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栄光の陸上艦隊  作者: 石間なると
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第四話『灼熱地獄!くろがねのキャラバンは西へ征く』

[ 10 January 1944 Iraq ]

Main Character

島村豊作

ガマール・フセイン

フッド

西住竹一率いる陸上機動艦隊がエカテリンブルクに到達しブライトシュプールバーン-超巨大鉄道-に戦車部隊の積載を完了した頃、重慶を攻略し西安を発った島村陸上艦隊は激戦が続く欧州戦線に向け一路前進していた。舞台はかつて東西文化を結ぶ隊商路であったシルクロードである。


「進路そのまま、前進せよ!」島村司令は疲労していた。摂氏五十度、太陽が照りつける灼熱の砂漠である。百式重砲戦車16両、九九式自走砲36両、オイ車80両その他支援車両群で構成される大部隊がその只中を進んでいた。しかし、燃料の消費が予想よりも激しくこのままでは次の補給地点であるドイツ領バクーに到達出来るのかも怪しくなっていた。このままだとただの鉄屑集積場になりかねない。「前方に艦影を確認!」報告を疑問に思う島村司令は訝しげに双眼鏡に手をまわす。「確かにいるな。友軍だろうか。」直後、砲弾が部隊をかすめる。前方にいる部隊の正体は、イギリス植民地軍の部隊であった。イギリス植民地軍は各部隊に陸上戦艦を1両ずつ配置しているので厄介な相手だ。こちらから確認できるだけでも陸上戦艦TOG5の数は100両を超えている。敵は既に陸上艦隊出撃の報を受け全力で迎え撃つ為に、予想進路上で待ち構えていたのだ。


「敵1両に対し我が方5両で攻撃せよ。戦いは数だよ。」イギリス領シリア総督フッドは余裕の構えだ。そう思うのも無理はない。連装14センチ砲塔を備える陸上戦艦TOG5が100両余、巡航戦車と歩兵戦車を合わせると300両を優に超える圧倒的部隊が隊歌「ブリティッシュ・グレナディアーズ」を奏で、勇壮に前進する。


「敵車輌数150両を突破!」島村司令は動揺した。敵部隊は二手に分かれる形で陸上艦隊を包囲した。TOG5は百式の側面を攻撃したがその過剰なまでの重装甲を突き破ることは出来なかった。「こうなる事は百も承知さ...!」TOG5が放った一発の砲弾が百式の側面装甲を貫く。イギリス軍が新規開発したタングステン徹甲弾だ。百式は反撃を開始し、両者は激しい砲撃戦を展開した。TOG5に随伴するマチルダIIは、百式を護衛するオイ車に攻撃するが歯が立たずオイ車の15cm榴弾を食らって粉砕された。日本側の自走砲はクルセーダーに襲われ始めた。


「日本艦隊の諸君!!よくぞここまでやって来てくれた!」突如敵軍後方のTOG2や自走砲が10両単位で吹き飛んだ。砂丘の稜線を越えて押し寄せて来たのは噴進砲やパンツァーファウストを搭載した無数のトラックであった。鹵獲したのだろうか、少数の戦車も見受けられる。イギリス植民地軍は前と後ろの二方面から包囲された格好となり分散した。その後は多少の抵抗はあったもののあとはただのウサギ狩りであった。


島村に司令官と思われる人物が朗らかに近寄る。「アラブ解放の一助たらしめた貴方に感謝の意を表する。吾輩はガマール・フセイン。アラブ自治連盟会長兼解放軍司令官だ。君の名はこの地にも轟いているよ。」「この苦難の最中、貴方のような聡明な方に会えて光栄です。」「補給が足りないのであれば我々が解放した油田に立ち寄りなさい。ここから5kmもかからない。」バクーへの道は開けた。


舞台は移り曇天のフランス。陸上戦艦ラーテ車上のロンメルは呟く。「敵は既に勝ったと思っているな。」グラツィアーニ元帥は応じる。「そうらしい。では、教育してやるか。」小高い丘陵の向こうにはパットン率いるアメリカ欧州遠征軍が集結している。米英連合軍5000輌対独伊同盟軍3800輌による史上最大の機甲戦が幕を開けようとしていた。


☆陸上戦艦ラーテ

1943年に始めて実戦投入された陸上戦艦。1944年1月現在での量産台数は100輌程度。日本から一部借用しているウラル戦車工場をフル稼働させる事によって月間生産台数は増加している。

「シュレースヴィヒ=ホルシュタイン」

西方軍集団司令官ロンメルが乗車している。

「トリポリ」

イタリア北部方面軍司令官グラツィアーニが乗車。ラーテは20輌程度がイタリアに供与されており、ライセンス生産も検討されている。


次回予告:第五話『史上最大!狼の群れは暴風に哭く』

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