第一話「勇者サマが見つかった」
二作目です。とりあえずごめんなさい。
そして今回は初っ端から視点がころころ変わります。
次回からはこんな忙しいことはしないです。
えっと…読んでくれると嬉しいな?
「んー…やっと終わった」
私は終わったばかりの授業の黒板を見ながら軽く伸びをした。今日はこのあと予定もないし、カフェに寄って少し勉強してから帰ろうかな。
そう考えながら、私は荷物を鞄に詰め、大学をあとにした。
今日は何を食べようかな。モンブランとストレートにしようかな。そんなことを考えながら人通りの多い大通りをルンルン気分で歩いていた。
あ、せっかくだから友達も一緒に呼んだほうがいいかな?もしかしたら課題も手伝ってくれるかもしれないし。報酬はそこのカフェの奢りで。
私は携帯片手に気分が上がっていた。
そして私はこのあと後悔することになる。どうして真っ直ぐ帰らなかったのかと。
こんな厄介事を背負う羽目になった自分の人生を…。
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くそっ、やはりこの世界にも溢れていましたか…。
裏路地から出ている茶色いもやもやしたものを見つけ、僕は腕に嵌めている石に向かって現状を報告する。あれは僕らにしか見えないものだ。
「団長、ここにもやつらの思念が多少なりとも溢れています。このままではこの世界の住人に見つかるのも時間の問題かと…」
少しして、石の中から少し渋い大人の男の声が聞こえてきた。
『一刻も早く見つけ出せ。手段も遠慮もいらん、時間だけが勝負だ』
「了解しました。引き続き捜索します」
僕は石から視線を逸らし、ここにいるというあのお方を探し出すために歩き出した。
それにしても、ここはとても歩きづらい世界ですね。こんなにも住人がひしめき合っているのにも関わらず、まるでそれに頓着しない。これが慣れというものでしょうか。
そんなことを思いながら歩いていると、前からとても綺麗な女性が見えた。本当に、美しいとしか言い表せない女性です。この世界の国の住人に珍しく、金色の髪と瞳を持っていますね。それらも合わせ、この女性の美しさに僕は一時見惚れていました。
その時、どこからか漂う妖気を察知しましたがこの女性に見惚れていたため一瞬出遅れてしまいました。
それは一瞬の出来事でした。その妖気の塊はこの世界の住人の子供くらいの姿を形成し、一直線にその美しい女性へと襲い掛かります。まずい、間に合わない…!そう思った時です。
襲われた女性はこの世界の住人にも関わらず、体を少し反らすだけでその妖気の塊から避けました。それだけでも僕は唖然としてしまい動けませんでしたが、美しい女性はそれだけに留まらず、避けざまにその妖気の塊の腕を掴み地面に叩きつけました。
「………」
いくら妖気の塊とはいえ見える者には子供の姿、とても痛々しく直視できませんでした…。女性は叩きつけた妖気の塊を今度は容赦なく、そして休みなく踏み続け終いには粉々にして、最後は豪快に蹴り飛ばし、その風圧で消し飛ばしました。妖気の塊には反撃の隙どころか逃げ出すことさえ許しませんでした。
…なんでしょう、この感覚は。美しい女性の犯行はあまり見たくありませんでした。
そんなことより、あの妖気の塊が見えること、そして何よりあの妖気の塊に触れることが出来るのはあのお方しかいない…!僕は急いで美しい女性の元へ行き、その神々しさまで感じられる美しさの前に跪きました。
「やっと…やっとお会いできました。勇者様!」
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大通りを歩いてしばらくすると、なにやら悪寒がした。なんだろう、この感覚は。
辺りを見回しても何も異変はない。どころか、とても平和そのものに見える。
「気のせいかな」
そう思うことにして一歩踏み出た途端、悪寒が一層強まり私は思わず体を仰け反らした。その瞬間、この悪寒の正体が分かった。いや、分かりたくなかった。
「ひっ…!?」
こいつの正体、蜘蛛…らしき虫だ。大きさは人間の子供より小さいくらい。黒くてモヤっとして毛むくじゃらだけど虫にしては結構大きい。そして気持ち悪い…でも足が六本もあるのは虫でしょ。人間じゃないでしょ。本当は着ぐるみで中には可愛い子供が入ってると思いたかったけれど、この悪寒はどうにも覆せない。どうしても嫌悪感が溢れ出てしまう。
蜘蛛は駄目だ。蜘蛛だけは…どうしても見逃せない。
私は目を瞑りとっさに手を伸ばしその蜘蛛の腕を掴む。毛むくじゃらの感触が直に私の手の中でモゾリと動く。ぞわぞわっと鳥肌が立ち、もう本能的にその蜘蛛を地面に叩きつけた。なんかいい音したけどそんなことに構う余裕なく、間を置かずにその蜘蛛を踏み潰す。何度も何度も何度も…思いっきり。何回踏んだが分からないが、なんか粉々になったところでそれを蹴り上げ風圧で証拠隠滅をした。
「ふう…」
やっとこの視界から蜘蛛が消えた。なんだか満足感いっぱいになっていると、どことなく周りの空気が変なことに気づいた。はっとして見渡してみると、私は輪の中心人物になっていた。ようは、周囲の人から何故かとても引かれ、イタい子を見る目で見つめられていた。
…え?なんで?もしかして今の蜘蛛、私にしか見えないし触れないってこと?もしそうならこの周囲の冷たい視線も納得出来る。なんたって見た目外人の私がいきなり暴れだしたんだもんね…。恥ずかしいから早くカフェに行こう、そうしよう。
私はそそくさとその場を立ち去ろうとしたとき、何故か前から一直線に歩いてくる若い男がいた。もしかして、今の見て精神病院に連れて行かれる?!それか長々とお説教される?!今から勉強したいのに、そんなのは絶対いや!
しかし、そんなことを考えているうちにその若い男は私の前まで来てしまった。とりあえず話を聞いて、話が通じなさそうなら蹴っ飛ばしてでも逃げよう。そう構えて、若い男の話を聞こうとした。したんだけど…いきなり方膝を地面につけて、王子様お姫様にするような格好で見上げられた。私は唖然として動けなかった。そしてその若い男が口を開く。
「やっと…やっとお会いできました。勇者様!」
…………は?それは誰に言ってるんですか?
とりあえず、主人公は踏んではいけないものを踏んでしまいました。
それはきっと導線に火をつけるスイッチでしょうね…。
まずは、巻き込まれてください。
この子達がちゃんと動いてくれるといいな…。