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六天の二大巨頭

コラトス公国 首都コラトニア


現在、コラトス大公は頭を悩ませていた。その悩みのタネは日英両国のあまりの国力を垣間見て列強一位、二位の国に報告すべきか否かというものだ



だが、コラトスの役目は新たな文明外地域の国が建国されれば報告するというものであり役目を放棄するわけにはいけない。しかし、彼ら六天の上位国が信じられるはずがない





しばらくして、コラトス大公は苦肉の策として我が国コラトスが仲介し上位列強国に引き合せようと思いついた。そのため、コラトス大公は日英についての考察とその国力の片鱗を見せる軍艦を魔像を即座に魔導通信を二カ国に送ったのである








列強国一位 グローンテルア帝国 首都アポロニア



ここグローンテルア帝国は世界一の国である。優れた議会運営、常に最新鋭を行く科学技術魔法技術、豊富な人材ありとあらゆるものが他国を凌駕している強国である。他国と比べ例外な部分は、人間だけではなく亜人も活躍する国家であるところだ






グローンテルア帝国外交省 交流部通信課


「おーい!コラトス大公からの魔導通信が来てるぞ!」


「こんな時期に?まさかあのヴァルガナのアホが動き出したのかッ?」


「馬鹿を言うな。あの国は我が国を絶対に超えられん...そんなことはどうでもいい。新興国建国の報告通信だ」


「あっ、それか。部長に届けてくるよ」




この報告がグローンテルアに渡り日本と大英帝国について知られることとなった。その情報は列強国にとって驚愕と恐怖に包まれた。即座に技術大臣と軍務大臣が呼び出され彼らによって日英の国力の解析が行われた。解析の結果は、列強国人としてのプライドがズタズタになってしまった



「軍務大臣、これはどうかと思われますかな?」


ドワーフ族の技術大臣は軍務大臣に問いかける。2人の表情は暗く重いものである


「どうと言われてもあのコラトス大公が嘘をつくとは思えないのだが...」


人族の軍務大臣である彼は頭を悩ます。列強六天の覇者たる自国が文明外地域に遅れを取るというあり得ない事態が起きているからだ。少しの間、二人の間に沈黙が続く




「ワシは技術大臣として言うが...我が国を超える軍艦、工業製品を作る国が文明外地域に存在するとはありえないとしか言うしかない」



「だが、現実は現実だ。しかも、海軍で計画していた【戦艦カリバーン】のような戦艦を彼の両国は作り上げているとのことだ」


軍務大臣は魔像(写真に相当)を取り出す。そこに写っていたのはイギリスの戦艦ドレッドノートと日本の戦艦三笠であった。戦艦カリバーンとは現実世界で言う所の戦艦ドレッドノートと全く同等なものである

あえて違う所をあげると魔道具や魔法などによりオートメーション化され乗組員が少し少なくなっているところぐらいだ





「ますます、そんな国が文明外地域に存在している理由がわからんな。だが、ワシとしては興味深い。ぜひその技術について知ってみたい」


「まさか、この国に蛮族国家を呼ぶのか?」


軍務大臣のミカエルは技術大臣のゴードンを睨む。列強国に文明外地域の蛮族国家の人間を入国させる事は例外を除き全くない。要はそれらの国を見下しているからだ



「まぁ、待て。冷静になれ。かの国は文明外地域に国土があるじゃろ?」


「それがどうした?」


ゴードンに疑問を呈するがすぐにある事に気がついた


「...なるほどな」


ミカエルはゴードンの問いの真意に気がつく。列強国の人間としてありきたりな理由であるからだ。


列強国は文明外地域の蛮族国家に対して理不尽な要求がまかり通るという事態が当たり前だからだ。つまりは、日英の技術が敵対しつつある接収されてしまえば列強国上位とて厳しくなるからである


「な?お前さんの想像通りだとは思うがあのアホ(ヴァルガナ帝国)にニホンと英国とやらの技術が渡ってみい?彼奴らはそれを用いて我が国に攻めてくるぞ」


「それは、いかんな。悔しいが我が国に招待しなければならんな。我が国がその二カ国を準文明国であると箔をつけなければならんな」


「そうだな。まぁ、まずは我々が例の二カ国(日英)に勝てるかどうか判断するために戦艦を持ってきてもらおう。それも最新鋭のものをな。それと、規模を聞かせてもらわねばな」


