みだというのに、ほぼ毎日、由美子は図書室に顔を出していた。

   時系列的な話をすると、旧盆と言われる八月中旬の前になる。『清隆学園の夏休み』収録の『八月の出来事』での大騒ぎが終了して一週間ぐらいだ。

  178行:一年生ながら全国大会レベルの腕前をした恵美子

   ちなみに今年のコジローは、夏休みにあった関東大会突破後に、文化の日に行われる全国大会一回戦で敗退する。団体戦の方は関東大会決勝で敗退ぐらいかな。

  284行:自分とは比べ物にならない程の存在感

   とは言っても由美子だってそれなりのスタイルをしているのだが。まあ比べる相手が『学園のマドンナ』では見劣りしても当たり前であろう。

  309行:おかげで清隆学園では不登校児の問題は少ない方であった。

   来年には不登校問題児の前田(まえだ)直巳(なおみ)が進学してくることになっているけどね。由美子たちの一個下の学年には「宇宙人」「未来人」「異世界人」「超能力者」に果ては「連続殺人鬼」まで在籍するぞ。詳しくは『幻影幽霊』シリーズ参照。

  372行:フッと蘇った夏の想い出

   『清隆学園の夏休み』収録の『夏の想ひに』参照。


 ●ヒカル旧友と待ち合わせをするパート

  17行:いかにもな姿

   もしかしたら余分な布ずれの音すら立てたくなかったのかも。ま、普通に考えると「着替えの途中で気になった」あたりかな。なんにしろノルマ達成という事で。

  124行:荒事になっても対応できる格好…どうやらヒカル…についてくる気があるようだ。

   なにも必ずヒカルが戦場へ出かけているわけでは無い。ただ普通の女性がする「お出かけ」よりは行き先が修羅場の確率が高いだけだ。まあ最近は、ただ電車に乗っているだけでも刃物で襲ってくる輩がいるので、油断ならないが。

  187行:「仕事の話しになるかどうかは流れ次第だがよ」

   おそらく今朝見た怪しげなサイトの書き込みをしたのも、待ち合わせ相手なのだろう。何事か書き込んでいたのは、これから落ち合う場所と時間の約束か。

  215行:ティシュに包んでポケットへ落した

   ヒカルは、なにもゴミをポイ捨てする習慣が無いわけでは無い。ただ自分の唾液がついたキャンディの柄を無警戒に捨てると、どこで自分の遺伝子情報が回収されるか分からないからである。

  241行:ボックス席に陣取った。

   お盆を自分で運んだのも、この席を選ぶためである。もちろん狙撃対策である。素人のアキラだと不注意な席を選ぶと考えての行動だろう。窓から丸見えでなく、かつ出入口を監視できる位置を選んでいる。待ち合わせをしているからというよりも、襲撃者が居た場合を考え、いち早く発見して対応する時間を得るためである。

  245行:アキラは…スマートフォン…

   成績が良かったら持たせてもらえる約束である。ということでアキラはガラケー持ちという設定なのだが、ガラケーが電波停波で使用不能になる日が近いらしい。そしたらどうしよう…。

  282行:ルフトシュピーゲルング

   ドイツ語で「蜃気楼」を意味する。決して『ヴォルケンクラッツァー』の二番艦ではない。(執筆中に『鋼鉄の咆哮2』をクリアしまして…)

  289行:サファリルックの本郷猛を連想した。

   昭和生まれなら川口浩隊長かな。和美も隊長の探検にワクワクしたものです。放送日後の日曜日なんかは、友だちと道具を揃えて近くの林に「探検」へ出かけたりしたものです。あれだ、近い感覚と言えばハリウッド映画の「スタンドバイミー」だ。

  295行:「クマ」と表現するのが分かりやすい大男が入って来た…

   マサミチのモデルは、和美の高校時代からの友人だったりする。

  309行:多摩地区とはいえ文明化された東京では異質な存在

   いや青梅ならありうるか。なにせ「今年は青梅じゃ凶暴なモミジに三人喰い殺された」とか冗談を言っていた翌週に、「凶暴なモミジ」が青梅線に襲い掛かって不通になったことがあるぐらいだ。(暴風被害で線路際のモミジが倒れて電車に衝突しただけですがね)

  349行:か細く(なったように見える)アキラの手

   見た目は少女の手だが『施術』のおかげで、膂力は大男に負けないぐらいになっている。おそらく握力比べをしたらアキラの方が勝つだろう。

  389行:「名刺を受け取る時は両手で、まっすぐに」

   こういうビジネスマナーって日本だけ? 和美もかつて名刺の受け渡しで怒られた記憶がある。

  409行:「ADVENTURER」「WRITRE」「VICTIM」と肩書が…

  「冒険家」に「作家」まではいいが「遭難者」って、マサミチ流の冗談だろうか?

  457行:「エベレスト?」「そこでなんで首を捻る」

   いちおう隣の「K2」の方が世界一高い山じゃないかという説もある。

  467行:コジオスコ

   オーストラリア大陸最高峰ではあるが、国としてのオーストラリアの最高峰ではない。あれだ、日本の最高峰が一九四五年まで富士山じゃなかったのと同じだ。

  499行:「六月いっぱいはデナリで植村さんを探して…」

   昭和生まれでは、おそらく「デナリ」と聞いてもあまりピンとくる方は少ないのではないだろうか。昔は「マッキンリー」という名前で呼ばれた山だ。南極から北極、数々の霊峰を登頂した昭和の冒険家、植村直己さんが下山中に行方不明になった山だ。植村さんの遺体はいまだ発見されていない。(二〇一一年に遺体発見の通報があってパーク・レンジャーが捜索したが、やはり発見されていない)

  500行:アコンカグア

   南米はアンデス山脈にある最高峰。同時に遭難が多い山でも有名である。前項の植村直己さんも登頂している。

  558行:「聞かぬが花ということかな?」微笑みで誤魔化すヒカル

   ヒカルだってプロなんだから仕事の内容を赤の他人に悟らせるような事をしない。もちろん付き合いの長いと思われるマサミチも分かっていて、深く訊くことはしていない。


 ●ヒカルが依頼内容を聞くパート

  32行:東京で交通事故に巻き込まれる可能性

   統計によると日本全体で〇・五パーセントぐらいらしい。低いと言ったら低いが、累積されていくから五〇歳の日本人は四人に一人が交通事故に巻き込まれたことになる。まあ、同じ人が複数回事故に遭ったりするので、数字上の物でしかないが。

  42行:軽飛行機が、どこかのテーブルマウンテンに不時着

   ギニヤで、軽飛行機で、姉と一緒に遭難って…。もしかしたら操縦者の名前は村雨(むらさめ)(りょう)って言いませんか?

  97行:広い参道を並んで歩く形となった。

   まさかこの参道が、オリンピックの自転車競技でコースになって、しかもそれが全世界に配信されるとは。大国主命でも思っていなかったに違いない。絶対、ロードレースの途中であんなガタガタな参道を挟んで、抗議が殺到するかと思っていた。蓋を開けて見たら、日本の伝統的な風景が入ったとして好評だったらしい。世の中分からないものである。

  159行:彼の表情は…険しい物になっていた。

   誰か尾行していないか、またこれからの会話を盗聴しようとしている輩は居ないか、周囲の確認に出かけた物と思われる。もちろん最悪の場合、荒事になるから表情も怖くなろうというものだ。

  196行:自身も水分の補給をしながら、マサミチは…

   南米からの帰りだから、ペットボトルの口から直にのむことはせず、少し離して口へ流し込んだ物と思われる。湿度が高い土地で口をつけて飲むと、口腔内のバイキンがそこから水筒やペットボトルへと移り、内部で繁殖して中身をすぐに腐らせるからだ。

  204行:エルデーイ王国

   まったく架空の国家である。『清隆学園の三学期』収録の『二月の出来事』も参照の事。

  209行:『黒海のキューバ危機』

   もちろん国家自体が架空なのだから、この事件も架空の物だ。だがロシア共和国が黒海周辺に神経を尖らせているのは、二〇一四年の「クリミア併合」でも明らかである。最近も国境に軍隊を集結させて緊張が高まったりしている。だいたいクリミア戦争の頃からロシアは、あそこら辺の軍事プレゼンスに心砕いて来たのだから、当たり前と言えば当たり前。

  220行:アメリカに助けを求めた。

   冷戦初期なので国際連合平和維持活動、いわゆるPKOなどが未発達という設定。冷戦初期にギリシャなんかも国内は荒れに荒れた。

  250行:「ヒロシマとナガサキで使われたチビとデブだよ」

   もちろん八月の悲劇のことだ。

  255行:赤の広場でのバーベキュー大会開催

   それバーベキューじゃなくて粛清大会では?

