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数分後。街の門番を一瞬で昏倒させ、街に侵入したマキシはドラゴンからもいできた角を挟んで、道具屋の店主と向き合っていた。
「銀貨35だね。これ以上は出せない。こっちにはあんたみたいな得体のしれない奴から買い取るリスクってのもあるんだ。」
「言うねぇ。まぁ、服が手に入るだけの金があればいいさ。親父、これで俺に合うローブは買えるよな?」
「ああ、もちろんだ。」
「ならそれでいいや。たとえ足元見られてたとしても、俺はそれすらない状態だからな。」
マキシは銀貨を受け取り、店を出た。
とりあえず持ち運びが楽そうな角を片方だけ持ってきたが、大きさの割に稼ぎが少なかった気がする。
なんとなく売れそうという理由で持ってきた割には悪くないとも思えるが。
「さーて、あとは服だな。」
無理矢理継ぎ接ぎにしたドラゴンの皮と翼膜では、ゴリラを誤魔化すことはできても怪しさまでは消せない。
こっちも売り飛ばせばいくらかになったかもしれないが、その場合町中ネイキッドゴリラという超ハードモードな買い物になってしまう。
大きなゆったりとしたローブと、顔を隠せるフードが必要だ。
でなければ腕の長さや足の短さで人間でないとバレる。
というかさっきの店主は間違いなく気づいてた。
「ここか?」
数分歩いた先の、針とハサミのあしらわれた看板の店。
ここならマキシに合う服の一つや二つあるだろう。
なければ特注だ。マキシは手持ちが足りることを祈った。