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明治日本と大英帝国の共闘 〜異世界に何を思うか〜  作者: しまー
一章 異世界にて
19/27

大世界と大国のカゲ

ぶっ飛んだ展開と稚拙な文章ですがお許しください

列強国ヴァルガナ帝国 帝都ラピスティム


ここは列強国であるヴァルガナ帝国の首都である帝都ラピスティム。その煌びやか建造物群は国力の大きさを物語っている。


この国の政治形態は立憲君主制を取っていたのだが皇族の権力と権威が強くあまりうまく機能していない







外交院 外交部第3課 部長室


「何だと⁉支援をしていた蛮族国家が敗れただと?」


「はい。現地に派遣していた観戦武官から報告を受けました」


「馬鹿な!旧式船のガレオン船や大型投石機は文明外地域では超兵器に属するものであるものだぞ」


「確かにその通りですが」


「その打ち負かした国は一体どこの国なのだ?」


「ニホンと英国という国です」


「聞いたことのない国だな。まぁ、その二カ国が勝てたのはたまたまであろう」



旧式兵器の処分であったため損失は少なかったが負けたのは事実である。外交院の部長の彼は支援していた蛮族国家に大して期待していなかったが負けたのは不思議がった。だが、彼は蛮族国家など取るにならないと考えて頭を切り替えた






「それより閣下、観戦武官より気になる報告を受けました」


「気になる報告だと?」


「何とも奇妙で信ぴょう性に欠ける証言でして・・・」


「一応だが聞いておこう。報告せよ」


「装甲艦と空を飛ぶ鉄龍を見たとのことです」




「そんな馬鹿な話な話があるか!...とは言いたいが、列強国一位であるグローンテルア帝国が我が国のワイバーンタイクーンを超える速度を出す飛行機械とやらを開発したからな・・・」


部長はしばらく考える。ふと、ある可能性を思いつく


「もしや彼の国は蛮族国家のニホンと英国とやらをを支援して飛行機械の実験を行なったのではないか?」



彼は列強国による武器の実戦評価であると思いついた。これは列強がよく行う手段であり文明外地域や弱小国で自国の開発した兵器を試験させるのはなんら不思議ではない



「まさか!彼の国が軽々しく介入するはずがありません」


部下の考えは根本的に間違っていたのだが...彼が想像できる範囲で最悪な想定を考えその考えを払拭するために大声を出す



「ああ、そうだ。彼の国が介入するはずがない。だか、念のためにその二カ国について調べておけ」


「は、はぁ ですが...」


部下である彼は躊躇う。そんな取るに足らない蛮族国家を調べて何か益があるのか疑問に思ったからである


「構わん、調べておけ。下手をすればその国は我が国の存立を脅かすかもしれん」


「わ、わかりました!」



部下である彼は指令され日本と大英帝国を調べることとなった。彼が情報を集めて行くうちに列強国人としてのプライドがズタズタになるのだがそれはまだ先の話である











文明外地域 パントール共和国 議場


日英パントール三ヶ国によるゴトワナの征伐に成功し講和条約について話されていた。話し合いの末にゴドワナ国王と宰相に言い渡されることとなった


ゴドワナ国王と宰相を囲み要求を伝えていた。彼らには生気が宿っておらず抜け殻のようだった



大英帝国はゴドワナに対する懲罰的賠償金を求めてきた。履行できない場合はゴドワナ領土を求めてきた。英国の求めた賠償額は今後の英軍艦の建造費分である。当然ゴトワナが払える金額ではなく領土のほとんどを差し出すこととなった。大英帝国の統治方法はインドで行った方法を利用した。この統治方法は国民同士の対立を誘発させ結束をさせないための過酷なものである



パントール共和国は侵攻によって破壊した施設の建築費と戦費を要求した。これは大英帝国の賠償に比べれば楽でありゆっくりではあるが支払われることとなった



大日本帝国は鉱山などの採掘権を求めた。ゴドワナには化石燃料の石炭や石油が大量に埋まっていたのである。これは、彼らゴドワナは化石燃料の利用方法がわからず厄介ものだった彼らにとっては不要なものであった。そのため日本に即座に渡されることとなった




講和会議が進んで行くうちに日英にとって扱いに困るものがわかったのである。それは、魔石鉱山である。この世界では利用方法が山ほどあるのだが日英にとって利用方法や精錬方法がわからないのでパントール共和国に押し付けることとなった。押し付け行為ではあったがパントールにとって福音でありより一層、親英親日政策をとることとなる


ちなみにではあるが魔石はこの世界にとって重要な資源であり地球で例えるなら石油や石炭に相当するものである。精錬法によっては風神の息吹となり電球のように光らせることもできるのである