  262行:「おまえはどこぞのチョビ髭か?」

   まあチョビ髭と言ったら「美大に落ちて独裁者になった男」アドルフ・ヒトラーのことですわな。だから下でヒカルが美大にも受からないぞと言っている。ナポレオンだってロシアに攻めこんだが、結局、冬将軍に負けたようなものだし。まてよ…。昨今の温暖化で冬将軍も防御力が弱くなっているのかな?

  265行:ベラルーシ

   ベラルーシ共和国のこと。大統領制の国のはずだが、野党勢力を不当に弾圧して、大統領は「欧州最後の独裁者」なんて呼ばれていたりする。古くからロシアとは繋がりが深い国なので、いざ戦争が起きてどちらに味方をするとなったら、よっぽどのことが無い限りロシア側につくだろう。

  278行:上陸しようにも、海が凍っちまうんだから

   昨今の温暖化だと凍結しないかもしれないけど、昔は車両が通れるぐらいの厚みで凍結したそうな。第二次世界大戦のレニングラード攻防戦では、凍った海がソビエト側の補給路になったほどだ。

  282行:「サンクトペテルブルグな」

   昔は「レニングラード」っていう名前だったんだよおぉぉ(冷戦時代生まれ、心の叫び)ロシア語で「レーニンの町」という意味が嫌で、ソビエト連邦崩壊時に元の名前に戻ったらしい。「サンクトペテルブルグ」は「聖ピーターの町」という意味。

  288行:ムルマンスク

   こっちは名前が変わらなかった港町。地図で確認すれば分かるが、北極海に面している。第二次世界大戦ではアメリカやイギリスからのレンドリースによる支援物資が陸揚げされた港だ。

  293行:米海軍兵学校(アナポリス)

   略称じゃなくて、所在地の地名である。アメリカ海軍で出世して提督になるには、ここを卒業しなければならない。

  298行:「今度は生存圏(レーベンスラウム)じゃなくて世界最終戦論でも唱え出すのか?」

   生存圏と言ってソビエト・ロシアへ攻め込んだのがチョビ髭オジサン。世界最終戦論とは、架空戦記で何かと評価が高い石原寛治が書いた本の事だ。まあシベリア鉄道でモスクワまで攻め込もうなんて考えるヤツは他にいないだろうということで。(いや…、辻政信あたりも言い出しそうか…)

  316行:米国陸軍士官学校(ウエストポイント)

   こちらも略称じゃなくて、所在地の地名である。アメリカ陸軍で出世して将軍と呼ばれるようになるには、ここを卒業しなければならない。

  同行:「…常識だぜ」

   本当に常識かどうかはともかく、補給に運河が使用できるので冬季でも冬将軍はあまり怖くない。第二次大戦時のナチス・ドイツ軍は、西から東へと攻めたので、南北に伸びる運河を利用できなかった。現在ドン河の右岸にあたるウクライナは親EUなので、余計に補給などがスムーズに進むと思われる。

  319行:東側の査察

   アメリカを始めとする資本主義陣営を西側。ソビエト連邦を始めとする共産主義陣営を東側とかつては称した。冷戦時代生まれの和美には常識だが、今の日本人で知らない人も増えたとか。

  387行:「なんか鼻の形がそれらしくねえな」

   別にギリシャ人の鼻の形が醜いと言っているわけではない。ヒカルがギリシャ系の血を見分ける時に、鼻の特徴を利用しているということだろう。ちなみにどう他の人種と違うのかを和美に訊かれても分からない。

  412行:「王妃だったケイコ=バートリー女王陛下だ」

   この場合の「女王」は、国王の伴侶、つまり王妃に対する尊称である。

  416行:「混血児(ハーフ)にゃ飽き飽きしているんだが」

   やっぱり明実のせい?

  424行:現地のエルデーイ大学へ入られた。

   日本での卒業が三月で、向こうの新学期が九月なので、準備する時間があったと仮定。あ、あと「大学で知り合って結婚」というのに含むところはありませんので、念のため。ここを強調しておかないと昨今のとある情勢のせいで誤解されかねない。だいたい設定を考えたのは『二月の出来事』を書いた時だから三十年以上前である。

  439行:変な荷馬車のような物に乗せられて

   国葬で、陸軍またはそれに準ずる組織に所属する砲兵隊が所有する、馬匹牽引の砲車に棺を乗せて運んでいると仮定している。今はエンジンのついた車台に大砲を載せた自走砲が各国陸軍で装備されているが、その前はトラクターで牽引していた。そしてもうちょっと前には馬で引っ張っていたのだ。そんな昔の話しでもなく、第二次世界大戦の頃まではそうやって大砲を運んでいた。儀礼を行う軍隊が所有している中で一番大きな荷物を運ぶ馬車が、砲兵隊の砲車だったので使用されたのだろう。自動車が発達した今でも、わざわざ砲車に棺桶を載せるのが正式な儀礼としている国はある。

  461行:一層派手な装飾をした服

   国王なのだから大元帥正装とかいう軍服に、勲章をキラキラつけているのだろう。

  490行:「今がエリザベス二世…その親父がジョージ六世…その兄貴がエドワード八世で、その二人の親父がジョージ五世だ」

  「王冠をかけた恋」ってやつでエドワード八世の在位は一年間だけで、すぐに弟のジョージ六世が王位についた。そこら辺でドタバタしたので、時の君主の名前を主力艦につけるイギリス海軍も混乱して、新型戦艦の名前が『キング・ジョージ五世』となった。ジョージ五世の治世の時にも別の『キング・ジョージ五世』という戦艦がいたから異例である。(まあジョージ六世が父の名前を望んだという事情もあったようだが)新しい方の『キング・ジョージ五世』の同型艦は『プリンス・オブ・ウエールズ』『デューク・オブ・ヨーク』と続く。二番艦に正統王位継承権者の称号である「プリンス・オブ・ウエールズ」と名付けるのも伝統。(現在の空母「クイーン・エリザベス二世」の二番艦も「プリンス・オブ・ウエールズ」だ)だが、この時代に『プリンス・オブ・ウエールズ』と言ったら先に王位を継承したエドワード八世のことになる。三番艦が王位継承権第二位のジョージ六世を意味する『デューク・オブ・ヨーク』と名付けられたのは、そのため。で、名前が良かったのか『キング・ジョージ五世』と『デューク・オブ・ヨーク』は航空機が主力になった第二次大戦でも活躍できた(それぞれがドイツの戦艦を撃沈している)が『プリンス・オブ・ウエールズ』の方は、建造中から事故やら何やら不運続き。デンマーク海峡海戦じゃドイツの戦艦『ビスマルク』には負けるし。あげくにマレー沖海戦で日本海軍の陸上攻撃機にタコ殴りにされて「史上初戦闘航海中に航空攻撃だけで沈んだ戦艦」になってしまった。

  499行:「せんきゅうひゃくじゅうねん? そこらにイギリスで大事件なんてあったか?」

   冒険家ピアリーの北極点到達が一九〇九年、有名な自動拳銃コルトガバメントが米軍に制式採用されたり、冒険家アムンセンが南極点に到達したのが一九一一年。映画にもなったタイタニックの沈没や、日本の元号が明治から大正に変わったのが一九一二年。

  546行:三世と聞いて思い浮かべるのは…

   モンキーパンチ「ルパン三世」ですな。

  558行:「マンガだと大抵トマトジュースで我慢…」

   誰が最初に考え出したんだろうねえ? 一説によると藤子不二雄「怪物くん」に登場する怪物三人組のドラキュラらしい。「怪物くん」が大好きな和美はこの説を採用したいと思います。他にも耽美な萩尾望尾「ポーの一族」だとバラの花の生気を吸うとか、人の血を吸わずに吸血鬼が生きる方法は色々ありますな。