「そうだな。我々、列強国の権利であるからな」



日英は列強国に招待されることが決定された






列強国二位 ポートラニア共和国


列強国唯一の共和制国家であるポートラニア共和国。グローンテルア帝国に次ぐ大国である。大国ではあるが技術などはグローンテルアにいつも先手を取られ後手に回っている。しかしこの世界で、唯一グローンテルア帝国とまともに殴り合える強国でありその国力はグローンテルアもライバル視するほどである



グローンテルアがコラトス大公からの報告を受け取っていたのと同じ頃、こちらポートラニアでも報告を受け取っていた




大統領官邸 通信部


「ん?コラトスからか...」


「どうした?」


「いやぁ、コラトスからの連絡だよ」




同じようにポートラニアに日英の情報がもたらされる。即座に解析が行われ解析の結果、グローンテルアと同じく日英を招待することになる。招待の時期がグローンテルアと完全に被ったので軽い外交上の喧嘩となったが下手をするとヴァルガナ帝国にその隙をつけられ漁夫の利を得られる事を懸念して喧嘩はやめ共同戦線を張る事を決定したのであった








コラトス公国 ツヴァレンティア城



日英の大使が召喚されコラトス大公の御前に立っている。両大使は一体何があったのか、急に呼び出されたが何を言い渡されるか勘繰ったがある程度説明を受けていくうちに察しがついていった



「列強国への仲介ですか?」


大使たちは【前もあったようなパターンだな】と思いつつ話を聞いた



「そうです。どうやら列強国筆頭グローンテルア帝国側と列強2位のポートラニア共和国側が貴国らとの友好を図りたいと要請がありまして」



「では、いつ頃がよろしいですか?」


「二ヶ月ほど先が良いと」


「分かりました。本国の方へ伝えておきましょう」


「ただし、貴国らに対してある条件があると伝えられたのですが」



「条件とは...?」


「貴国の最新鋭の軍艦で列強国に訪問してほしいとのことです」


「そうですが」


日英の外交官は心の中で納得した。かの列強国たちは、我々の軍事力を知ることにより自分たちが優位なのかそれとも劣っているのかを見極める気であると容易く推測できた。




その後、両国の外交官は大公との話が終わり公使館へ帰って行き本国へ連絡したのであった






大日本帝国 皇居 とある部屋



元勲を含めた英傑たちや各組織の上層部が集まり今度の列強国への招待についてを話し合っていた




「またしても面倒な事が転がり込んでくるものですな」


「確かに、いささか平和で友好的な手段で交流を図りたいですな」


「仕方ないでしょう。ここはあくまで異世界。それも平和外交の概念を欠く連中ばかりですから」


「海軍としては予算を派遣費に消費したくはないですよ」


「そこは安心してください。特別予算として追加を認可するように手配しますから」





その後、話し合っていくうちに派遣する軍艦についての話になり揉めることとなる


「今度は、どの軍艦で行きましょうか?」


「海軍としては航続距離が長い軍艦、巡洋艦がいいかと。報告でもあったように今回は我が国の勢力圏から列強国は遠いため燃費の悪い戦艦などの大型艦は動かしたくありません」


「それは財政部として賛成です。軍艦は予算の大食いですからなぁ」


「うっ、確かにそうですな」


海軍の人間は嫌味を言われ少しばかり顔を歪めた。



この場の意見が巡洋艦になりかけた時、


「ちょっと待ちたまえ!前回同様、戦艦を派遣した方がいいと思うぞ。武力で交渉がまかり通るこの世界だからこそ戦艦を派遣すべきだ」


陸軍閥の長たる山縣有朋が待ったをかけた。


「しかし、山縣元老。予算も含めてですがある程度は列強国の面子を保つように配慮をした方がよろしいのでは?余計な軋轢を起こして仕舞えばこの世界で生きていけないのではありませんか?」



