外の世界へ(1)
『姫様達は1ヶ月ほど前に12歳になられましたね。
どうですか?ひとつ大人になられたお気持ちは?』
『えーと、私は、あんまりじっかんがないです。えっと、ええと・・・』
『わたしは、もうすこしで14さいになり、せいじんするのでアカにまけないように
もっとがんばります。』
『あー!私もそーゆーこと言おうとしたのにー!』
『仲がよろしいですね・・・。』
「はー疲れたー。」
「つかれんのはやすぎ。」
「この後、スペードの街へ行きます。そして、果樹園の視察。シロ様・・・
貴女方の母様が、クランの果樹園がどうなっているか見てきてほしい、と。」
「え~まだあるの~?そんなん使者を出して終わりでいくな~い?」
「いくないです。」
「くっそ~」
「言葉使い。」
「はーい」
ダイヤの街の皇城のセレモニーに出席してから、ダイヤの街の全く反対側にある、
いとこのクランの果樹園まで。
国の端から端まで移動することとなる。
「めーんーどーくーさー」
「うーるーさーいー」
「こら、二人とも。」
「わたしは、わるくない。」
「さあ、移動中も、勉強勉強!」
「ええ~」
いくら、女王の勉強だとはいえ・・・
「女王って、こんなに面倒くさいのか・・・」
「何ですか?」
「いえ。」
「着いた~!!!!」
「よう!アカ!久しぶりだな!」
「わあークラン!久しぶり!」
やっと着いた、クランの果樹園。
いつもよりクランは、なんか
畏まった格好をしていた。
「あれ?なんかいつもと格好違くない?」
「あ~。なんかお母様がさあ、姫様が遊びに来るんだから
ちゃんとした格好しろってよ。」
「わー。そんなのしなくてもいいのに~。」
「・・・!」
「・・・?」
何か会話をしている二人。
「・・・うらやましいなあ。」
「やはり、クロ様は引っ込み思案なのですね。」
「・・・ナノ。”引っ込み思案”ってなに?」
「引っ込み思案とは、
”積極的に人前に出て、ものごとをするのがにがてな性質”
ということです。」
「ナノはにんげんこくごじてん・・・」
「はい?」
意味不明なことを呟いて、クロは果樹園の視察へと向かった。
「クロ様。こちらがクロ様のお好きな果実でございます。」
「人間界では、”ブルーベリー”というとか。」
「へぇ・・・。ぶるーべりー・・・?」
「はい。かの有名な”魔女ルベッタ”の魔力を受けた
魔道師が、屋敷に居りまして。
その魔道師が、人間界とこの不思議の国を行き来するという
術をもっておりますの。」
「それで、人間界に使いを出し、色々なことを調査させたのです。」
「へぇ・・・。魔道師・・・」
クロは。
「まじょ・・・ルベッタ!」
「うわおっ!」
「”魔女ルベッタ”。クロ様もご存知で?」
「うん。しってる。かあさまがなかよかったからな。」
「え!・・・お知り合いですか・・・」
「・・さまーーーー!!クーロー様!」
「あ、ナノ。」
「ああ、いらっしゃった。最初には名もなき赤い実・・・
アカ様の好きな果実の場所を見るのでは?」
「いや。ぶるーべりーのほうがみたかったから・・・」
「ブルーベリーですか。先日名前が判明した果実の名前ですね・・
ってちょっ!勝手に行かれると困るのですよ!」
「おなかすいた・・・」
「あとで、このブルーベリー。お渡ししますので!」
ぶるーべりー畑。
視察終了。
「うわあああああ~~~!!!」
「お静かに。」
次は、アカの好きな果実の畑。
「ねぇっ!コレは名前まだ分からないのっ?」
「残念ながら。」
「え~。ナノでも分かんないの~?」
「残念ながら。いくらこのナノでも、人間界のことは分かりかねます。」
「え~。なーんだあ。」
「アカ、後でブルーベリーと一緒にコレも渡すよ。」
「えっ!まぢで!」
(ナノがアカを睨む。)
「・・・ごめん言い直す。」
「どうぞ。」
「えっ!ほんとに!」
「ほんとだよ。可愛いいとこのためなら、たくさんあげるよ。」(きらーん。。
「やぁったあ!クラン大好き!!」
(↓ナノ&クロ&その他諸々の心の声。)
『単純・・・。』
「姫様のお帰りです!」
わーーー・・・・
歓声が起こる。
「クラーン!ありーがーとー!!!」
「また来いよー!」
アカは、いつまでもクランに手を振っていた。
終わり。。
って!こんなとこで終わるわけないしッ!