  586行:米国中央情報局(ラングレー)

   これも所在地の地名である。

  676行:自動販売機は蹴り上げるな

   日本でも、とある学園都市の第三位でエレクトロマスターの方は別らしい。

  792行:「それでスペイン階段でジェラートでも嘗めるのか?」

   映画「ローマの休日」ですな。新聞記者。真実の口。ベスパなどもそこに由来。オードリー・ヘップバーンが美しいのだ。まあ『二月の出来事』の元ネタと言われてもおかしくない話である。いや『二月の出来事』の出来栄えからいったら、元ネタと公言したら失礼に当たるかもしれない。


★九月のB面③

 ●由美子がサトミに相談するパート

  23行:シマコさん

   おそらく『清隆学園の三学期』収録の『一月の出来事』に登場した、白膏学苑化学部の縞子さんであろう。彼女は確かにサトミのお師匠さんではある。ただしフルートについてであるが。まあ、ウソではない。ウソではないが…。

  46行:相手の捨て台詞のような挨拶の言葉で終わった。

   サトミの会話の相手は、後の岸田博士の証言から推察するに、由美子の九州の親戚である藤原(ふじわら)弘幸(ひろゆき)氏であろう。『清隆学園の一学期』収録の『五月の出来事』参照の事。

  90行:惑星開発に従事する時の作業服

   クラッシュジャケットですな。いつの間にか熱線で追尾できる設定が削除されていましたっけ。高千穂遥「クラッシャージョウ」シリーズに出て来る宇宙の何でも屋、クラッシャーが制服としている万能服である。最近コミカライズされていて和美は嬉しい。

  106行:新井(あらい)尚美(なおみ)

   A面とB面では全然違う顔を見せるキャラクター。さらに彼女には「絶対、空楽に会えない」という不思議設定までついている。実はこの設定、まったくの作り話ではなくて、不思議とクラスメイトなのに、空楽のモデルになった方と尚美のモデルになった方は出会えなかったのだ。もちろんクラスで行動する時などは近くにいた時もあっただろうが、そんなときも、お互いが認識していなかったりした。

  137行:「…他にも殺そうとした人いるでしょ?」

   詳細は『清隆学園の一学期』収録の『六月の出来事』参照。

  172行:ピザン王国の国王ハルマン三世の一人娘のような外見

   赤いクラッシュジャケットで分かっていたと思いますが、アルフィンです。クラッシュジャケットはメンバーによって色違いになっているという設定みたい。

  213行:ミス・ギャラクシーにて入賞するような美少女に見えた。

   アルフィンはミス・ギャラクシーにはなってないんだよな…。ただ原作ではミスコンに出場はする。サトミの身長からすると金色のクラッシュジャケットを着てウーラでもよかったか? ウーラは「クラッシャージョウ」シリーズ「人面魔獣の挑戦」の登場人物。

  237行:世界福祉事業協会(スリーダブルエー)の犯罪トラブルコンサルト

  「クラッシャージョウ」シリーズと世界観を共にする「ダーティペア」のお二人が所属する組織である。

  239行:「そしたら誰かもう一人仲間を探して来なくっちゃ」

   上の項の「ダーティペア」はペアというだけあって二人組である。サトミが言外に「ダーティペア」のコスプレをすると言っているのを受けてのセリフ。

  285行:『清隆祭』

  『清隆祭』については『清隆学園の二学期』収録の『十月の出来事』参照のこと。

  286行:『学園コレクション』

  『学園コレクション』については『十月の出来事・②』参照のこと。

  340行:「クジビキ」で…運悪く「アタリ」を引いてしまった…

   クジビキで狙った人物にアタリを引かせるなんていうインチキなんて、ゴマンとある。まあ、このクジビキではそういった事は無かったと思われるが。

  360行:被服部部長、大沼(おおぬま)日鞠(ひまり)

   初登場は意外に古くて『清隆学園の二学期』収録の『十月の出来事・②』である。そしてよく読んでみると、他にもアチコチに顔を出しているキャラクターだったりする。

  378行:夏季制服

   清隆学園高等部の女子用制服は何度も表現しているように、某国民的アニメで蘭ねえちゃんが着ている帝丹高校とはネクタイの色が違うだけという設定である。(あ、ベストは着てないのかな?)この内、女子用ベストは本文にあるように酷暑期には省略しても構わないことになっている。由美子がちゃんと制服を着ているのは、彼女の性格であって、特に尚美が規定違反をしているわけではない。

  420行:もう間違いようもなくアレであった。

   間違いなく北川景子…、じゃなくてアニメ『美少女戦士セーラームーン』に登場するセーラーマーズですな。

  422行:「今年はコレで行こうと思うのよ」

   八月中旬という時期を考えると、コミケでのコスプレをさしているのだろう、たぶん。近年、世界的疫病のせいでコミケがどうなるか分からないが、作中では普通に開催されている物とした。

  440行:北宇治高校の吹奏楽部で金管楽器(ユーフォニアム)を吹いているような姿であった。

   眼鏡をかけたままという事は、主人公ではなくて、田中あすか先輩の方ですな。アニメ「響けユーフォニアム」の登場人物である。ちなみに清隆学園には第二種制服としてセーラー服の規定がある。ただし冬服のみだ。

  465行:清隆学園高等部に通っている女子生徒ならば…普通の格好であった。

   ちなみに清隆学園の校則では男子生徒が女子の制服を着てはいけないという規定はない。それどころか制服着用は「推奨」であって、私服登校を理由に教師が「指導」することもできない。まあ最近は制服のデザインで進学する希望校を決めたりする人もいるぐらいだから、厳しくないのだろう。この校則の条文を来年度に悪用するのが「異世界人」前田直巳である。ただし始業式などの儀典では「正装」の規定があるので制服を身につけなければならない。

  537行:有名大学に六浪して入学した苅野家のご長男

   藤子不二雄「キテレツ大百科」に登場するベンゾウさんですな。

  587行:「…楠幸村とか、雪ノ下雪乃とか、泉こなたとか、立華かなでとか、初音ミク…」

    楠幸村:平坂読「僕は友達が少ない」の登場人物である。男の娘と見せかけて本当の美少女だったりする。

    雪ノ下雪乃:渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」の登場人物というかメインヒロイン。

    泉こなた:美水かがみ「らき☆すた」の主人公。重度のオタク。

    立華かなで:アニメ「AngelBeats!」の世界で生徒会長をやっている天使ちゃん。

    初音ミク:言わずと知れたボーカロイド。

  591行:とある共通点

   たしかに今あげた五人には共通点がある。とくに胸部に。

  619行:『レッドサンブラッククロス愛好会』

  「レッドサンブラッククロス」とは、今は亡きアドテクノ社から発売されていた長巨大なウォーシュミレーションゲームである。あれは二人でやる物ではなかった。セガサターン版の「ワールドアドバンスド大戦略」でドイツ軍か、日本軍で勝ち続けると、インド亜大陸で戦うマップになるが、それの元ネタである。

  621行:『列島縦断新幹線をプラレールで実現する同盟』

   こんな事をする人が現実にはいないだろうと思っていたら、動画サイトでやっている人たちがいました。世の中は広いなあ。きっとこの同盟やらも動画を撮影しているのではないだろうか。

  719行:「お星さまさえ見てれば幸せってタイプかと思ってた」

   由美子の周りにいる男子という事で、気になってサトミ独自で調べていたのかも。サトミが由美子へ向けている感情というのは、恋愛感情というより、家族愛に近いのかしら?

