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浮遊

作者: 泉末広

ひとときの浮遊なら味わえる。

がんじがらめの世の中。

見えない緊縛で諦める前に、裸になって。

ここだけならいいでしょう。

冷たい床に膝をつき、自らの熱を感じとる。

満たされない疲労を流してもいい。

忌々しい嫉妬を流してもいい。

惑わす自惚れを流してもいい。

残骸を絡め取る排水口に、慰めの雫が落ちる。

誰もが見ていないけど、騒ぎたてないように。

滑らかな水面に泣きっ面を映して。

僅かな贅沢が湯槽から滑り落ちていく。

今だけならいいでしょう。

生き続けるために歩く足を、拮抗する重圧に解き放つ。

ありもしない毒に犯される身体を、産まれる前の想い出の中に。

浮きつ沈みつ、懺悔と後悔はいずれ消え失せる。

許せる日は、いつか必ず。

胸踊る航海は、取り敢えず満たされる。

見せたくない涙は、全身を沈めれば海になる。

母なる海は遠いから。

生命の泉は見つけられないから。

それでも、還る場所は知っている。

だからここで、赦されるまで沈んでみる。




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― 新着の感想 ―
[良い点] きれいな詩ですね
2019/08/22 14:18 退会済み
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