文明国 コラトス公国
しばらく投稿できず申し訳ありませんでした
かなり無理のある展開ですがお許しください
異世界海上 文明境界線付近
多数の白い航跡が漂っている。その航跡の主は日英パによる親善訪問艦隊である。艦隊の構成のほとんどは廃棄してもいいような旧式の防護巡洋艦であった
艦隊の構成は以下の通りである
大日本帝国
御召し艦 兼訪問艦隊旗艦
戦艦三笠
護衛艦隊
航空母艦 鳳翔
搭載機 九六式艦上戦闘機
防護巡洋艦 6隻
防空駆逐艦 9隻
大英帝国
御召し艦
戦艦ドレッドノート
護衛艦隊
旗艦 パワフル級防護巡洋艦 パワフル
エドガー級防護巡洋艦 3隻
ブレーク級防護巡洋艦 1隻
パントール共和国 海軍
旗艦 旧オーランド級防護巡洋艦 『マーベス』
防護巡洋艦
旧浪速型『カールス級』 2隻
旧須磨型『ドン=ダコタローズ級』2隻
他 国交用蒸気船 3隻
パッと見て何処に戦争を仕掛けに行くのかと思うくらいの圧倒的な陣営であった
パントール海軍の動かしている艦は日英製の軍艦であるがほんの数週間前に引き渡しが行われたばかりであった。今回の訪問が実質の練習航海となっている
大英帝国が御召し艦として戦艦ドレッドノートを引っ張り出してきたのは二つの理由があった。一つ目は日本が前弩級戦艦を大量に売却してきたことによる国防圏が固まったこと。二つ目はこの異世界に転移してから日本に見事なほど外交や対応で負け越していたのでせめて艦隊の威容だけは保ちたかったからである
戦艦ドレッドノート 艦内賓客室
「クソッ!なんで諜報部が役に立ってないのだ!」
イライラとして暴言を吐いた第6代デナウ伯爵であった。イライラの原因はここのところ諜報や工作員からの情報の精度が下がっていたからだ。さらに彼らにとって不幸なことに日本の皇太子が健康体となり異世界の国家への訪問まで行うとのことである
彼等の諜報部の働きは決して悪くなく世界一と看板掲げても恥ずかしくないものであったが日本の防諜ぶりがあまりに徹底すぎたためであった
「ああっ、どうすればいいのだ!彼らより優位に立つには!」
いくら頭を悩ませても悩みが増える一方で解決策は思いつかなかった
防護巡洋艦パワフル 艦橋
「やはり日本の発展ぶりはすごいな」
「そうですね、艦長」
「我々の生徒が育つことは嬉しいが我々王立海軍も負けておられんぞ」
「そうですね。まぁ我が海軍にはあと少しでクイーンエリザベス級が就役するので日本に負けてませんよ」
「そうだな。我々には世界最強の戦艦がある。彼女は15インチの巨砲を持つ大艦であるからな」
「それに彼らは14インチクラスしか存在しないので我々の優位は揺らぎません」
「そうだな。ハッハッハ」
ほのぼのとした空気が流れ彼らはその後も談笑を続けた。外交や政治担当の人間たちの髪の毛と胃の状態を知らずに能天気であった
ここで文明国コラトス公国について説明する。コラトス公国は第五大陸『サムファラ大陸』に存在し文明国において頂点に存在する国家である。日英パントール共和国地域から西北西およそ900km離れた場所に存在する
彼の国は建築の街、美食の街、芸術の街といったこの世界で知る人ぞ知る高名な国である。特筆すべき項目は文明国において唯一の100門級戦列艦を持っておりそれを30隻保有していることである。その上、列強国の戦列艦や装甲艦、軍艦で使用されている魔力遮断鋼と呼ばれる特殊装甲板を使用している。言うなれば魔力を使った攻撃に対する複合装甲である
大抵の文明国の保有する戦列艦は50〜80門級といったものであり数も20隻ほどでありこの国が異様なことがわかるだろう
コラトス公国 ツヴァレンティア城
ツヴァレンティア城は大公の居城である。その美しさは列強すら凌駕するほどでありまた要塞としても使えるほどの頑丈さがある
城内 執務室
「大公閣下、そろそろお時間です。それに今日はパントール共和国とパントールが連れてきたニホンとイギリスという国が訪問する日ですよ」
「ふむ、今日であったか」
執務室で書類に目を通し仕事をしていたのはこの国の長であるコラトス大公である。彼は日英についての報告を聞いた時に鉄甲艦(文明地域外における装甲艦の呼び名)を持つだとかワイバーンといったゴドワナの航空戦力を弓やバリスタを使わずすべからく叩き落としたと聞いてバカバカしいものであると考えていた
