episode_4 思わせぶり!?
電車から西田さんが降りてしまった後、航はやるせない気持ちになった。
なぜだ、なぜなんだ。カップルという関係にさえなってしまえば、ロマンチックな話をしたり、人がいないところでキs…なんかができるわけじゃねえのかよ。今日の雰囲気なんて、まるでお通夜じゃないか。どうしてあんなに沈黙が続いたんだ??
やっぱり、話す話題がなかったのが問題だったのか⋯?それとも、俺のことがそんな好きではないからか…?
西田さんに俺を好きになってもらうもらうには、どうしたら良いだろうか。
もしかして、俺がもっと気の利いた行動をとれば、西田さんはキュン⋯となって俺のことを好きになってくれるんじゃないか?時間がない、明日早速実践してみよう。
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翌朝、西田さんと一緒の電車に乗るために俺はいつもより早く家を出た。まず最寄り駅の尾田から学校とは逆方向の宮後坂まで行き、次に学校方面の電車に乗る。わざわざこんな面倒くさいことをやっている理由は、西田さんと同じ電車に少しでも長く乗っていたいからだ。
宮後坂から学校方面の電車に乗って一駅、鷹沼駅につこうとしている。この駅から西田さんは乗ってくる。
電車は止まろうとしている。本当に同じ電車に乗り合わせられるのか、すこし緊張してきた。
電車が停まる寸前、西田さんの姿がみえた。
電車のドアが開くと、西田さんが俺に向かって歩いてきた。
「佐藤くんおはよう」
そう言いながら西田さんは俺の隣に座った。
「お、オハヨウゴザイマス」
俺は緊張が抜けたからだろうか、声になっていないような声で西田さんに返した。
電車のドアがしまった。学校の方向へ向けて発車した。
俺は昨日考えたことを実践しようとして、西田さんのことをみた。なにか褒めてあげられそうなポイントはないだろうか。昨日家に帰ってからネットで調べた情報によると、女子は髪の毛を少し切ったとか、少しメイクが変わった、とかそういう小さな変化に気づいてもらえると嬉しいらしい。そして"気の利く男子"として一目置かれた存在になるらしい。これを狙う以外にない。
なにか昨日から変わったところはないだろうか、、、?
見つけた、西田さんの昨日と変わったところを。髪の長さが短くなっている。昨日は肩まで髪があったのに、今日は首までもないくらいだ。これだ。これに気づいた俺は気が利いているかもしれない。
俺は自分が気の利いた人間であると自分を誇りに思った。でも、同時にゾクゾク感も湧いてきた。
もし間違ったことを言ってしまったらどうしよう、という。
言おうか?いや、やっぱやめとくか? 俺は何度も自問自答した。
そうこうしているうちに、電車は富士が丘を発車した。もう次は紅葉台である。
バスは電車より混んでいるため、もうこんな絶好のチャンスは回ってこないかもしれない。
このチャンスは逃してはならない。俺はそう思って西田さんについにいった。
「に、西田さん」
「どうしたの?佐藤くん」
「俺、き気づいちゃったんだけどか、髪すこし切った?」
(゜∀゜)イッタ___________! 俺は言ってしまった。これで気の利いた男子仲間入りでは?俺は興奮して脳汁が出た。
「いや、切ってないけど?」 西田さんは意に反してサラリと答えた。
「え、な、なんで?昨日は肩まで髪があったのに、今日はないじゃん?」
俺は慌てて返した。それに対しても西田さんはあっさりと答えた。
「それは昨日は髪さげてて、今日は結んでるからよ。」
…髪の長さが結び方によって変わるなんて、、そんなの俺はしらなかった。。というか、俺の読んだネット記事にはそんなこと書いてなかったんだけど…。
予想外の返しを聞いた俺は、ぬけ殻のようになってしまった。。
電車は紅葉台についた。ここからバスに乗り換える。
電車を降りた時、西田さんは両手に荷物を下げていた。右にはスクールバッグ、左も何かがパンパンに詰まった紙袋が入っていた。
俺は思い出した。女の子が重い荷物を持っている時にさり気なく持ってあげられる男こそよくモテる…と、昨日ネットで読んだことを。
俺は早速実践することにした。とりあえず紙袋の方を持とうと思い、歩きながらさりげなく西田さんの左側に立って、一瞬しゃがんで紙袋を下からひょいと持ち上げた。
「ちょ、きゅ、急にどうしたのよ」
「え、えっ」
西田さんは驚いたようで、いつもより大きめの声で言った。
周りを歩いている人たちの視線が、一瞬俺の方向へ向いた。
あ、あれ。俺の予想した反応とはまったく違った。そのネット記事によると、「きゃー〇〇くんステキ!」とか「〇〇くんたよりになるなぁ〜チュ٩(♡ε♡ )۶」みたいな展開になるってかいてあったのに⋯
俺は咄嗟に「い、いや、そ、その荷物すごく重そうだから持ってあげようかなと思いまして 」と釈明した。
西田さんは息を整えてから「に、荷物は持たなくて大丈夫だよ。この荷物、見かけよりは重くないから」と言ったので、
「そ、そうなのですね。し、失礼しました。」と、言い淀んでしまった。
⋯まずい。これじゃ、きまずいだけだった昨日の二の舞を踏んでしまいそうだ。なにか話すきっかけはないだろうか⋯?
