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ひなぎく  作者: くらむ
9/22

9 洋服の腕を通すところに足を通してズボンの代わりにしていたよ

「それじゃあ、ひなぎの言うお願いっていうのは……」

「意識のバルブを閉めに行って欲しいの」

「ぼくが?」

「耕作くんが」

「なんでぼくが?」

「だって、わたしの世界にも、ある日突然耕作くんがやってきたのよ」

「行ってないよ」

 とぼくは驚いて否定する。


 ちっちっちっ、とひなぎ(ゲタ)が指を振った。

 ちっちっちっ、とひなぎ(ゲタ)が指を振った。

「なんで二回したの? ちっちっちって」

「ずっとやってみたかったのよねえこれ!」

「……」


 話を戻す。

「ぼくは行ってないよ。ゲタ・ワールドなんかには」

「ちっちっちっ。だからあなたとは違う、別の世界線の耕作くんが来たの」

 別の世界線のぼく?

「その耕作くんはね……洋服の腕を通すところに足を通してズボンの代わりにしていたよ……そうするのが普通の世界線のようね。わたしにとって、ゲタをはくのが普通なように」

「なんかいやな世界線だなあ」

「でもそこではそれが普通なのよ」


「それで? そのぼくはなんて言ってたの?」

「その耕作くんもまた、別の世界線の誰かから、メッセージを受け取っていたようね。そして、その別の世界線の誰かさんもまた、さらに別の世界線の誰かさんから、メッセージを受け取っていた」

 ぼくはなんだか頭がぼーっとしてしまう。

「きりがないな」

「だけどとにかく、そのようにして、いくつもの世界線を超えて、最終的にあなたのもとへそのメッセージは届いた。『意識のバルブを閉めにきて!』」

「そんな……」

 

 そんな壮大な伝言ゲームは聞いたことがなかった。

 それに、伝言ゲームなら、人から人へと伝わっていくうちに、内容がまったくちがうものに変わってしまった、というおそれも、あるのではないか?

 最初の言葉は、「意識のバルブを閉めにきて!」ではなくて、「別の世界の世界人類も平和でありますように!」だった、という可能性もあるじゃないか……。


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