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天才VS撲殺

「…今の、打撃は…」


ゼイルスはレオルの打撃を喰らって、

エリュシオンとの戦闘を刹那に脳内でフラッシュバックさせていた。ガードや筋肉の鎧を貫いて、体内の奥底を壊してくる拳


「レオル歩兵長!」


「人間が!調子に乗るのも終わりだぜ!

このお方は我らが歩兵長にして魔王エリュシオン様直属の部下、撲殺のレオル様だ!」


取り巻きの獣や、悪魔のような魔物が

水を得た魚のようにギャアギャアと騒ぎ始める。レオルはそれをしばらく聞くと、一際騒ぎ立てている近くにいた二足歩行の狼に歩み寄り


ドッ


腹に拳を打ち込んだ。

いや、拳で腹に触ったというべきだろうか

とにかく、それ程までに威力が無かった

だが、拳が腹に触れた瞬間に、狼は

白目を向き、泡を吹いて倒れてしまった


「オレの歩兵軍とあろう魔族が、分かりやすく長いものに巻かれやがって。人間ごときを即殺できぬ弱さ、恥を知りやがれ。」


冷たく、レオルは言い放つ。

その小さな身体とは裏腹に、その威圧は

歩兵軍の魔物たちを飲み込み、黙らせた

その様子と、先程のレオルの打撃を見て、這いつくばりながらもゼイルスは思考する。


(あの拳には確かに威力は無かった。

きっとあのオオカミ野郎も俺と同じ…

“内部“をぶち壊されやがったんだ

ならもう打撃は貰えねーな…)


ゼイルスは魔王戦の傷も癒えぬまま

よたよたと立ち上がり、


「おいおい…お前もその人間ごときを

一発で仕留められてねぇじゃねぇの

上が腑抜けだから下も腑抜けなんだよ

ドカチビグレムリン。」


と啖呵を切った。

すると、目に見えて分かるように戦場の空気が一変し、周辺の魔族がざわつき始めた。


「おいアイツ…歩兵長にチビって…」


「は、離れろ!このままじゃ」


バゴォン!!!!!!


途端にレオルは地面を踏み抜いた

そしてその額に1本の角を生やして

先程のように両腕の筋肉を膨張させる


「面白ぇ…生意気な奴は大好きだぜ

ブチ殺したらスカっとするからなぁ!」


まるで、瞬間移動をしたかのような

一瞬のごとき踏み込みをレオルは見せる

そしてゼイルスの顔目掛けて

金剛石のように固まった拳を振り下ろす


だが、レオルの放った拳は

加速しきる前に、脱力したゼイルスに

阻まれ、そのまま受け流される。


シュパンッという音と共に

レオルの拳は空を切る、だが周辺の

空気が破裂し、歪な音を立てている事から、やはり威力だけで見れば侮れたものではない。


「受け流し…旅先の拳法家のジジィの

見よう見まねで行けるもんだな…」


【破奪〈はだつ〉】


ドズンッ


お返しのカウンターとばかりに

ゼイルスは左の膝をレオルの顔面に、

そしてレオルがその衝撃を受け切る前に

右膝を腹部打ち込む。その洗練された早さは

一度の打撃音しか聞こえさせない


「…おぉ、早ぇな、じゃオレも速拳で

やらせてもらおうか」


【魔流拳 輝星戦舞(きせいせんぶ)


途端に、視認できないほどの拳の雨が

ゼイルス目がけて降りかかる。

あまりの速さに空を切る音さえ聞こえず

取り巻きの魔物の目には、レオルが

ただ立っているようにしか見えなかった


そんな中

ゼイルスは笑った。

拳の弾幕一つ一つを目で追いかけて

一つ一つを打ち落とし、受け流し捌く。

一種のゾーンに入っていたのだ

喜々として攻撃を捌く様子を、レオルは

目撃し、こちらも同様に笑みを浮かべた

奇しくも、お互いが思ったことは一致した


「「こんな良い戦闘者には初めて出会う」」


シュパンッ…!!


だが無情にも、レオルが打撃のリズムを変え、体勢を低くして打ち込んだ一発が

ゼイルスの腹部に打ち込まれてしまう。

途端に吐血し、血がレオルに降りかかる

勝負は決した。と誰もが思った次の瞬間


「ゴボッ…やっぱ、速度重視だと…

さっきのより威力乗ってねぇわ…」


血を撒き散らしながらもゼイルスは笑い

レオルの両手をガッチリと掴み、

両足は自らの足で踏んでレオルを拘束した。


「オレは…悪いけど戦闘の天才でね…

頭も悪けりゃ容量も悪ぃがこれだけは…

仲間も認めてくれんだわ…」


そう言うゼイルスだが、腕の力は明確に弱まっており、身体の軸もブレにブレている。


「そんな状況で、何言ってやがる。」


「まぁ…喰らってみれば分かるだろ」


レオルにそう冷たく返答すると


落雷(らくらい)


ゴンッ!!