-後日。
「大変です!」
クランの果樹園まで御礼の品を届けに行っていた
使者のアルワンが帰ってきた。
「何だ?アルワン。会議中に入ってくるのは関心しませんよ。」
大臣が言う。
「いいえ!そんなこと言っている場合ではございません!」
「どうした。落ち着けアルワン。何があった。」
「いつもの優秀なアルワンはどうした。前だって、盗賊に襲われた時・・・」
「ああああーーー!!!話がそれているのです!!」
ナノが必死で話を戻す。
「・・・で、どうしたんだ?アルワン。」
「クラン様の果樹園が・・・」
-クランの果樹園
「これは・・・・」
果樹園は、畑は。
<枯れていた>。
いや、正しくは、
<焼け焦げていた>。
「非道い・・・」
「どうして・・・」
まさに、”変わり果てた姿”だった。
「・・・アルワン。」
「はい?」
「当時の状況を説明してくれ。」
「はい、それが・・・」
-私は、そのとき、クラン様の一家、ラッカー家の皆様に、
贈答品・献上品を差し上げておりました。そのとき・・・
『・・・ねえ、あなた。何か焦げ臭くない?』
『あっ、本当だ。調理場か焼却炉で何かあったのか?』
-最初に、奥様が気づかれまして、その時、皆様は
やれやれ。新人の使用人が何かやらかしたか?
ぐらいにしか思ってなかったようで・・・
でも・・・
『母さんッ!父さんッ!果樹園が!』
『ええっ!?』
-皆様と私が見に行った時は、もう、時既に遅し・・・
「既に果樹園は焼け野原となっておりました・・・」
「なるほど・・・」
「クラン!?クラン!?」
「アカ!?何故此処に!」
「クランが心配で来たの。(※本当は様子を見に皆で来てます。)
果樹園、大丈夫なの?」
「ああ・・・。大丈夫・・・では、ないな。
屋敷に被害がなかったのが不幸中の幸いだけどな。」
「お屋敷は、無事だったんだね・・・」
「うん。でも、果樹園はほぼ焼けてしまったからなぁ。
もう、当分ティータイムの果物はあげられないかもな・・・」
「そんな・・・」
-王宮内
「どうしたものか・・・」
「一体誰がこんなことを・・・」
「いや、そんなことよりこっちの食材の問題だ。」
「あと一ヵ月後にシロ様、いや、女王様の御生誕パーティーがあるというのに・・・」
「それよりも、毎日姫様も女王様にもあるティータイムの時間にもあそこの果樹園の
果物が使われているのですよ!?今日から3日間までなら、先日貰った果物で間に合うが、
無くなった後はどうするのですか!」
「・・・そうだ。スペードの村にある農家から買えばどうだ?」
「いや、駄目だ!あそこの農家には、一度買ったことががあるが、クロ様の
お口に合わなかった!それに、その農家の野菜を食べた国民が、食中毒になったと聞いた!」
「静かに!」
ナノの声が響く。
「焦るな!まだラッカー家の果樹園が駄目になった訳ではないのですよ!
焦りすぎて王宮内にある備蓄庫にまだ野菜も果物もたくさんあることを忘れたのですか!」
「あ。」「そうだった・・・」「忘れていた・・・」
「いいですか!ラッカー家の果樹園が回復するのを待つ!シロ様に許可を頂いて、
我々も支援する!それで決定で良いか!」
「異議のある方は、手を挙げてください。」
ミーシャ議長の冷静な声。
手を挙げる者は、一人も居なかった。
「では、ラッカー家の果樹園についての議論はこれにて終了とする!それぞれの持ち場(仕事)に
戻ること!」
こうして、会議は、幕を閉じてしまった。
「では、おやすみなさい。姫様たち。」
「おやすみなさ~い。」
「おやすみなさい。」
珍しくナノの指導も無く一日が終わったアカとクロ。
「・・・クラン、大丈夫かな。」
「だいじょうぶだ。る・・じゃなくてナノがなんとかしてくれる。」
「そうかな~。心配。」
会話は、それで終わったと思われた。
「あっ!そうだっ!いいこと思いついた!」
「なに?」
「あのね・・・で・・・して・・・・・・」
「! いいね。やってみるか。」
「よっし!そうと決まったら早速明日から準備だー!」
「んじゃ、あしたにそなえて。おやすみ。」
「おやすみ~!」
だれもしらない。
しんしつでこんなかいわがされていたことを。
また移しました。
気に入らなかったら、書き換えたりするかもしれません。
でもそれはあとで。