「さぁて、どんな国が来るのやら」
冷めた表情をして日英について考えていた。
どうせ取るに足らない国であろう
彼はそう考えてまだ見ぬ国日本と英国を見下していた
コラトス公国 サユール港
この港はコラトス有数の規模であり文明国でも有数の良港である。
「暇だな」
「ああ、そうだな」
コラトス海軍の兵士である彼らは見回りを行なっていた
「そういえば、今日だったかな?」
「何がだ?」
「パントールとパントールが連れてきた国が来る日だよ」
「それかぁ。まぁ、パントールに連れてきてもらった国はどんな国なのかねぇ」
「前みたいな蛮族国家じゃなけりゃどうでもいい」
そのように雑談してした彼らだったがふと1人の兵士が気がつく
「おい!あれはなんだ!」
兵士の1人が叫ぶ。見たこともない艦が黒い煙を吐いてこちらに向かってきていた
「なんじゃありゃ!」
「あれはもしかして装甲艦かッ!」
「よく見ろ。パントール共和国旗と見たこともない国旗を掲げている船もあるぞ!」
「そんな馬鹿な!」
兵士たちは狼狽える。彼らは戦列艦を保有していたが戦列艦では装甲艦に勝ち目がない
「落ち着け!まずは航空戦力を出して牽制しろ!」
年長の兵士が若い上官にゲキを飛ばす。混乱していた若い上官は気を取り直して指示を出し始めた
「竜騎士団はワイバーンロードを飛ばせ!」
「ハッ!」
「残りの者は海岸砲の発射準備をしろ」
「ハッ!」
指示を出された兵たちは自分たちの配置に着く。そして訓練通りの的確な動きで準備を進めていく。文明国最強の名は伊達ではない練度の高い軍である。
「回せ回せ!」
「一班から三班は飛ばせ!」
指示が飛び交い竜騎士は大急ぎで愛竜に跨り飛翔を始める。力強く優雅に飛び立ち始める
ワイバーンロードは最高飛翔速度250km/hを誇る航空戦力だ。50年前に魔法技術の粋を集めてワイバーンロード種を作り上げた。だが9年前にワイバーンロード種を上回るワイバーンタイクーン種を列強国によって作り上げられたため旧式なものとなってしまった。だが、列強国のぞいてほとんどの文明国はワイバーンがメインの航空戦力であるところが多いため文明国基準に当てはめると十二分に一線級のものである
日本艦隊 ヘリ空母 鳳翔 艦橋内
「ん?」
レーダーを見ていた下士官が異変に気付く
「どうした?」
「レーダーに反応あり。おそらくコラトスが航空戦力を飛ばしてきたと思われます!」
「なにっ!ホントか!」
艦長を含め各員が慌てて望遠鏡を手に取りコラトス方面を見始めた。はじめは小さな点ほどだったがどんどんとワイバーンが近づいてくる
「オイッ!パントールの艦へ連絡飛ばしたか?」
部下に司令官は指示を出す
「いまやってます!」
「そうか...」
彼は少し考えて艦長の方へ向く
「では、艦長。防空システムの稼働準備だけはしておいてくれ」
「わかりました」
パントール艦隊 国交船 《タレラント》
「なんでコラトスの航空隊が出てくるんだぁ!」
船員たちは慌てている。なぜ文明国最強の航空隊が自分たちの艦隊に向かってきているかわからないからだ
「日本艦隊より入電!『おそらくなんらかの誤解を生じている可能性あり。彼らの誤解を解くことを求む』だそうです」
「どういう誤解だよ!」
連絡を受けた士官はパニックのあまり大声を出していた
艦長室
「困ったことになりましたな」
艦長室では幕僚達が集まり対策を講じていた。切迫している状況なだけに打開策が思いつかない
「日本帝国海軍からの連絡では『誤解を生じている』とありましたが」
「その誤解がわからんのだ!」
幕僚の1人は声を荒げる。それに便乗するように数名の士官も声を荒げ喧嘩腰となる
ある1人がこの騒動の原因を閃いた
「あっ!そうか我々が装甲艦や蒸気推進船でここに来たからだ!」
その発言を聞いた各員は少し思考停止したがすぐに思考を巡らせる。そして、コラトス側に対し即座に今回の事態の説明をする事が決定された
その後、誤解を解くことができ無事に三ヶ国連合訪問艦隊は入港を果たすことができたのであった
これからもこの作品をよろしくお願いします




