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3 ウィリア・ムバト・ラー・イエーツ
ぼくはその日帰る途中、県立図書館に寄った。
あの作家の名前をメモしたノートを取り出してぼくは言う。
「あのう、司書さん。ウィリア・ムバト・ラー・イエーツの本って置いてありますか?」
「ちょっと待ってくださいね……ごめんなさい。本館にはないようですね」
「おかしいなあ。あんなに人気だったのに」
「ひょっとして、ウィリアム・バトラー・イエーツですか?」
「……へ?」
ぼくは赤っ恥をかいた。
ぼくは、『鷹の井戸』片手に県立図書館を出てくる。
それからぼくはてくてくと歩き始めた(当たり前か)。




