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明治日本と大英帝国の共闘 〜異世界に何を思うか〜  作者: しまー
一章 異世界にて
18/27

大和魂とジョンブル魂

オセニオ大陸 リッタール海岸


大日本帝国と大英帝国はすでにゴドワナの制空権制海権を確保しあとは陸での戦いである。日英両国はゴドワナの海岸にすでに橋頭堡を築き上げ兵員や糧食、武器類などを滞りなく送りこめるようになっていた。大日本帝国と大英帝国の派遣した戦力は合わせて二万ほどであった。






派遣され日英両軍が交流を図った際にわかったことがあった。それは兵らが喧嘩をしたことによって判明したのである





交流会会場


日英の兵士が大皿料理を取り合いながら食事をしていた。日本兵は不慣れながらもなんとかキングズイングリッシュを使い英国兵に話しかけ英国兵は日本兵と同じように不慣れながら日本語を使い意思疎通をしていた



交流会場から少し離れた場所


「まさか、英吉利(イギリス)が異世界に我が国と同じく転移しているとはよぉ」


「確かにな。だかよ、ここだけの話だが今の英吉利(イギリス)は戦艦がほとんどいないらしいぞ」


「なにぃ?ほとんど戦艦がないのか!戦艦が一緒に転移しなかったのはバチでも当たったんじゃねえか?」


「違いねぇ」


とある二人の日本兵が嬉しそうに話していた。その時たまたま用を足しに来ていた英国兵がその二人に詰め寄ってきた



「お前ら東洋の未開人が偉そうなことを言うな!俺たち大英帝国が世話をしてやったから列強の末席に座れたくせに!このクソッタレの黄色い猿が‼︎」


それを聞いた日本兵らは怒り反論する


「お前らは阿片を売り捌き暴利を働くためにアヘン戦争をしたくせに!」


「未開人だと?お前らはつねに東方(オリエント)から技術を手に入れたくせに!お前ら英吉利の方こそ未開であった時期は長いぞ!」


反論を聞いた英国兵は顔を真っ赤にして怒鳴り散らす


「なめんじゃねぇぞ!」


双方が喧嘩を始めたのであった






交流会会場 将官交流場


「我が国大英帝国はこの異世界において協力を惜しみません」


「それはありがたいですな」


司令官らは楽しく英語で会話をしつつ立食していた。あらかた食事が終わりそうな時に日英の部下が駆け込んできた


日英双方の部下は将官に寄り伝える


「た、大変です!」


「兵どもが喧嘩をしています!」


日英司令官らは呆れながら部下の話を聞く


「なに?馬鹿どもが喧嘩をおっ始めやがったのか?」


「とりあえず落ち着かせろ。暴れるならブン殴っても構わん」


日英の司令官らは次に出す指令を考えていた時、部下より驚愕な事実を聞かされる。日英の部下はほぼ同時に声を上げた


「それが英国兵が流暢に日本語を話していたんです!」


日本兵の言葉を英国人は英語で聞き取る


「それが日本兵が流暢に英語を話していたんです」


英国兵の言葉を日本人は日本語で聞き取る



「言葉が通じるだとッ⁈」


「なんだと!」


「そんなことはあり得るのか?」


「確かに異世界の連中に言葉は通じたが地球人の場合は通じないと思っていたぞ」



話し言葉なら通じることが判明し日英双方は作戦の連携がうまく取れるようになった






タッターン平野




現在、ゴドワナ陸戦軍は相当数の戦力をかき集め日英上陸部隊を捻り潰そうと作戦を立てていた。投石機やカタパルトなどの投擲兵器や20頭のワイバーン、20万の大軍が日英の陣地に向かい行軍していた。この戦力はパントールなら半日で攻略できるほどのものである


「ワブーン将軍、敵は...」


不安そうに将軍に問う参謀


「わかっておる。途轍もなく強い!今までの中で1番強い。だが奴らは土地勘やこの地の地図がない、故に我らの軍は土地勘や地形を生かし蛮族を蹂躙できるであろう」


将軍は詭弁に近いものを言ったが参謀はグリフォンやワイバーンといった航空戦力を持っていない国が我が国に勝てるわけないと考えた。その考えが浮かび参謀は不安が無くなり壮大な行軍を眺め気を引き締めた






日英連合軍陣地 日本側天幕



「やっこさんらはかなりの数であるな」


「大山元帥、やはり会戦ですか?」


「そうだ。だが奉天よりは楽であろうが何しろ数が数であるからな」


「塹壕も掘るように指示は出していますが...」


「心配せんでもいい。兵站、輜重はしっかりしとる」


「...」


「不安かね?乃木よ」


「...」


「なぁに、お前さんの息子は二〇三高地では死なずに済んだじゃ無いか。あの神さんのおかげで」


「しかし...」


「それ以上、自責の念を持つな」


「...」


コクリと乃木希典は大山の言葉に頷く。それを確認して天幕内にいる部下に指示を出す


「盃と酒を持ってこい。そして英国の司令官らもここに連れて来てくれ」



英国側天幕


大英帝国の司令官らは転移した日本軍について話し合っていた


「閣下、日本の連中のアレは」


「うむ、奇妙な軍用小銃である」


四十式(TYPE40)突撃銃(アサルトライフル)とか言いましたか?日本兵に見せてもらいましたが500ヤード(約450メートル)までなら従来型のライフルと同じ威力を発揮します。しかもフルオートも可能とのことです」


