1番
何かの1番になるのは難しい。
どれだけ得意で、どれだけ好きで、どれだけ頑張ったとしても、上には上がいる。
階段を上って上って、それでも上を見上げれば誰かの姿があるんだ。
それでもいつか空を見る事がある。
自分だけしか知らないその眺めは、きっと忘れられない。
誰にでも一つ負けられないものがある。
難しくとも、いつかは何かの1番になれるんだ。
ただ、誰かの1番になるのはとても難しい。
どれだけ愛しても、どれだけ尽くしても、どれだけ望んだとしても、君の中には存在できない。
好きだって、愛してるって、そう強く叫び続ければいいって問題じゃないんだ。
変えられないものがある。
受け入れられないことがある。
どうしようもないことが目の前に現れて、幾度となく僕を突き飛ばす。
いくら君を見つめたって、君の目に映らなければ意味がない。
息が出来ないほどの想いを持ったって、君に伝わらなければ無いのと同じ。
それが分かっているのに、どうしてまだ僕は階段を上ろうとするのだろう。
どうやって君は、僕の1番になったんだ?
あぁ、今回もまた……僕は君の1番になれずに消えてゆく。