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数時間後。ドラゴンを焼いて食ったマキシは腹を下していた。
「クソぉ……ぅっ……あ"あ"……」
腹がグルグルゴロゴロと鳴る。
ゴリラの体に、ドラゴンの肉は合わなかったらしい。
「うぉぉお……ぐうっ……はぁ……ピットフォール。」
土魔法で穴を掘り、その中に腸の内容物を排出する。
途中ズボンを下ろしそうになったが、無いことに気がついた。
タイムロスはあったものの、内容物は全て地の底に封印された。
「あぁ……ちょっと、楽になった……」
ゴリラにとって動物性のタンパク質はあまり体に合わないらしい。
調子に乗って食べすぎたのも原因の一つだろう。
「ずいぶん難儀な体になったもんだ……」
好物だったビーフカレーとか食ったら死ぬかもな、とマキシは悲しくなった。
今日学んだことは2つ。自分がとんでもなく強いことと、食あたりはそれ以上に強いということだ。
「街に行けば果物とかあるのかな……」
前世で、ゴリラは果物を食うと聞いた気がする。
しかし、この格好で街に入れるのか?そもそもこの世界にゴリラはいるのだろうか。
下手したら新手のモンスターと間違われて殺されそうだ。下手をする前に相手を全滅させる力も無くはないが、それをしたら本当にただのモンスターである。
「せめて服が欲しいよな。」
転生のときに頭の中にインプットされた魔法の中に、物質錬成や変身系の魔法は無い。
自分で作るか、どこかから調達してくるしかなさそうだ。
「ん?」
眼の前にはドラゴンの亡骸。どこかから……調達……
ゴリラでも……かんたん……
お手軽……皮衣…
マキシは導かれるようにドラゴンの羽をもいだ。