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調整ミスってめっちゃ短くなっちゃった。
それから数分歩いただろうか、周りの喧噪は殆ど止んでいた。どうやらあたし達が戦っている間に他の屑の始末もあらかた終わったらしい。所々で勝ち鬨を上げる男の姿も見受けられた。犠牲は少なくないだろうけど、この襲撃をきちんと乗り越えたのは事実だ。あたしはその事に安堵していた。
「さて、本部に帰るか。こんな血生臭い所はさっさと離れるに限る」
「そうだな。どの道俺は、そろそろヤバそうだ」
力無く呟いたカインは顔面蒼白で、今にも倒れそうな顔をしている。それを見たルクナが溜め息を付いた。
「日傘は持っていていないのですか?」
「忘れてきちまった。どうせ手荷物になるだろうから、良いんだけどさ」
「良くありません。そのせいで今あなたが私達のお荷物じゃないですか」
「ズバッと言うなあ、ルクナちゃんは」
語尾にはおおよそ生気というものが感じられなかった。本当に倒れそうだ。
そのやり取りに振り返った拓斗は、だけど、あたし達の背後を見て顔色を変えた。そしてすぐに身構えた。
あたし達はそれを見て驚いて背後を振り返ったけれど、そこには何も無かった。ちょっとした岩場があるだけだ。
「いや……くる……それもヤバいのがな」
抜刀の構えを取る彼の額に汗が浮かび上がる。
彼のその姿は真剣なるそれだ。あたし達は更に意味が解らなくなり、顔を見合わせてしまった。そうしてまた拓斗の睨む虚空を見た時だった。
空間が、割れた。