  797行:彼が超常現象に巻き込まれるのを…

   詳しくは『七月の出来事B面』参照の事。

  853行:鳶一折紙ほどの胸部

   橘公司「デート・ア・ライブ」の登場人物である。そして、前に上げた五人の人物と同じような特徴を持っている。

  898行:なぜか…睨まれるという不慣れな思い

   尚美がサトミに対して恋心があるのかは不明だが、最低でも「自分のオモチャに手を出すな」程度の感情はあるのかもしれない。


 ●ファーストフード店で食事をするパート

  39行:ネモ船長

   詳しくは『五月の出来事B面』参照の事。

  73行:「このシェイク、夏の新作だってさ」「名古屋名物ういろう味シェイク」

   決して、ある特定のチェーン店を名指しして非難しているわけではございません。ネタとして扱っています。でも地雷と分かっていても、つい限定と聞くと珍妙な味のシェイクを注文しちゃうんだよなあ。

  189行:店内は閑古鳥が鳴いていて…

   ちょっと時間帯がずれているものとする。

  226行:いつも使っている得物

   ここでは黒い自動拳銃「ギルティ」の方を想定している。この後の金属音とは、銃に詳しいヒカルが、緊急事態でもないのにバッグの中で安全装置を外すなんていう危険なことをするとは思えない。おそらくグリップを握ってトリガーに指をかけるか何かして、銃の感触を手に馴染ませようとし、安全装置の機構が働いた音ではないだろうか。

  248行:連邦の白い悪魔が…ミサイルを…

   マ・クベさん南極条約違反ですよ。アニメ「機動戦士ガンダム」第二五話で戦況が劣勢になったジオン軍が水爆を使おうとして、主人公アムロ・レイが乗るガンダムに防がれるというネタがある。水爆を切ったのは、アムロと十三代目石川五右衛門の二人だけという説があるが本当だろうか?

  264行:Uボートで…南米へ逃れた…悪役は…知っているマンガにも出てきた。

   おそらく「世の中には手段のためなら目的を選ばないという様などうしようもない連中も確実に存在するのだ」とか言い放つ大隊指揮官殿が出て来るマンガだと思う。平野耕太「ヘルシング」ですよ。

  268行:「…遺体が…隠してあって、復活させようとしているのかもな」

   ロシアで保管されているヒトラーの物とされている頭蓋骨は女性の物と判定されたらしい。もしかしたら一緒に自殺したエバー・アンナ・パウラ・ブラウンの頭蓋骨なのかしら? ただし別に保管されていた義歯は彼専用の特注品だった。ここから発展して、実はチョビ髭は「漢女(おとめ)」だったとかいう話でも書いてみようかしら。

  390行:「もうドコ行ってもハーレムばっか」

   ハーレムの様子があまりにも昭和のエロゲーム風なのは、まあヒカルの実年齢のせいかな。

  412行:テーブルに置いたスマートフォンがブルブルと動き始めた。

   マサミチとはSNS等の連絡手段を設けた事は、あまりにも当たり前すぎたので本文では省いてある。

  431行:「ドコ行く?」

   これから二人でデートした場所は、たぶん二〇二〇年開業時は「世界一クレーンゲーム台数の多い店」でギネス世界記録に認定されたゲームセンターかな。


★九月のB面④

 ●マスターの人生と経験と魂をこめて経営している喫茶店で待ち合わせするパート

  7行:マスターの人生と経験と魂をこめて

   二〇〇七年に放送されたドラマ「マンハッタンラブストーリー」の主人公、純喫茶マンハッタンの店長定番のセリフを拝借しました。

  20行:道造ですよ

   立原道造。建築技術者にして詩人。「夢と昼の間に」は「風に寄せてその一」の一節。彼の設計による「風信子ハウス」は埼玉県の別所沼公園に再現されている。

  66行:どこのお嬢さんだろうか

   客の正体は後にわかるが由美子である。そして由美子は充分「お嬢さま」と呼ばれる条件を満たしていると思う。いちおう社長令嬢だし。でも私服でのお出かけの時ぐらいは、お化粧しようよ…。

  84行:「今日は、いつもとは違ってお洒落ね」

   この店、もしかしてウエイトレスの方が、スキルが上なのか? それともやはり女性と男性では目の付け所が違うとか。

  159行:神宮球場を本拠地にしている球団

   まさか東映フライヤーズか? という昭和の歴史的なギャグは置いておいて、おそらく東京ヤクルトスワローズであろう。これを書いている二〇二一年度優勝いたしましたね。おめでとう。

  162行:赤いヘルメットを愛用している球団

   おそらく広島カープであろう。一時期は飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、主力選手を某東京の球団に引き抜かれてから、標準的な強さに戻ってしまった。残念。

  221行:二人が親し気に内緒話をしている様子

   たぶんウエイトレスが由美子に「カレシ?」などと訊いていたのだろう。

  238行:(こおひいふろおとなる軟弱なメニューは…)

   なぜマスターがコーヒーフロートを認めないかはナゾとしておく。

  同行:赤羽伸子さん

   ドラマ「マンハッタンラブストーリー」のヒロインである。キョンキョンこと小泉今日子が怪演した。

  335行:ゴツイ外見をしたスマートフォン

   結局、サトミのスマートフォンはどういう物か決めていなかったりする。値段で決めた安い物を消耗品として割り切って使っている可能性もある。今回は防水がしっかりしたアウトドアでも積極的に使えるような機種のつもりで書いています。

  340行:「ええと、ご兄弟がいらっしゃいます?」

   スキルが高いウエイトレスでもサトミ本人であると見抜けなかったようだ。

  343行:「姉が一人」

   サトミには本物の血の繋がった姉がいる。『清隆学園の一学期』収録の『六月の出来事』他を参照。

  395行:「サトミさんって、もしかして…」

   何かのキッカケでサトミの正体に気が付いたのだろうか? それとも別の事を訊こうとしたのだろうか? まあ仲が良いところを見せられれば誤解もするという物か。

  426行:集合場所とした<コーモーディア>

   この三人の中で一番遠いのが新宿に住んでいる由美子だったりする。サトミと孝之はそれぞれ清隆学園まで自転車通学の距離だ。全員に分かりやすく、かつ学校ではない場所として<コーモーディア>を選んだのであろう。

  428行:オレンジラインが入った電車

   中央線快速ですな。

  430行:黄色オレンジ茶色という三色のラインが入った電車

   南武線ですな。

  432行:環状貨物線

   武蔵野線ですな。

  同行:三人の行先。

   両方とも清隆学園の辺りから西国分寺駅への行き方である。清隆学園~バス~国立駅~中央線~西国分寺駅、もしくは清隆学園~徒歩~西府駅~南武線~府中本町駅~武蔵野線~西国分寺駅。

  499行:「おまえに母性本能があるなんて、初めて知ったよ」

   サトミの事だ、ほぼ一〇〇パーセント演技であろう。彼は普段の感情も「演じている」だけであって、本当の心を表に出さない一種のサイコパスである。それにサトミの場合は母性というより父性が刺激されて欲しいと思うのは、昭和の古い考えなのだろうか。

  527行:「…自分でトイレ…歩ける…喋る」

   普通トイレは二歳をすぎてから。歩行は一歳ぐらい。言葉は一〇ヶ月ぐらいから口にし始めて、意味のある単語を並べ始めるのは一歳半ぐらい。まあ個人差が大きい分野だから、この数字は目安である。だから世のお母さん方は余分に悩まなくていいんですよ。

  548行:「アカチャンの泣き声を聞いてると、お乳が張るわあ」

   授乳期のお母さんは、他人のアカチャンが泣いていても母乳が出始めてしまうのだ。

  578行:こんな子供が拗ねたような反応をするサトミは初めてだったからだ。

   まあ、普通にサトミが「嫉妬」なんていう感情を表したのは今回が初めてじゃないかな。これが演技ではないとすると、彼の感情は死に絶えているわけでは無いということか? ただ嫉妬というのは感情の中でも基本的な物だから、厄介でもある。ちなみに犬だって猫だって嫉妬する。

  600行:お相撲さんのような男子

   おそらく図書室常連組のツカチンのことだろう。今回は出番なし。

  655行:「ミセスっていうのは、呼び名だよ」

   日本の文化ではない。英語圏では家政婦長とか良家の使用人の中でも地位が高い女性は、独身でもミセスと呼ばれるのだ。しかもわざわざフランス風の名前で呼ばれたりする。

  735行:サトミが戻ってきていた。

   はやいからクレジットカードか何かで決算したのかしら。最近は仮想通貨も多いしね。特にサトミだと仮想通貨には手を出していそうな感じではある。というか仮想通貨を不正に操作して手に入れていそう。それか「新しい仮想通貨です。これから、これが爆アゲです」とか言って投資させて、取引直後に全額換金してドロンとか。