「何?あんな短い薬莢の火薬量でそれほどの威力なのか!フルオートも出来るとは今までのドクトリンが意味をなさなくなるでは無いか!」


「閣下、逆にチャンスと捉えるのです」


「なぜだ?」


「これらのことが全て片付けば情報の提供を要求すれば良いのです。英日同盟の一環の名において」


「なるほど」


「とは言っても、せいぜい劣化版のセミオートライフルの設計図ぐらいでしょう」


「忌々しいが普通はそうであるな」


そのような事が話されていた時に日本側が天幕に来るように誘って来たのである。英国将兵らは乃木上級大将や大山元帥の誘いであったので誘いに乗り日本陣地の天幕内に入った


日本陣地の天幕に入ると、盃がテーブルに並べられていた。英国人は不思議に思い日本側に問うた


日本軍の士官が説明をする


「これは割杯(かっぱい)と言ってヨーロッパで言う所のプロージットにあたります。すなわち、願掛けですよ」


英国人は納得し用意された席に着き盃を持つ。日本の下士官が一人ひとりの盃に日本酒を注いでいく


全員に酒が行き渡るのを見て大山元帥が音頭をとる


「この会戦はこの戦役での最初で最後になろう」


大山は少しタメて続けて言う


「この戦役の関ヶ原となろう!乾杯‼︎」


グイッと全員が盃の酒を飲み干し盃を地面に叩きつける



割盃が行われその後、直ちに砲兵隊に砲撃命令が下された



日本軍による迫撃砲や二十八サンチ榴弾砲による砲撃に加え英国軍によって持ち込まれた大量の火砲が火を噴きゴドワナの兵士たちを吹き飛ばしていく





ゴドワナ軍 陣地 司令部天幕


圧倒的火力を前にして驚愕するゴドワナ軍上層


「何だあれは!」


「どういう魔導を使えばあんな威力が出るのだ!」


「あんなのは撃ち続けることはできない!どうせすぐに魔力が尽きて撃ち終わる!そこを狙い兵たちを突撃させればいい!」


「まだ、我々は超兵器のトレビシェット(大型投石機)とバリスタを使ってないではないか!」


「そうだ!それにワイバーンだって戦ってないではないか」


幕僚たちは混乱している。しかし、攻撃のチャンスを伺い考えられるだけの最良の策を練る。彼らの言う通りトレビシェット、バリスタなどの投擲兵器は変哲も無い文明外地域なら通じたかもしれない。だが火砲を持つ近代国家の前に意味を成さなかった




上空にいるワイバーン二十頭のワイバーンは日英両軍の前線を目指していた。ワイバーンは獰猛であり莫大な魔力から火炎魔法を放ち空の覇者に相応しい生物である。ワイバーン一頭と同等に戦いたくば同じワイバーンを用意するかグリフォン五匹は最低限必要である




「くそったれ!なんだアレは!」


侵攻隊として竜騎士に選ばれたマクレーンは航空戦力無しで戦いを挑んで来たニホンと英国を蹂躙できると考えていた。だが、現実は逆に火砲の前に蹂躙される友軍の姿に歯噛みしていた



「しかし!蛮族ニホンと英国とやらよもう少しで焼き払ってやる!」


ワイバーンの口腔に火球が形成されていく。火球の威力は一個中隊程度なら吹き飛ばせるほどである。これがワイバーンの空の覇者たる最大の理由である。だがワイバーンが火球を放つことは叶わなかった





日英前線


日英兵士はワイバーンの襲来に驚いていた。しかし、対ワイバーン兵器を開発していたために兵士らが投げ出すことはなかった


その兵器とは、高射砲である。これは女神からもたらされたものではなく地球産のものである。高射砲の起源はプロイセンが敵の観測気球を撃ち落とすために作ったものである


今回使用している物は8.8cm高射砲(アハトアハト)である。日本が転移する前に参考武器としてドイツより購入していたものである。転移するまでに五十門ほど製造し今回の戦いに持ち込まれた


高射砲の存在によりワイバーンは日英両軍を攻撃する前に落とされてしまった


ワイバーンが落とされて行くのを見ていた英国兵は自らを奮い立たせるように鬨の声をあげながら行動を開始した


「よっしゃ!日本軍に負けないよう俺たちもやるぜ!」


「おうとも!相棒!」


英国兵は猛烈な勢いで砲への装填をし射撃を行なっている。彼らのプライド、ジョンブル魂に火がつき神速を実現している





タッターン平野 ゴドワナ陣地から4km離れた丘


ワイバーンが落とされた頃、日本軍も動き出していた。日本軍は見事な忍び込みで無線機を持ち込み観測を行っている。観測隊はゴドワナの陣地を発見し無線機で通信を始めた


「こちら観測隊い組 本部応答願います」


『こちら本部 い組どうした?』


女神によりもたらされ開発された無線は音声に雑音少なくはっきりと聞き取れる


「こちら、い組 最前線から3km先に敵の司令部らしきもの発見」


『こちら本部 了解 い組はそのまま観測を続けよ』


「こちら、い組 了解した」


観測隊は観測を続け弾着具合から修正位置を伝える



この観測隊の観測によってもたらされた情報によりゴドワナ軍の司令部が吹き飛ばされた。司令部は全員戦死し司令塔を失ったことによりゴドワナ軍は瓦解した



日英の圧倒的火力により会戦から掃討戦に持ち込まれた。そこで活躍したのは四十式突撃銃と四三式機関短銃であった


反動は大きいが連射ができマンストッピングパワーがある四十式突撃銃と四三式短機関銃の手軽な機関銃は英国兵の注目の的になった。英国側から見ればかなり異様なものであり兵士一人一人が機関銃を持っているというものである





掃討戦が終わり日英連合軍は快進撃を続けゴドワナ国の王都を攻略しゴドワナ王を捕らえ無条件降伏が行われることになった


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