第四話
「ヘイヘイヘイヘーイ! 」
む。聞き覚えのあるあの声は……。
あの黄金に輝く装備は……。
そして、私と同じく、大声を出して村人に取り押さえられるという失態を犯す、あのハイテンションの塊は……。
毎度お馴染みヘッポコ・チャランポラン・ド・チャラ男(魔法使い)ではないか。
彼のヘッポコ加減を説明するのは正直面倒臭いので『私は勇者にならない。第一章』を、ぜひ斜め読みしていただきたい。
今なら最終話で、作者が描きなぐった僧侶様のご尊顔が見られるというオマケ付き。
「お、魔法使い。久しぶりー」
「ヘイヘイヘイヘーイ! 」
な! 僧侶様とチャラ男がハイタッチで再開を祝しているではないか。
僧侶様にお聞きしたい。
何故、魔法使いにはハイタッチで、私には体当たりなのですか?
差別ですよね? ナントカハラスメントですよね?
「ヘーイ。勇者、久しぶりー」
チャラ男よ。チャラチャラした挨拶をするのは結構だが、その金色の鎧に沢山付いた付箋は何だ?
お札を貼られた魔物みたいになっておりますが。
何々?
『大声出すな! 』
『雪崩に注意! 』
『テンション高すぎ! 』
『チャラチャラするな! 』
『山から降りろ! 』
『無駄にイケメン! 』
『馬鹿! 』
あ。村人達に貼られたのね。
それでも心が折れない魔法使い。
アンタ、凄いよ。
「久しぶりだな。魔法使い」
私は誇り高き勇者のごとく、声をワントーン下げて挨拶した。
「あ。 俺、この秋から魔法使いじゃないから」
何ぃ? チャラ男、転職したのか?
魔法が使えないから、諦めて遊び人にでもなったのか?
「俺、この秋から魔導士になりましたー」
ま、魔導士! 魔を導く士!
クッ! いつの間にパワーアップしたのか。
私など、サマーキャンプ以降、ゴロゴロし過ぎて体重が三キロ増えただけだ。
「そ……、そうか。さぞかし魔を導けるようになったのだろうな……」
「はぁ? 何言ってるのー? それが出来たら、キャンプなんて来ないでしょー?
今は黒魔導士になるか白魔導士になるか、考え中なんだよねー」
はぁ? そちらこそ何を言っているのか? このチャラは。
一つも魔法が使えないのに、白も黒も無いですよ?
せいぜい桃色魔導士にでもなって、スカートめくりのスキルでも覚えるが良い。