  737行:「アイスクリーム症候群ね」

   冷たい物を急に飲み食いするとキーンとするヤツね。コメカミを冷やすと症状が緩和するのは本当である。

  746行:「いいのよ、たまには私のオゴリ」

   と言いつつ昨日のペットボトルもサトミが奢っていたけどな。まあ、男の子として気になるアノ娘に奢るのは当たり前かな? それとも、そんなことを言っていると性差別だとか言われるのかしら。

  830行:「あと一万年ぐらいは七夕さま辺りが遠日点のはずだよ」

   もちろんこれは地球の場合で、天体ごとに遠日点は違う。

  845行:「…南半球は海が多いでしょ。だから気温の上がり方が…緩やかなんだよ」

   固体よりも液体の方が「温まりにくくて冷めにくい」という性質を持っている。そのため海が多い地方にも同じ傾向が現れる。他に例を挙げるとすると、ヨーロッパの冬がある。北海道と比べて意外と高い緯度にあるにもかからわず気温の下降が緩やかなのは、赤道からヨーロッパ沿岸まで流れるメキシコ湾流という海流のお陰だ。冬でも赤道付近で温められた海水が流れてくることによって、ヨーロッパの冬はまだ人間が住める環境を保っている。

  860行:フォルクスワーゲン・テュープ(アイン)

   昭和の高度成長期では、町中を走っている外車では一番多かった車種と覚えている。逆に現代の町で見かけると珍しいぐらいだ。今だと排気ガス規制に引っかかって、車検を通すのが大変そうだ。ガソリン車が悪という風潮から、最近では電気自動車に改造をする専門のメーカーも現れたとか。

  922行:カーエアコンも動かないということだ。

   ワーゲンには、いちおうカーエアコンの純正オプションがあったらしいけど、搭載されている個体に乗った事は無いなあ。総じて欧州産の車のエアコンは利きが悪い印象ではある。

  952行:『拳の魔王』「アームストロングパンチ」

なんか書いている和美自身、久しぶりに出した単語な気がする。


 ●ホテルのラウンジでのパート

  23行:『聖アドルフ学園』

   『聖アドルフ学園』については『清隆学園の夏休み』収録の『八月の出来事』参照。

  49行:彼女がヒナタと呼んだ少女

   おそらくダイヤと一緒に清隆学園の夏期講習に参加していた(かのえ)陽菜(ひなた)であろう。

  56行:『他人のアラ探しをしている間は、自分の姿を見なくて済む』

   三島由紀夫の言葉ですな。最近のネットで中傷なんていう事件を見ていると、真理だなあと思える言葉である。

  99行:眼鏡をかけたアンドロイド

   地球丸ごとに被害を与えるなんていうアンドロイドは他にはいないでしょう。鳥山明「Drスランプ」の主人公、則巻アラレことアラレちゃんのことだろう。彼女は素手で地球を真っ二つに割ることができる。中の人が小山茉美なのか川田妙子なのかで齢がバレるという危険な存在である。

  102行:無理難題

   会話の内容から、後述の「朱る」話しであろう。

  302行:つい癖でいつもの挨拶をしてから…

   前にアキラに対して「こんにちは」と挨拶したのは学外の人間だったから。今回は相手が同じ制服を着ていたので、学内の癖が出たのだろう。

  327行:「あたしゃホットコーヒー。スプーンが立つぐらいのヤツな」

   今は「スプーンが立つほど濃いコーヒー」なんていう言い回しは使わないのかな?

  356行:「…おまえさんの学校が近いのを思い出してな」

   だが和美は『聖アドルフ学園』の所在地を設定していなかったりする。まあ厳格かどうかはともかく、ミッション系の女学園なんて都内にも数校しか残っていないので、そのどれかと特定されても困るけど。最近の少子化に負けて、共学になる学校も増えた。

  360行:校章とクラス章を留める胸元のフェルト…を外していた。

   ストーカー対策かな? 外部に漏れる情報は少ないほど安全だから、校外では外してもいいことにしているのだと思われる。

  367行:ヒカルは腰にウエストポーチを巻いている

   もちろん、ただのウエストポーチではなく、いつものホルスターである。

  405行:「朝顔とゴーヤ」

   両方とも蔓植物ということは、教室に対してのグリーンカーテンなのだろう。まあ確かに自然に優しいし、冷房効果は上がるし、環境問題や生き物を育てるということで教育にもプラスになる。いいことづくめだ。

  432行:生活指導の先生(ガマガエル)

   まあ生徒が先生につけるアダナなんてこんな物でしょう。特にモデルがいるわけではありません、念のため。

  442行:『夏でもパンツは二枚履く事』

   いちおう痴漢対策です。かつてはこんな校則がある学校が本当にあったけど、今じゃ絶滅状態じゃないかな。有名な宝塚音楽学校の「電車に乗る時は最後尾に乗る事」という約束も「他のお客さんが優先で、自分たちは座席に座るどころか邪魔にならないように隅に固まる」という意味よりも、なにかあったら車掌さんに助けてもらえるからだとか。

  470行:履いている

   学校では女教師がわざわざスカートをめくって中身までチェックしていそう。

  482行:アキラは慌てて視線を外して…

   まあ、いくらアキラが朴念仁でも、女の子がスカートのチェックをしている様子をジロジロ見るなんてデリカシーのない行動は取らないよね。

  505行:「アキラと駄弁ってくれてりゃいい」

   なぜヒカルがダイヤを引き留めたのかは不明としよう。いまヒカルが取り掛かっている仕事が何なのか、これから話す相手が分からなくなるように誤誘導するためだろうか。

  623行:話はピーマン

   死語かしら。「目が点」は、いまだ日曜日の朝に番組があるから死語ではないと思うのだけど。

  644行:淡い色の髪をした美少女が一人座っていた。

   地毛なのかな? どこかの学校が強制的に黒く染めさせて問題になったこともあるし、最近は薄い色の髪の毛でも指導は入らないのかな? 地元じゃ有名な進学校に進んだ真面目な先輩が、どんどん髪の色が薄くなって、茶髪どころか赤くなったことがあった。あんな真面目な先輩がグレるなんて、進学校って大変なんだなって思っていたら、先輩は高校で水泳部に所属していて、当時プールの消毒に使っていた次亜塩素酸カルシウムのせいで髪の色が脱色していたというオチがあった。今のプールはオゾン消毒が増えたので、そういうことは少なくなっている。

  786行:世界的大泥棒と組んでいる剣士が持つ、コンニャクだけ切れない刀

   十三代目石川五右エ門が持つ「斬鉄剣」ですな。といっても「コンニャクだけ切れない」はテレビ第二シリーズだけの設定であって、他にも斬れなかったものはたくさんある。ただ一番固い物質であるところのダイヤモンドはけっこう斬っていたりする。

  796行:刀身五尺ほどの大太刀

   コクリ丸を考えた時「常人には一人で抜く事すら難しい刀」という基準で設定を考えた…はずだった。某投稿サイトで、五尺の日本刀を抜き打ちにしている動画を発見した時はひっくり返ったものですわよ(錯乱したため日本語が変になっております)

  826行:「地球だって真っ二つ。光だって時間だって斬れなきゃおかしいって」

   何を隠そう元ネタは松本久志「悪がよぶ!」の魔王斬です。

  838行:地球の直径

   正確には一万二千七百四十二キロメートルですな。アキラが言っているのは地球の子午線長だと思われる。一九八三年に変更されるまで、地球の子午線弧長の一万分の一が一メートルとされていた。よって地球の大きさが変わるたびに定義し直されていた。地球の大きさが変わるなんて変な言葉だが、新しい計測方法が生まれる度に、子午線が計測され直されていたものだった。現在は光が一定の時間内に真空中を伝わる長さを基準にしている。

  862行:「コクリ丸には、まだもう一段階上があるってことだ」

   某地球を滅ぼしに来た宇宙人の「私はあと二回変身を残しています」みたいなものかな?

