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ヒーローのいない街  作者: 総督琉
第一章『白き死神』
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第一章3 雪が降る

 ヒーローへ襲いかかる吸血鬼たち。

 既に倒れているレッドテイルを除くと、ヒーローはブラックアサシン、レッドパチンコ、マンモス男、ハルベルトの四人。

 それに対し、吸血鬼側は二十四人と、明らかな戦力差があった。


「シルバー=ウィーク、その中に闇に紛れる者がいる。全身黒色の服を着ている奴は厄介だから速めに殺せ」


「了解」


 レッドテイルを刀で刺した白髪の吸血鬼ーーシルバーは、全身黒色の服という特徴を便りに、ブラックアサシンを見つけた。

 ブラックアサシンはすぐさま闇に紛れるも、その瞬間にシルバーがブラックアサシンが消えた場所へ刀を大きく振るった。その攻撃を受け、ブラックアサシンは壁に背中をぶつけ、意識を失った。


「お前ら、他の奴らは任せたよ」


 シルバーは白スーツの吸血鬼の側まで戻った。

 他の吸血鬼らは一斉に残りのヒーローへ襲いかかるーーだが、その時、屋根を下駄で疾走する少女は叫ぶ。


「ちょっと待った」


 吸血鬼らの群れの中に飛び込んだ。直後、そこを中心に周囲に電気が放たれた。吸血鬼らは全身が麻痺し、気絶して地に落ちる。

 その少女を見て、意識を朦朧とさせるレッドテイルは思い出した。


「食堂の子か……」


 少女は下駄を履き、浴衣姿で現れた。


「私は雷雷(らいらい)、ヒーロー参上」


 一瞬で十人もの吸血鬼が電気で倒された。

 それにシルバーは刀を構え、雷雷と名乗る少女へと斬りかかる。


「無駄無駄っ」


 雷雷へ刀を振り下ろすシルバーだが、電気が雷雷を護るように壁となって現れ、シルバーの刀を防いだ。

 無傷な雷雷に対し、攻撃を仕掛けたシルバーは手を電気でダメージを受け、痺れていた。


「随分と能力に恵まれているな」


「お兄さんでは私には勝てないよ」


 雷雷は痺れているシルバーの顔へ蹴りを入れた。下駄越しに伝わる電流にさらに体は痺れ、意識を朦朧とさせた。

 雷雷が隠し持っていた短剣を取り出したその時、白スーツの吸血鬼は雷雷の短剣を蹴り飛ばし、その上雷雷の腹へ拳を入れた。雷雷は軽く吹き飛ぶも、壁に足をつけ着地した。

 しかし驚いたことに、雷雷を殴った白スーツの吸血鬼は痺れてはいないようだった。


「私の電気、効いてない?」

 

「効いてはいるさ。ただ私は他の吸血鬼よりもタフなものでな、この程度の電気では私は倒せん」


「だったら少しは、本気出さないとだよね」


 雷雷は突如、全身に激しい電気を纏い始めた。周囲に激しく電流が散り、拡散される。

 膨大な電気を纏う雷雷を目にし、白スーツ吸血鬼は冷や汗を流す。


「これはさすがに……」


 逃げようとする白スーツ吸血鬼であったが、雷の速度で動く雷雷から逃れられず、腹、背中、顎、と次々と攻撃を受ける。その度に、全身に電気が流れている。


「私の電気にこんなにも耐えるなんて、ただの吸血鬼じゃないでしょ」


「さあね」


 電気を纏う雷雷に対し、白スーツ吸血鬼は無能力で張り合っていた。しかし、白スーツ吸血鬼も雷雷も、互いに疲れているようだった。

 その時、白スーツ吸血鬼はシルバーへ預けていた、血の入っているワイングラスを受け取る。


「まずい」


「シルバー」


「了解」


 シルバーは刀で雷雷の蹴りを受け止めた。先ほどからの戦いで、電気も弱まっていた。

 白スーツ吸血鬼は、血を飲んだ。

 そのワイングラスに入っていたのは人間の血。吸血鬼は血を摂取することで、再生力や筋力、その他諸々が強化される。


「飲まれた……」


「雷雷とか言ったかな。君は雪見時雨ほどは強くはない。だから私には勝てない」


 白スーツ吸血鬼は速すぎるあまり、一瞬で雷雷の視界から消えた。

 腹へ打撃を受け、雷雷は吹き飛ぶ。見上げれば白スーツ吸血鬼がいる。再び腹へ打撃を受け、地面にひびをいれて倒れこんだ。


「この程度ですか。弱いですね」


 白スーツ吸血鬼が雷雷の心臓目掛け手を突き刺そうとした刹那、気温が突如低下した。それはまるで彼女の訪れを告げるかのように。

 突き刺そうとした右腕は吹き飛んだ。そして断面が凍りつく。その光景は、以前にも目にしたことがあるだろう。


「こんなところにいたのか。探すのに苦労したよ」


 その声にも、彼は聞き覚えがあった。

 彼女は冷気を纏いながら、彼の前に現れた。


「雪見時雨か……」


「なあ吸血鬼、今どんな気持ちだ?」


雪見時雨登場。

冷気を纏い、彼女は冬を連れてきた。

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