この魔石はある方法で精製するとあるものに匹敵もしくはそれ以上の存在になるのだがそれはまた別の話である







大日本帝国 帝都東京 帝国ホテル


講和会議から数週間後、日英の交渉が行われていた。山本権兵衛はこの交渉に参加しており何とかしてはぐらかそうと考えていた。うすうす大英帝国の要求は察していた。日英同盟に基づいた情報公開であろうと考えていた




山本の想定通り大英帝国は日英同盟に基づく情報提供を要求して来たである


「我々、大英帝国は英日同盟に基づき情報の公開を求めます」


「いや、しかしですなぁ。チャーチル大使、情報を渡すといってもそれ相応の対価が必要であります。戦艦をほとんど失った現在のあなた方は地球なら発言権はないに等しかったですよ」


「確かに戦艦は失いましたが貴国と我が国は友好国ではありませんか?それに我々とてこちらの世界に来てただただ傍観していた訳ではありません」



史実ではWW2の英国首相としてナチスドイツに不屈の精神で立ち向かったウィンストン・チャーチルだがこの世界では海軍大臣ではなく在日全権大使として日本に来ていた



「傍観していただけではないとのことですか?」


日本側は気づいていなかった。大英帝国の老獪さを、世界帝国たる英国の情報網を、その手練さを...


おもむろにチャーチルは持って来たトランクの中から写真と情報の書かれた書類を出して来た。その写真を見て日本側は動揺する。その書類に書かれていたことは地球にいた時代に隠そうと努力していた情報の一部であった


動揺する日本側の反応を見て追い討ちをかけるようにチャーチルは発言する


「さて、ミスターヤマモト。これは一体どのような飛行機械なのですか?そして、このトラクターらしきものに砲塔をつけたものは一体なんなのですか?」


さらに二枚の写真を取り出し山本権兵衛の方へ差し出す。その飛行機械とトラクターと呼んだものは九六式艦上戦闘機と九七式中戦車チハであった。



〔グウッ!異世界に来てから油断していたッ!〕



山本は心の中でそう呟き冷や汗を流しながらチャーチルと対面していた。しばらくの間、空間が沈黙に包まれた







ふと、ホテルの廊下から悲痛な声が聞こえ始めた



「お待ちください!」


「いけませんぞ!」


「そんなことはなりませんぞ!」



交渉していた日英の人間は外が騒がしいと思い少しドアを開け様子を伺う。様子を伺った人間はあまりの衝撃に腰を抜かしかけた



「どうされましたか?」


チャーチルは不思議そうに様子を伺った人間に問いかける。だが、問いかけられた人間が答えるは前に扉が開いた



扉が開かれた先には驚くべき人物が立っていた



「いやはや、交渉の状況は不利なようであるな」



そこにいる人物とは『明治天皇』その人であった


山本権兵衛ら日本人官僚はすぐさま直立不動の姿勢をとりチャーチルらも立ち上がり敬礼をした



明治天皇はにこやかにそこにいる人間に語りかける


「かまわんよ、座りたまえ」


山本らは驚きのあまりに無言となり明治天皇を上座に案内した。明治天皇は案内された席に座った。そして、明治天皇が座られたのを確認し各員は座り始めた





「さて、チャーチル卿?交渉の続きといきましょうか?」


「あ、いや、はっ はい」


流石のチャーチルも動揺している。日本相手に搾り取ろうと考えていた。だが、わざわざ大日本帝国の元首たる天皇(エンペラー)が交渉会場にやって来たのだ。チャーチルはこの状況は最悪であると考えた。なぜなら相手方のホームグラウンドでありそれの元締めが来たからである。こうなってしまっては交渉の流れが一気に日本側になってしまった



「貴国は現在、戦艦だけではなく植民地も失っているようですが?」


明治天皇はチャーチルに問いかけるように話す



「はい、確かに我が国は戦艦と植民地を失いましたが?それと何か関係があるのですか?」


チャーチルは皮肉の一つでも言おうと思ったが思い留めた、ここはあくまで日本国内である。下手をいってしまえば日本との戦争になる。さらに英国にとって最悪なことは、イギリス艦隊の戦艦で戦力化されているのは4隻しか存在していないことだ




それに対し日本は新旧戦艦も含め10隻以上の戦力化されている戦艦を保有している。つまり、日本側は海上封鎖というカードを切れるほどの海軍力を持っているということだ



明治天皇はにこやかにチャーチルに話しかける


「貴国はとても茶の文化が進んでいますな」


明治天皇は突拍子もなく日常会話的な話題を話し始めた


「はあ、そうですが?...ハッ!」


チャーチルは気づいてしまった。この世界でわかっている範囲で唯一の茶の生産国がどこであるかを。英国文化を語るには紅茶を外すことはできない。イギリス人にとってお茶は欠かせないものであり生きて行くためのエネルギーでもある。つまり明治天皇は【茶】を人質にとり交渉に迫ったのである