  877行:隣の星まで四光年

   太陽系のお隣はプロキシマ・ケンタウリという星らしい。惑星も観測されているので、もしかしたら宇宙人が住んでいるかもしれない。現代科学を駆使すると二〇年で行ける距離なんだとか。ただし「行ける」だけで減速する術がないので、指をくわえて通り過ぎるしかないけど。もちろん帰っても来れない。

  882行:アキラには備わっていなかった。

   清隆学園では物理の授業は二年生からである。しかも等速直線運動など基本中の基本から始めるから、重力レンズとか難しい話は一切なしで、数学の授業とほぼ同じだ。アキラは講習などで二年生の授業を先行して受けて、受験にそなえているものとする。


★九月のB面⑤

 ●三人で悪だくみをするパート

  56行:海城家の奥さまが…呪文を唱えていた。

  「シャランラ」(魔女っ娘メグ)ならまだしも「ピピルマピピルマプリリンパ、パパレホパパレホドリミンパ。アダルトタッチで若奥さまになあれ~」(ミンキーモモ)とか言ってそう。海城家奥方の実年齢は非公開とさせていただく。

  101行:レーヴェンハルト伯爵

   特にモデルはいない。この道のプロの女性ってこんな感じかしらと、ヒカルとは違うタイプのキャラクターを考えてみました。

  同行:「エシェック?」ちょいと彼女の眉が顰められた。

   まあフランス語で「失敗」って意味だしね。これから秘密の計画を立てようとしているのに、縁起が悪い名前ではある。もちろん伯爵はフランス語だけでなく、教養として近隣諸国の言語を身に着けているはずだ。

  127行:「あれは、私がいま取り掛かっている仕事関係だ」

   嘘は言ってはいない。確かに二人とも関係者ではある。ただ事情を知らずに二人を見た伯爵は、なんと思ったのだろうか。お嬢さま相手のボディガード業とでも思ったか?

  199行:「パラオの墜落事件の?」「カナリヤ諸島大騒動の?」

   二つの事件について『五月の出来事B面』に登場したエレクトラも口にしていたが、いったいヒカルは何をやらかしたのだろうか? どちらにしろアメリカとソビエトで冷戦真っ盛りの時代に起こした事件のようだ。その頃に二十代だとしても二十一世紀の現在だと、想像される外見が今のヒカルとはかけ離れているはずだ。一九九一年のソビエト崩壊が冷戦の終結としても、五十代以上になるからだ。

  154行:大佐(シュタンダルテンフューラー)

   シュタンダルテンフューラーとは本当ならば「連隊指揮官」という意味である。ナチス親衛隊の階級で国防軍の大佐(オーバースツ)に当たる。連隊指揮官としたけど、ここは少佐…、いや大隊指揮官(シュツルムバンフューラー)とか総統代行とかにしておいて、六分ほど演説をさせるべきだったか?

  166行:「電話の受電代行を頼んでいるんだ」

   まず行方不明にならなきゃいいのに、というもっともな意見もある。まあ職業が冒険家じゃ行方不明や音信不通は当たり前か。ヨーロッパのサーバー大規模ダウンは何回か起こっているのでドレとは特定できないが、まあ便利すぎるのにも欠点があるよねということだろう。某刑務所に収監されている長期受刑者に連絡を取って、とか世界一有名なスナイパーと同じ接触方法でもよかったかな?

  174行:某C国

   カナダかな? コンゴ民主共和国かな? それとも東亜連邦(カレドルフ)かな?

  204行:「部下の能力は完全に把握しているからこそ、自分でやってきたのです」

   つまり王女の脱走計画を明かせるほどの腹心は居ないという事だろう。それと他人に任せずに自分の足で仕事をキッチリこなす人物でもあるようだ。まあ部下たちが陰で何を言っているのか想像できそうな人物ではある。

  225行:「日本にそんな部署があるなんて」

   外務省条約審議官なんて怖い部署に対して言ってはいるが、そりゃそうだ。和美の創作した組織だもの。表には出てこないが日本政府もこういった組織を、実際に持っているものと信じたい。他の公安外事課などは実際に存在する組織である。あ、あと、伯爵は知っていて、ここでは知らないふりをしている可能性があることに注意。

  234行:「伯爵には日本軍って言った方が通じるか?」

   ドイツも戦後は国防軍ではなく連邦軍と名乗っているものなあ。でも日本人からは同じドイツ軍である。同じように欧州人から見れば自衛隊は「軍隊」である。

  294行:姫が和服(ナッツィオナールタハト)

   ナッツィオナールタハトは、和服というより民族衣装という感じの意味かな?

  295行:華道の正道(しょうどう)光花流(こうかりゅう)

   いちおう和美が創作した華道の流派のつもり。もし同名の組織があったとしても、関係はゴザイマセン。

  299行:猪心山(いのしんさん)山車蛙寺(だしのあじ)

  「イノシン酸出汁の味」である。まあ、本当にある仏閣の名前を出すわけにもいかず、ここはダジャ…小粋なトークに。

  436行:「まあ他の国の王さまやお姫さまも…泊まるホテルだもんな」

   舞台になっているのは、立地条件的に言うと帝国ホテルのつもりだ。が、内部間取りはオリジナルにするので、はっきりと断言しないものとする。本物の帝国ホテルならば、外国の王侯貴族はもちろん、あのマリリン・モンローも泊ったことがあるぐらいだ。「昨夜は何を着て寝ましたか」という記者の質問に「(香水の)シャネルの五番よ」と答えた有名な逸話がある。

  476行:「姫がお泊りになるのは、ここのエンペリアル・スイート・ルームだ」

   エンペリアル・スイート・ルームを独訳すると、カイザー・プレイティヒ・ゼマーだろうが、ここは固有名詞として使用している。

  492行:「…見栄という物もあるが、やはり格式という物があるのでな」

   けっきょく見栄じゃんというもっともな意見もある。

  501行:「あの上がエンペリアル・ラウンジとなっていて…」

   エンペリアル・ラウンジも固有名詞として使用している。

  552行:希臘(グリッヒランツ)

   ギリシャ。和美に手で書けと言われても無理な漢字。ありがたや漢字変換機能。

  同行:土耳古(トータン)

   トルコ。これは頭の悪い和美でも知っていた漢字。

  599行:「階段は?」「あそこまで足で上がるのは苦労すると思うが…」

   とはいっても、このホテルが何階建てなのかは考えていなかったりする。帝国ホテル東京なんかは三十一階建てだから、それぐらいとしておこう。とすると最上階の展望レストランの下だから三〇階ということになる。和美なんか三階に上がるだけでも息が切れるのに、階段で上るなんて想像もしたくない高さだ。

  639行:「飛行機で避難することができるように備えてだ」

   ヘリコプターだけでなく軽飛行機だってビルの屋上から人員を回収する方法はある。嘘だと思うなら「グラン・サッソ襲撃」を調べてみると驚かされる。

  641行:フリークライミング

   たまに「スパイダーマン現る」なんていう見出しで高層ビルの壁をよじ登る人がニュースになるよね。マサミチはその逆をやらせようと言っているのだ。

  649行:対狙撃班(アンチ・シュネッフ・グルッペン)

   狙撃対策には同じ狙撃で対抗することが多い。見晴らしのいい場所で、敵性狙撃手が潜んでいそうなところを監視し、もし狙撃の準備を始めたら先手を打って狙撃する。伯爵も部下に狙撃用の装備をさせて屋上にて警戒させる計画なのだろう。

  728行:地上まで六〇メートル近く

   一階層を三メートルとして二〇階建てだな。近くという事はそれ以下の可能性もあるが、それ以上の可能性でもあるということで。

  814行:「…簡単にリフト本体は避けられる」「まるで経験したみたいだな」

   ヒカルに「とあるクリスマスの夜にナカトミビルで」なんて言われたら困る。

  838行:パトカー(パンダ)

   最近はパンダって呼ばないのかな? 昔の不良は、白と黒に塗り分けられているのでパンダと呼んでいたんだけどさ。

  856行:「ネット検索で町並みを見ることができるだろ?」

   グーグルアースのストリートビューとか最近は便利な機能を持つアプリも増えました。

  864行:「日本の自動券売機なんて使った事ないだろ?」

   決行予定である二月には運賃が値上がりしている可能性もある。まあ料金改定はだいたい十月だから可能性があるとだけにしておく。

  879行:「豊田でも同じだろ?」

   豊田駅も中央線快速の終点になりやすい。改札も一つしか無いので待ち合わせには向いているかもしれない。本文を補足すると、電車が一階で改札が二階というのは、橋上駅舎の事だ。豊田駅は駅舎から地上へと階段が複数方向に伸びているため、車と待ち合わせした時に反対側に下りてしまうと出会えない可能性があることを言っている。