「馬鹿者!さっきも言ったはずだ。この世界は地球世界以上に武力が信奉されておる。弱肉強食の世界であることは半年前のゴドワナとの戦で判明したのだ。それに、中途半端なものを出せばこの世界の列強は我が国を御し易いと思い込み攻めてくるぞ」


「しかし...」


「しかしもヘッタクレもあるか!それに先方の列強国は最新鋭艦、つまりは戦艦で来てくれと要求している。仮にだ、巡洋艦で訪問してみろこんな程度なのかと思われ恥を晒すことになる!」


「そ、それは...」


参加していた経験の浅い人間は青ざめる。元老たる山縣有朋に強く指摘され自分たちの浅はかな考え方と予算をケチろうとした浅ましさにうな垂れた


「承知しました」


「ワシも少し強く言い過ぎたな。まぁ、我が国がこの世界を生き抜く為に考えているだよ。君らもこれから英国を含め列強たちの悪辣な連中と渡り合わなければならん。言葉の裏読み、時流を読む力を鍛えいざっていう時の身銭を切る豪胆さが必要だからな」


山縣は女神情報から元老の後継者を育てている。見せてもらった未来情報で元老の後継者がいなくなり各組織をコントロールできなくなったのが現実世界での軍部のクーデターに繋がってしまい日本民族を不幸に晒してしまった。だが、この世界では憲法を改正したり組織の改革を行ったり利害調整機関を設立したりと様々な手を打ち失政失策を限りなくなくすようにしているのだ




「山縣閣下、ではどの戦艦を派遣しますか?」


「それは、東郷と話さなければならんが。まぁ、習熟度と航続距離からいうと河内か摂津が候補だな」



この後、北海道で試作兵器を視察していた東郷平八郎に連絡が行き派遣する艦艇の決定が行われた。山縣有朋が考えた通り戦艦河内が派遣されることとなった










大英帝国 ダウニング街10番街


ここ大英帝国ダウニング街10番街は英国政府の首相官邸である。英国の政治の中枢部である。現在、内閣のほとんどのメンバーが集まりコラトス公国を介し列強国からの招待についての話し合いが行われている




「さて、諸君らに集まっていただいたのは他でもない。この世界の列強国からのお誘いについてだ。情報によれば列強国は6カ国存在し『六天』と呼ばれているらしい。そのうち上位の2カ国が我が国と日本に声をかけてきた」


「ほほう。一体、何の用で我が国を呼んだのか?」


「彼らは、我々の戦力分析をしたいのだと思うぞ。彼らからの要求は最新鋭艦で訪問してきてほしいと」


「舐めた真似をしやがるな」


ある1人がふと、ジョークをつぶやく


「六天か。なんともダサいネーミングだ。異世界人は発想が貧相なのか?」


「かもしれんな」


この場にいる全員が笑う。しかし、すぐさま笑いを止め国益を齎す為の戦略を考え議論再開する



「改めて言うのだが、列強国の二カ国は我々の最新鋭艦を見せて欲しいと言ってきている」


「ふむ。最新鋭艦か...クイーンエリザベス級か?バカを言うな。習熟訓練が済んでいないのだぞ」


「しかしだな。我々の威光をこの世界の列強に見せつけなければならん。諜報部によるとこの世界の最大の艦は前弩級戦艦クラスだ。つまり、我々のドレッドノートだけでも腰を抜かすのに超弩級戦艦たるクイーンエリザベス級を見せつけるだけでもインパクトを与える事が出来る」


「だが、無茶はできんぞ」


「分かっている。だからこそ、超弩級戦艦でかつ習熟度がある戦艦を列強に見せようと思う」


「オライオンか?」


「ああ、そうだ。オライオンなら最新鋭艦の部類であるし、一応は嘘はついていない(・・・・・・・・)


ああ(・・)確かにな(・・・・)


「では採決を取るが、まぁ決まったようなものか。オライオンを派遣すべきと考える者はうなづいてくれ」




この場にいる閣僚たちはうなづいた。大英帝国政府は列強国筆頭と次位の列強国に訪問する艦艇を超弩級戦艦オライオンに決定した。





その後、訪問までに日本の派遣する艦艇を調べ上げるのに心血を注ぎ戦艦河内型である事を確認でき大いに安心したのであった











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