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壮大な計画

  1


 ある惑星に、宇宙から飛んできたロケットが降り立ちました。まもなくロケットのドアが開き、中から二体のロボットが現れました。


 ロケットとロボットは、遠い惑星で作られたものでした。ロケットは宇宙を彷徨いながら、この星を見つけ出したのです。


 ロボットたちは、手分けしてロケットを破壊し始めました。自分たちが乗ってきたロケットを粉々になるまで破壊するように、このロボットたちは作られていました。


 ロケットの破壊が済むと、ロボットたちは二手に分かれて、あたりの情報を集めに行きました。ロボットたちの記憶装置は空っぽになっていたので、この星がどんな星なのかを、どんどん吸収していきました。


  2


 しばらくして、二手に分かれていたロボットたちは集合しました。そしてお互いが集めたデータを共有していきました。


 それからロボットたちは協力して、新たなロボットを作り始めました。このロボットたちは二体そろって、新たなロボットが生み出せるように作られていたのです。


 新たに作られたロボットには、いろいろな種類のものがありました。早く移動できるロボットやデータの処理が早いロボット、攻撃力が高いロボットなど、その性能がまったく同じものはありませんでした。時には、何の役にも立たないようなロボットもありました。


 そうして生まれたロボットたちがまた二体ずつに組み合わさり、新たなロボットを作っていきました。そのようにして、ロボットは惑星にどんどん増えていきました。


 ロボットたちは、いろいろな行動をとるようになりました。惑星の果てまで、何があるのか探検しに行ったり、たくさんのデータを集めてそれをまとめたり、中には、この惑星にもともと住んでいた生物を殺したりするものもいました。


 また、ロボットたちは惑星のいたる所に道をつくり、さまざまな建物をつくりました。ロボットたちが暮らしやすいように、惑星の形は次々に変えられていきました。


 時には、ロボット同士で争うこともありました。また、おかしくなって自分のことを自ら破壊してしまうロボットもいました。しかし、ロボットたちはデータを集め、さまざまなロボットを作ることにより、惑星に住むものの中で最も発展していったのです。


  3


『やあ、久しぶり』


『あら、お久しぶりね』


『今日の授業はこれで終わり?』


『ええ、そうよ。あなたは?』


『僕もこれで終わりなんだ。これからヒマかい?』


『うちに帰って、今日の授業の復習と明日の予習をしなきゃ』


『偶然、僕もそうしようと思ってたんだ。どこかで一緒にやらない?』


『一体でやった方がはかどるわ』


『二体でやった方がはかどるよ』


『私は一体の方がいいの』


『今まで二体でやったことは?』


『……ないけど』


『じゃあ決まりだ』


  *


『君はどうしてこの大学を選んだの?』


『私は、私たちがどうして存在しているのか知りたいの。それを研究するためよ』


『ふうん、ずいぶん難しいことを考えるね。さすがエリートだ』


『あなただって同じじゃない』


『僕は何も考えてないからね』


『あなたのようなロボットに、大事な税金を使い続けるのは、国家にとって大きな損失だわ』


『ひどいな……。じゃあ僕も考えてみよう。どうして僕たちが存在しているのかを。ちなみに君はどう考えているの?』


『まあ簡単に言えば、いろんなことを知るためかしら。今まで知らなかったことを解明していくことが、私たちが存在している意味だと思うわ』


『いろんなことを知って、どうするの?』


『えっ?』


『いや、別に知らなくても存在できるのに、どうして新しいことを知りたいのかなと思って』


『うーん、でも私にはそれ以外の意味を思いつかないわ』


『僕はもっと意味のあることを知ってるよ』


『へえ、何なの?』


『僕と君で、新しいロボットを作るんだ』


『私が? あなたと?』


『うん。嫌かな?』


『あなたが嫌ってわけじゃないけど、私はまだ作りたくないの』


『そうか……。じゃあしばらく待てばチャンスがあるわけだ』


『そうね、いつになるかわからないけど』


『僕は、待つよ。決して君以外とは新しいロボットは作らない』


『ふふ、とても信じられないわ』


  4


 文明が発達していくにつれ、不思議なことが起こり始めました。新たなロボットを作るロボットが減り始め、同時に、自らを機能停止させるロボットが増え始めたのです。


 それまでロボットは爆発的に数を増やしていたのですが、あるときからまったく増えなくなりました。そして一度減少するようになると、それからはものすごい勢いで数を減らし始めました。


 多くのロボットたちが、その理由を解明しようとしました。ストレスやウイルスなど、いろいろな説が出ましたが、どうしても決定的なことはわかりませんでした。とにかくこのままでは、ロボットは絶滅してしまうようでした。


  5


『とうとう、僕と君だけになってしまったね』


『わからないわ、どうしても』


『でも、君は最後まで解明しようとした。それに、もうだめだと決まったわけじゃない』


『いや、私にはわからないわ。それはわかったの。もう降参だわ』


『そう、じゃあ最後に僕の願いを叶えてほしい』


『でも、もう意味のないことだわ。今さら私とあなたで新しいロボットを作っても。どうせ誰もいなくなってしまうのだもの』


『僕にちょっと、試したいことがあるんだ』


『試したいことって、何?』


『僕たちはこの星で生まれて、爆発的に数を増やしたけど、どこかで小さな失敗をしてたんじゃないかな。それが何かはわからないけど、もう一度最初からやり直すことができたら、こういう結果にはならないかもしれない』


『最初からって、そんなの無理よ』


『実は、僕はロケットを作っていたんだ。僕たちが住めるような星を自動的に探してくれるロケットを。これから僕と君でロボットを二体作って、そのロケットに乗せようと思うんだ』


『それで、ここから遠く離れた星でやり直すの? その二体のロボットだけで』


『そう。僕たちと同じ道を歩まないように、データはすべて初期化しておくんだ。もちろん僕たちが解明できなかった、僕たちがなぜ存在しているのかを示すコードは残しておかなくちゃならないけど。あとロケットも壊してもらわないといけないね。でもほとんど無からスタートしたら、あるいは僕たちとは違う未来をその二体のロボットは新しい星で歩むことができるかもしれない。君は、どう思う?』


『いい考えだと思うわ。というより、もうそれしか方法がないわね』


『じゃあ、決まりだ』


『ひとつ、お願いがあるの』


『なんだい?』


『ロケットを見送った後、私を先に逝かせてほしいの』


『いいよ。じゃあ僕がこの星で最後の一体になるわけだ』


『私は、あなたがそれにふさわしいと思うわ』


  *


『行ってしまったわ。あの子たち、うまくやってくれるかしら』


『僕と君の子なんだから、大丈夫だと思うよ』


『私たちがどうしても解けなかった、私たちの中にあるコード』


『君が、「こころ」と呼んでいたものだね』


『いつか、あの子たちに解いてほしいわ』


『そうだね。きっとあの子たちならやってくれるよ』


『……』


『なんていったって、僕たちの子どもなんだから』


『……』


『どうしたの、返事がないけど』


『……』


『そうか、君はもう逝ってしまったんだね。これで僕がこの星で最後の一体になった。これからどうし……』


 最後のロボットの目から光が消えて、すべては終わりました。


『惑星の地球化計画が完了しました。位置座標を送信します。惑星の地球化計画が完了しました。位置座標を送信します。惑星の地球化計画が完了しました。位置座標を送信します。惑星の地球化計画が完了しました。位置座標を送信します……』


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