俺の名は。
処女作です。
よろしくお願いします。
4月6日(月)
ジリリリと大ボリュームで時計がなり、俺は目覚めた。寝起きの締まりがない顔で時計を止め、カーテンを開ける。外から太陽の光を浴び、やや眩しかったが一日の始まり…いや、高校入学式の朝にしてはかなり相応しいと思う。
俺の名前は、一星 一輝
日本のN県N市に住む15歳で、今日から高校生だ
俺が今日から通うことになる〈県立希望ヶ丘学園〉は、日本の中でもかなりハイレベルの魔物ハンター育成学校で、ここを卒業した人達は魔物ハンターとして活躍している。
…僕のヒー〇ーアカデミアのUA高校みたいとか言うなよな?
「一輝〜!早く降りてきなさ〜い!朝ごはん冷めちゃうわよ〜!!」
おっと、ちょっと自分への説明が長すぎたかな
母親の俺を急かす声が聞こえ、俺は1階にある台所へ移動する。
「おはよう!母さん。」
「おはよう一輝。ほら、早く食べちゃいなさい。時間はまだあるけど、余裕があるからってゆっくりし過ぎるのはダメよ。」
「そうだぞ一輝。一星家の人間たるもの、常に余裕を持って『優雅たれ』だ。」
妙に顎髭を伸ばし、コーヒーと食パンが朝食のスーツ姿の男こそ、我が家の大黒柱の父である。
『優雅たれ』なんて最近使い始めた言葉だ。恐らく何かのアニメに影響されたのだろう。顎髭も中途半端に伸びてるし。
「分かってるよ父さん、母さん。ご飯を食べたら直ぐに着替えて歯を磨いて、禊と一緒に登校するよ。」
「それにしても、禊くんとは幼稚園の頃から今まで、ずっと同じ学校に通うことになるとはなぁ…。一輝、友達は大切にするんだぞ。」
「分かってるって。なんでそう朝から饒舌なのかねぇ」
「…よし、ごちそうさま母さん!食器は流しに置いとくよ!」
俺は朝食を終え、再び自室へ戻り今日から通う学校の制服に着替えた。
「やっぱり希望ヶ丘の制服はカッコイイよな〜。この黒の学ランこそ高校生って感じがして、そこに痺れる憧れるぅ!」
俺が鏡の前で自画自賛していると、外から
「一輝く〜ん!起きてる〜〜?」
と声がした。
この声の主こそ先程父親との会話にでてきた〈四条 禊〉である。
「わりぃ!歯ぁ磨くからあと3分待ってくれ!」
俺は急いで歯を磨き、行ってきますと両親に告げて外へ出る。
「おはよう一輝くん。さすがに高校の入学式当日にもなると早起きさんだね」
「おうよ!俺は今日から生まれ変わるんだ!ちゃんと早起きして遅刻しないで、夜は勉強して早く寝るんだ!」
と、小学生ですらやれることを俺は声を大にして禊に話した。
「もう、一輝くんったら。そんなことをいちいち大声で自慢げに言わないでよ」
クスクスと禊が笑うと、俺は頰を少し赤くする
言い忘れていたが、禊は男だが見た目はとても中性的だ。もっと言うと、仕草や言葉遣いも相まってか弱い女の子みたいだ。俺はホモじゃないけどコイツの笑顔には胸にくるものがある。もう一度言う。俺はホモじゃない。
「そう言えば禊って、なんで希望ヶ丘受けたんだ?」
隣の家に住む俺たちだが、お互いに進路の話はした事がなく、なんとなく今聞いてみた
「僕ね、希望ヶ丘に入って自分を鍛えて、それで魔物から家族や友達、一輝くんを守りたいんだ!」
天使の笑みでそう話す禊。やっぱり可愛い。
「へぇ〜そうかい!俺よりも貧弱な体で俺の事も守ってくれるのか!そんじゃあ期待してるぜ禊」
そう言って禊をからかうと
「もぉ〜!なんでそんな事言うのさ!」と言いながら肘で俺を小突いてくる。可愛い。
そうして他愛もない会話しながら徒歩15分。俺達はついに今日から通うことになる、県立希望ヶ丘学園に到着した。