3話
「さて、みんな揃ったな」
マイクはみんなを見わたし、話始める。
「ようやく、出発の準備も整って明日出発するわけだが……みんな今までご苦労だった。だがしかし、これからが本番だ。気持ちを入れ替えて明日からのミッションに備えてほしい」
第二宇宙ポートについて二週間。ようやくすべての準備が整い、明日この第二宇宙ポートから旅立つ準備が整った。
「明日はマスコミ連中にお偉いさん方も俺達の旅立ちを祝いにやってくる。まあ、退屈な式典が少しばかりあるが、それも給料の内だと思って我慢してくれ。とにかく今日で準備は完了だ。みんな、今日は今までの疲れをゆっくり癒してくれ」
マイクはそう言うと立ち上がり、徐に固定された艦長用の棚に向かう。
「基本的にはこいつは厳禁なんだが……」
そう言ってマイクは棚の中から一本の瓶を取り出す。
「まあ、今日は特別な日だ。こいつで乾杯しよう」
そう言って皆の前にワインの瓶を置くと皆から歓声が上がる。
「シャブリの一級品だぞ! 心して飲めよ」
そう言ってコルクを抜き、それぞれにワイングラスを渡すと、マイクは一人一人にワインをついで回る。そして皆にワインが行きわたると、自分のグラスにもワインを注ぎ、それを少し高く上げる。
「では、無事な出発と、これからの無事の航海を祈って。乾杯」
皆がグラスを少し高く上げ、艦長に続いて唱和する。そして、グラスに入った透明な液体を一口飲む。それはまさしく大地の恵みと言うにふさわしい味で、その一滴一滴を皆は大事に味わう。
「出発したら酒とは当分お別れだからな。存分に味わってくれよ」
マイクはそう言うと残りのワインを自分のグラスに注ぐ。そして残りを皆の前に置き、それをクルーが奪い合う。
何とか全員がもう一杯ずつワインにありつき、それを飲み終える。
「よし、じゃあ今日は明日に備えてもうみんな休む様に」
マイクはそう言うと立ち上がり、皆もそれに倣い各々の部屋に戻って行く。