〔クソッ、まさか天皇が我が国大英帝国にとって最も重要であり突かれたくない所を突いてくるとは...〕


チャーチルはそのように心の中で毒づいた




「貴国と我が国は同盟国であります。我が国とてそんな浅ましい行為はしたくありません」


「今上陛下、あなたはいや日本は我が国に何をお望みでございますか?」



明治天皇は一言つぶやいた



「情報網のノウハウとわが国で生産された茶の購入です」



「えっ?はぁ、はい」


チャーチルは拍子抜けした。日本はそんなに足元を見ずにたったの二つの条件を出して来たのであったからだ。チャーチルが考えたのは、大英帝国の併合か英国中の金銀全て日本に差し出せとでも言ってくるのかと考えていた。だが、明治天皇が求めて来たのは茶の購入と情報網に関するノウハウである。チャーチルとて軽々しく情報網のノウハウを晒したくはなかったが想定していた物よりも遥かにマシであり滅亡を回避できるのならばむしろ安上がりであった



「チャーチル卿、安心して頂きたい。法外な値段は頂きませんので」


明治天皇の側にいた侍従がチャーチルに何か書かれた書類を渡した。そこには茶の値段が書かれておりチャーチルはそれを見てさらに驚いた。驚いた理由は値段が想定していたよりも安過ぎたのである



「えっ!このような値段で?」




「ええ、構いません。それだけでは無く同盟国である貴国に対し一部の中核技術をお渡ししましょう」



「なんですとッ!」


チャーチルは驚きの連続であった。どこから仕入れたかわからなかった日本を飛躍させた技術を提供して貰えるからだ。これは大英帝国の発展のため使えると考えた




本来ならそのような中核技術を渡せるものではなかったがあの女神が新たに設計図を渡して来たのであったからだ。英国用のモノを...



時を戻して二週間前


急に現れた女神はこのようなことを言っていた


『すまぬ、なんかの歪みで英国も巻き込んでしもうた。許しておくれ、テヘペロ』


あまりの軽々しいもの言いであったために珍しく明治天皇が怒り思いっきりグーで女神を殴ったのであった。とはいえ、女神も神であるから無傷であった


『わかった、わかったのじゃ。お主らに渡した技術はどうせ英国の情報網の元に暴かれてしまう。ならばその前にさっさと渡してしまえばいいのじゃ』



女神はそう言い残して消えてしまった。消えた後には木箱がありその中には英語で書かれた設計図が多数あった






時を戻して現在



「今上陛下、我が国と貴国のますますの友好を望みます」


「ええ、もちろん我が国も望んでいます。では、その友好を深めることを望み乾杯といきましょう。酒ではありませんが...」


明治天皇の侍従が、日本産の紅茶を淹れてきたのである。紅茶が全員に行き渡り乾杯をしたのであった



その後、明治天皇は帰り細かな調整は官僚によって行われた



交渉がまとまりチャーチルは大使館に急いで帰った。彼にとって本国に報告すべき明るい報告が山ほどあり有意義な交渉であった






皇居 とある部屋



交渉があったその晩に英傑らが集まって会議を行っていた



「よろしかったのですか、陛下?」


「む?何がだ?」



「中核技術を渡したことについてです」


山本権兵衛首相の心配はもっともである。夢で見た通りに英国が牙をむいてくるという事になればいささか大変な事態であるからだ



「心配はない。むしろおとなしく彼らに技術を渡した得策である」


山県有朋は明治天皇の真意に気がついた


「すでに情報は漏れている現状だからこそ、さっさと渡した方が彼ら大英帝国を大人しくさせるには最適な策あると」


明治天皇は満足げに頷く


「うむ、そなたの察する通りである」



「さらには、あの大英帝国に恩を売れるでしょう。そしてなおかつ喉元にナイフを突きつけた状態が続くでしょう」


そのように国防大臣の斎藤は話した



つまりどういうことかと云うと現在の日本は新旧戦艦も含めて二十一隻という戦艦を保有している。それに対し大英帝国は新鋭艦含めたったの四隻しかいない。まさしく英国にとって絶望的な状況だ



英国が日本と同等の戦力を揃えるには膨大な時間が必要である。しばらくの間は大英帝国は日本に協力的な政策を取らなければならざる得ないという状況だ




「とは言っても我々だけでは異世界の列強に勝つことは現時点では難しいであろう。英国にも強くなって貰わねば困るであろう。そして我々は老獪な大英帝国から様々なモノを学ぶ必要がある」


明治天皇はそう締めくくり今回の会議を終了とした




異世界の国家との戦役は勝利に終わり大英帝国との情報の攻防も勝利に終わり大日本帝国はこの世界での新たな一歩を踏み出した








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