ゼイルスはレオルに向かって頭突きを打ち込んだ。その瞬間だった。


バリバリィ!!!!!!


「〜ッ””!?」


レオルの脳内に、電撃が走る

針まみれの手袋で脳みそを直接

握られたかのような鋭く激しい痛み

思わずバックステップでゼイルスからの

距離を取るが、それを見逃すような

ゼイルスでは無かった。


「おぉ…?そのリアクション

まさかまさかの成功したか…?

この魔界に空気のように充満する魔力

それを自分の闘気とくっつけて、

打撃に乗せるのが、テメェのその

魔流拳とやらのカラクリだろ、ビンゴ?」


凄まじい威力の頭突きによって

額こそ弾けてはいたが、ゆっくりと、

ゼイルスはレオルに歩み寄る。


(なんてヤローだ…人間ながら魔界の魔力を認識し、2撃…この場で喰らうだけで魔流拳の仕組みを理解するたぁ…)


「フン…だからどうした…今のは所詮、不意打ちの一発だ。相手が同じく魔流拳を収めていると考えれば、こちらとしても戦い方を変える…」


レオルはそう言い放つと、膨張した腕を戻し、魔力を落ち着かせて、ゼイルスの前で構えを取った。


「だよなぁ…俺も別に、付け焼き刃を覚えただけでお前に勝てる気はしてねーよ

だから、降参だ。」


すると急に、ゼイルスはどかっとあぐらをかき、両手を上げた


「んだと…何の真似だテメェ。」


「俺の強さの証明は十分できたろ。

今は戦争中だろ?いくら単細胞とはいえ

ここで戦力になる人材を殺すほど

歩兵長まで上るやつが馬鹿なわけない。

なら、俺はこの歩兵軍で強くなる。

アンタの部下として魔流拳をモノにして

アンタより、魔王より、この先のどんな奴より俺は強くなる。」


ゼイルスは真剣な目でそう言い放った。

すると、今までお堅い態度を取っていたレオルも力を抜いて大声で笑い出した。


「ハッハッハッハッ!!!!

面白ぇ奴だ!メタフィスの野郎

俺にいいもんを紹介してくれたぜ!」


急にガシッとゼイルスの肩を組んで

先程とは裏腹に明るくレオルは言う


「俺はここの歩兵長、レオルだ!

さっきは悪ぃな!新入りを試す時は

こっちもマジになっちまうんだ!

でも面白ぇ奴と強えやつは仲間だ!

いいよな!?テメェら!!!」


吠えたレオルに、周辺の仲間も呼応する


「ウオオオオオオ!!!!」


「やるじゃねぇか人間!!!!

レオル様に一撃入れるなんてよ!!!」


「もう俺より魔流拳うめぇよ!

ギャーッハッハッハ!!!!!

歓迎するぜ!!クソ人間!!!!」


魔族たちの歓声を受けながら

全身を痺れさせてゼイルスも吠える


「ゼイルス・オードスターだ!

よろしく頼むぜ!!!クソ魔族ども!!」



歩兵の訓練場が、大いなる盛り上がりを

見せ、空気が爆発したかのように震える。



〜破壊の魔界 魔法研究室〜


「このやかましさはレオルのところか…

どうやらお前の仲間は上手く溶け込んだようだぞ。こちらとはえらい違いだな」


顔の半分に火傷をおった悪魔が

その両翼を広げながらエリーナとフォズに向かって話しかけた


「…ッ!だったらこの拘束を解きなさいよ!私ならまだしも…フォズにまでこんな拘束する必要ないじゃない!!」


エリーナが怒号した。言葉の通り

エリーナとフォズの2人は、正面の悪魔によって、手術台の上で、拘束魔法で身動きがとれなくなっていた。

そんなエリーナを無視するかのように

手に魔力を貯めた悪魔は、フォズの元へゆっくりと近づく。


「ひっ…何…なに、するんですか…。」


「こちらとしても人間は貴重な研究材料でな…どうやって魔力を練るのか、扱うのか、一切が謎なんだ、だからな。」


ポケットから出したのはメスだった。


「一度、中を見てみることにした。」


【破壊の魔界 魔法部隊 隊長

教授〈プロフェッサー〉 インフェルノ】

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