  928行:「それはそれでいい形の治安じゃないか?」伯爵は肩を竦めた。

   密告制度や隣組など、ちょっと前時代的な制度が残っているのかも。

  966行:「家で仕事をしているのか」伯爵が意外そうに訊いた。

   これを書いていた頃は珍しかったんだよ。日本にはテレワークなんていう業務体系が導入されるのは二〇年早いと思っていたからさ。まさか推奨される事態になるとは思っても見なかった。ま、疫病の感染が下火になって来た途端に、多くの会社で出社体制に戻ったみたいだけど。

  1057行:「どちらが早いか競争だな」

   結果は『清隆学園の三学期』収録の『二月の出来事』を参照の事。


★九月のB面⑥

 ●心霊探偵のパート

  12行:「ちなみに雲取山も母島も東京都よ」

   東京都の山側の端っこと、海側の端っこですな。さすがに東京と名前がついているが、両方とも田舎である。

  同行:「まぁ青梅は独立国っていう噂があるけど」

   東京都内に存在するとされている魔境。毎年秋になると暴れ出す猛獣を狩る行事「モミジ狩り」を行うので有名。というネタは上の方でやったな…。

  19行:「この坂はね、多摩川の河岸段丘なのよ」

   東京に来るとどこまでも平らで驚かされるが、多摩地区にはいくつかの段がついている。いまワーゲンが登っている段には国分寺崖線と名前がついている。段丘の下には自噴井戸など水源が豊富で、赤土で水に苦労した昔には重宝された。

  57行:「外人墓地?」

   もちろん和美の創作した墓地である。西国分寺周辺にこのような施設は無いはずだ。

  270行:展示品の新聞記事

   実際の大阪朝日新聞の記事を参考にした。ハレー彗星が近日点を通過したのが四月二十日。その十日前から肉眼で観測ができた。尾の中を地球が通過したのが新聞の日付である五月十九日だ。

  294行:「たしかアニメでも、ンな話しがあったような気がする」

   青狸が出て来る某国民的アニメに、このエピソードがあったよね。まだ新聞の発信力が世論にどれだけの影響を与えるか分かっていなかった頃の話しである。まあ似たような話は現代でも小道具を変えて流布されることがあるが。

  428行:心霊探偵の櫻田(さくらだ)恋歌(こいか)ちゃん

   本物のゴシック調が似合う女の子が書きたくなって出したキャラクターである。でも普通の性格にできないのは和美自身がひねくれているから。

  437行:「イズミの紹介だから付き合うが…」

   イズミとは、おそらく『清隆学園の一学期』収録の『六月の出来事』に出て来る情報屋の女性をさしている物だと思われる。

  713行:ベニト・ムッソリーニ

   チョビ髭オジサンのナイスなお友だち。一番の大敵はガソリンスタンドの軒先。

  732行:「そこは十七歳じゃないのか?」「おいおい」

   一部のアニオタにはお約束。


 ●病院内を探索するパート

  10行:ナースステーション

   とくにモデルとした病院は無いつもり。かつて和美は入院病棟へ仕事で入ったことがあるが、目の前で医療機器が誤作動を起こしたのを見たことがある。和美はちゃんと携帯電話の電源を切っていたが、一緒に行った人が切り忘れていたのだ。あの時はビックリした。医療知識のない和美は、もちろん専門家へ丸投げでした。誤作動自体は命にかかわるものではなかったようでした。

  19行:汗一つ搔いている様子は無かった。

   変装しているのは後の方で分かる通り不破空楽なのだが、彼の精神力が凄いという話しではない。変装してドーランかなにかを塗っているから汗が目立たないのだ。

  33行:中折れ帽で顔の上半分を、モミアゲから続く顎髭で顔の下半分を…

   文中の格好を再現すると次元大介になってしまうのはわざと。彼の格好って素顔を隠すのには最適だと思いませんか。

  38行:忙しさゆえか注意する者はいなかった。

   もちろん、空楽はスタッフが忙しいこの時間を狙ってやってきている。やることが多くて不審者まで気が回らないだろうと計算しての事だ。

  57行:扉は、全部開くと相当な間口が取れる。

   患者をベッドごと運び出せるようにするためだ。

  68行:輸液ポンプがリズミカルな音を立てていた。

   音はウソ。本当は無音だ。そうでないと入院患者がうるさくてかなわないだろう。まあここは演出という事で。ちなみに携帯電話やスマートフォンで誤作動を起こしやすい医療器械ナンバーワンである。

  82行:入院患者

   はっきりと本文では書いていませんが、この人物は『清隆学園の夏休み』収録の『七月の出来事』に登場する池上透である。詳しくは『七月の出来事』参照。

  96行:どうやら本物の見舞客が来たようである。

   池上透の母親と、我らが藤原由美子女史である。彼女は透のことを定期的に見舞っている。


 ●ナースステーションでのパート

  15行:池田和美っていう女

   もちろん口から出まかせである。でも脱肛は酷いよな。

  17行:とても渋い声である。…小林清志か、大塚明夫のような…銀河万丈ではなかった。

   空楽の変装から思いついた声。そして「風魔一族の陰謀」は無かったことになっている、と。

  46行:途端にナースステーションの中が騒がしくなった。

   さすがにナースステーションの中に侵入するために、空楽が重篤な患者に何か仕掛けたわけでは無く、まったくの偶然である。これがサトミならば平気でやるだろうが、彼はそこまで悪人ではない。また今回出番のなかった正美の場合だと、真正直に「電子カルテを見せて下さい」と言って、警備員を呼ばれていた事だろう。

  54行:ACLSの台車

   こういう大きな病院、しかも終末医療などを扱っている部署だと、二次心肺蘇生に必要な機材を一つの台車にまとめておいて、いざという時にすぐに持ち運べるように準備がしてあるものだ。もう少し具体的に言うと、心臓除細動器(いわゆる電気ショック)だったり、気道確保用のチューブだったり、強心剤などが乗せられたままになっている。

  89行:患者を見舞いに来た女子高生

   再度確認するが、藤原由美子である。

  94行:不法侵入している黒いスーツの青年なんて、影も形も無かった。

   どこに逃げたのやら。身を翻してエレバーターホールへと走ったのか、それとも奥の仮眠室へと逃げ、さらに発見されないように天井にでも貼りついたか?

  105行:「なんか機械の表示がおかしくなっちゃったんですけど…」

   この場合、想定しているのは、輸液ポンプの誤作動などではなく、ただ輸液自体が切れただけとする。

  116行:「電子カルテ? 『サトミヒロシ』?」

   ということで、由美子もサトミの体の事を(以前から薄々健常体ではないと思ってはいたが)具体的に知ることになったということでよろしいでしょうか。


 ●病院の外のパート

  33行:入院患者

   もちろんサトミヒロシである。彼は定期的にここに入院して色々な検査を受けている。受けている理由は『清隆学園の一学期』収録の『六月の出来事』参照。

  35行:「『オレ』ということは、今はサトミでは無いのか」

   サトミヒロシは、自身が女装している時は女として扱わないとヘソを曲げるという、厄介な性格をしている。今回は男とも女とも取れるパジャマ姿だったため、わざわざ確認したということだろう。女装の時の一人称は「私」である。

  85行:「見舞いと言ったら花だろ?」

   これが『清隆学園の夏休み』収録の『七月の出来事』のラストシーンを思いついたきっかけなのかもしれない。


 ●ハカセのお宅にお邪魔するパート

  4行:電車では聞かれないガシャンガシャンという自動連結器が擦れあう金属音が…

   貨物列車は手を握りあうような形の自動連結器、電車はザクッとお互いが刺さるような形をした密着連結器である。自動連結器は牽引力がかかる方式に強く、密着連結器は力がかかることには比較的弱いが、連結器に隙間が無いので乗り心地が良くなる。簡単に言うと機関車は自動連結器、電車は密着連結器である。ちなみに児童書で有名な機関車トーマスは、もっと古いリンク式連結器である。

