淡恋慕
あの日、君を一目見たときから僕の中には君がいっぱいだった。
あの日は確か雨の日だった。古びた神社だから、まさか誰かがここに来るとは思っていなくて驚いたことを覚えてる。突然の雨だったんだよね。
あ、そうそう、友達と喧嘩したときだって来てたよね。友達の消しゴムを君がなくしちゃったんだよね。でも僕は知ってるんだ。その消しゴムに友達の悪口が書いてあった。君はそれを見つけて、友達にはなくしたことにしたんだよね。優しい君の事だから、本当の事を教えたら友達が傷つくことだって考えてあげられたんだ。
後は、受験に合格した時。本当に嬉しそうに笑ってて、今でもそのときの事覚えてる。嬉しそうに僕に合格通知を見せてくれたよね。僕も嬉しかったなぁ。皆にそんなレベルの高いところ無理だって言われて、悔しくてたまらなかったんだよね。あの日から寝る間も惜しんで頑張っていたことを僕は知ってるよ。
時間がたつのはあっという間だなってよく思うんだ。おじいちゃんみたいって君は笑うのかな?ふふ、でもそれでもいいんだ。君が笑ってくれるなら。
ねぇ、君には僕は見えてるのかな?
僕にはとても綺麗に見える。これ以上にないってくらいに。その白無垢、本当によく似合っているよ。
いつでもおいで。僕はここでずっと待っているから。毎年綺麗に咲いて見せるから。
君なら大丈夫。
幸せになれ。
幸せになれ。
どうか幸せになって。
大丈夫。
いってらっしゃい、僕の大切な人。