  24行:高校生の世話をしているような立場

   とは言っても在野に埋もれる才能を発掘するという仕事を始めたのは、彼女自身ではある。が、数学者よりも教育学者の方が向いている仕事であろう。

  34行:高級マンション

   ここは『オペレーション・コード;エルフ』収録の『幕間⑬』に出てきたマンションです。

  145行:明日の早い便の飛行機のため、この時間から出て…

   女子中学生とその両親。特に女子中学生に注目。彼女は来年度に清隆学園高等部へ入学して来る鞍馬さくらである。彼女は翌年の春の時点で天涯孤独となっていた。つまりこの後、鞍馬一家は飛行機事故に遭うのだ。

  276行:ペールピンク

   いまは「肌色」って言っちゃいけないんですって。昭和生まれには難しいですね。

  309行:ヒカルの右手が乱暴に…叩いた。…武器を隠し持っているかを確認…。

   本当なら銃を構えたヒカルの役割では無くて、アキラが身体検査をするべきなのだろう。ヒカルが自分で行ったのは、アキラが見落とすかもしれないという不信感と、自分以外の女性の体をアキラが触るのを見たくなかったとか。

  349行:口元に首にかけたタオルの柔らかさを感じてみた。

   動揺している時、人は口元へ手指を持って行きがちになる。博士は意識して行う事で心の動揺を抑え込んでいるのだろう。

  366行:革靴のままだった。ヒカルも…履いたままだし…アキラも土足であろう。

   もちろん荒事になることを見据えての土足だ。もしかしたらハカセの家に警備兵が常駐しているなどの事も視野に入れていたのだろう。土足ならば戦うにしろ逃げるにしろ躊躇する事は無い。

  373行:フローリングの床には、足跡一つ見つけることはできなかった。

   そこはプロであるヒカルが混じっているのだから「足跡を残さずに」行動するのはお手の物だろう。この場合、本物の足跡という意味ももちろんあるが、痕跡を残さないという意味でもある。

  420行:「ハカセが我々に見せてくれた、検体窃盗犯の映像ですよ」

   前回の『八月の出来事B面』参照。

  582行:「さすがにグラスを割って凶器にするとか考えはするが、実行はしないよ」

   文句は冷水を用意したアキラに言うべきであろう。まあ素人のアキラにそこまでの対応を求めてもムダであろうが。ハカセは自分の体にまだアルコールが残っている等の情勢を分析して言っている。

  652行:二十四次元の接吻数が間違えて一九、六五六二だった

   数学で「n次元の単位球の周りに、単位球を重ならず触れ合うように並べる時、最大何個並べられるか」という問題の答えである。〇次元では〇個。三次元では一二個。二十四次元では一九六五六〇個である。

  757行:「希少な鉱物などをふんだんに使いますからなあ」

  『生命の水』の原材料について詳しくは設定していないが、何もせずに自ら発光するということは、何らかの放射性物質が含まれていることは、容易に想像がつく。そして、そういった鉱物は押しなべて希少であるから高額である。

  773行:「ああ、あのバイトか」

  『五月の出来事B面』参照。

  941行:「いや、渡さなかったでしょう」

   なにも明実だって意地悪して他の研究施設に『施術』の情報を渡さないのではない。『施術』の研究をしていると、天使に見つかり攻撃される恐れがあるからだ。敵を分散するという役割を持たせることも出来るかもしれないが、複数個体の天使が地上に下りてくることになったら、敵ばかり増えて厄介であろう。

  957行:「ワイルドカードというより自爆ボタンだろ、ありゃあ」

   サトミの事だ。たしかに爆発炎上火気厳禁のサトミは何をしでかすか分からないという事で後者の方が近いだろう。

  998行:柳田(やなぎだ)美也緒(みやお)という女子生徒。

   彼女の事は『清隆学園の三学期』収録の『一月の出来事』参照。

  1031行:化学部の部長である三浦(みうら)康介(こうすけ)

   彼の事は『清隆学園の三学期』収録の『一月の出来事』参照。

  1052行:三人は顔を見合わせると溜息をついた。

   アキラだけ分かっていなくてキョトンとしていそう。アキラよ、そのままの君でいてくれ。


★九月のB面⑦

 ●二学期が始まった清隆学園高等部のパート。

  31行:「ダンボール箱を被ったような低い姿勢で…」

   どこのメタルギアシリーズの主人公だよ…。

  48行:赤い流星の形をした徽章

   胸につけているマークはやっぱり流星でしょう。これで通信機になったら「ウルトラマン」に出て来る怪獣に対抗する組織である科学特捜隊だな。まあ和美的には流星マークと言えばクラッシャーなのだが。

  79行:まるで遠くに見える富士山に木霊させるような大声で由美子が否定した。

   清隆学園からおおよそ一三〇キロメートルほど離れているが、一年生の教室が並ぶ高等部三階の窓からは富士山が見えるものとする。まあテレビのニュースでもたまに取り上げられるが、都心からでも(高い建物が邪魔をしなければ)見ることはできるのだ。

  92行:画面に表示されていたのは、浴衣姿の由美子であった。

  『清隆学園の二学期』収録の『九月の出来事』参照。

  99行:「なんだ女じゃねえか」

   残念。それは女物の浴衣を着たサトミである。まあ画質が悪いという事でヒカルにも分からなかったのだろう。

  109行:手を伸ばしてくる由美子に取られては大変と…彼女の射程圏外へと避難させた。

   設定では、恵美子の身長は、男子の平均的な身長である(今回は出番がなかった)権藤正美と同じぐらいの身長である。よってレギュラー陣の同級生女子の中で一番背が高い。

  128行:「必要とあれば画像補正するが?」

   研究所の映像を補正できたのだから、これぐらい朝飯前という事だろう。あと明実には一目で映っているのが由美子とサトミだという事が分かったようだ。

  209行:…田沢先生は…黒い衣装を、女先輩は白い…衣装で「お揃い」だった。

   白と黒でお揃いという事は、初代プリキュアかな?

  230行:一嗅ぎで煙の正体に気が付いた。

   たしか生物部は『清隆学園の一学期』収録の『六月の出来事』でも、こういった問題行動をしていたような。

  254行:吹奏楽部

   『清隆祭』でやる屋外コンサートの練習であろう。

  281行:二人の女先輩と…

   名前だけは『幻影幽霊』にも出ていたはず。

  287行:ふくよかな女子生徒と優男の二人組

   同じ一年生であるアイコとヤマトの二人である。初出は『幻影幽霊』であるが、フルネームが分かるのは『オペレーション・コード;エルフ』である。

  367行:二人が図書室で起きた騒動を知るのは、翌朝の事だった。

   なにがあったのかは『清隆学園の二学期』収録の『十月の出来事』参照。


 ●天使のパート

  21行:多摩川の支流が形成した扇状地の方

   イメージしたのは八王子市のあたりである。敷地に余裕があるのに文系の学部が移転したのは、おそらく税制で優遇処置などがあったのだろう。また普通ならば、ついでに最新器材を導入するために、理系の学部が移転する事が多いようだが、清隆学園では文系の学部が移転したことにした。その理由は単純で、理学部が物語の舞台に近い方が、和美が話しを作るのが面白そうだったからである。

  41行:神学部のある大学の設立申請は、とても承認しやすい物だった。

   長崎に原爆が落とされたのは、日本国内のカソリック系キリシタンの勢力を削ぐためだった、なんて説があるぐらいだ。戦後すぐに設立された大学を調べると興味深い事も事実である。

  75行:教会…とても小さな物だ。

   学生同士で結婚する時に安く済ませられるし、そういう時は招待客も両親と限られた友人といった程度だろう。披露宴だって教会の前での立食パーティとか、学食のパーティルームなどで行うのではないだろうか。そういった需要がまだあるので残されていると思われる。

  107行:図書室常連の左右田(そうだ)(まさる)であった。

   ということで、あまり日の当たらないキャラクターだった優が、一躍悪役に転身か? といったところで、今回はおしまい。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