俺は目に入ってくるものからなにかお互い話せる”共通の話題”となり得るものがないか血眼になりながら探した。いつも通ってる場所なのに、まるで全くちがう風景を見てるかの心地がして不思議だ。
すると、駅の改札の外にあるブルースプリングカフェに”食欲の秋キャンペーン実施中”というポスターが貼られているのが見えた。
俺はこれだ!と思った。確か前にどっかの女子が「西田はモンブランが好き 」とか言ってたよな。俺も焼きいもが好きだしこれは共通の話題になるぞ〜〜キタコレ(゜∀゜)
そしてそして、これはあくまで理想レベルだけど、もしももしもお茶に誘うことができたら⋯?
なんて理想的なのだろうか__
俺は早速、話題を振ってみた。
「あっ、あの西田さん」
「どうしたの?佐藤くん」
「ブルースプリングカフェって知ってますか?駅まえにある 」
「あ〜あそこね、知ってるよ」
「いま、なんか食欲の秋キャンペーンをやっているらしくて。僕それに興味あるんですよ。」
「私も〜!美味しそうな限定メニュー、たくさんあるよね!」
「例えば、モンブランクリームフラッペとか、なんかよさそうですよね。」
「わかる〜、あと焼き芋ブリュレも美味しそう〜!」
「あの、もしよければ、行ってみませんか?一緒に。あ、ほらあの、西田さんもモンブラン好きですし、僕も焼きイモとか好きなので、きっといいかなと、思うんですよ。」
誘った、誘ったんだ。俺は女子をお茶に誘ったんだぞ。★KITAKORE★これはもう、ランクアップやろ。
俺は勇気を振り絞って言葉に出した。それに対し西田さんが答えるまでにすこしの違和感を感じる"間"があったようなきがした。
「⋯⋯そ、そうね、いつか行ってみたいね!」
バス乗り場についた。バスに乗ると、後ろから次々人が乗ってきて、西田さんと分かれてしまった。
さっき西田さんの返答までに謎の"間"があったことを、俺は少し不思議に思った。
西田さんはなにか考えたのだろうか⋯?
俺は混雑している車内で背伸びして、西田さんがどこにいるかを探した。西田さんを発見した。やっぱり吹き出しから何かが浮かび上がっていた。遠目だったから確証は持てないが、[なんで、なんで知られてるの⋯]とかいてあった。
バスを降りると、頭上の文字はもう消えていた。何のことだったのだろうか…?
校舎を入ると西田さんが「じゃ、また放課後17時にここでね」といって足速に行ってしまった。
そういえば昨日、西田さんは俺らが付き合っているということを隠しておきたそうだったことを思い出した。
上履きを履き替え、校舎に入ると、非リアだった昨日までの俺と何も変わらない日常が始まった。
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放課後17時、俺は下駄箱の前で西田さんを待った。
「ごめんね〜また遅くなっちゃって。」
西田さんはまた少し遅れてやってきた。そしてまた、片手に大きな紙袋を抱えていた。西田さんは靴を履き替えようとしてその紙袋を、近くにあった椅子の上においた。
「さあ、いきましょうか 」
俺はそう言って椅子の上においてあった紙袋を右肩にかけた。
「ちょっと、そのクダリもう何回目よ!だから私の荷物はもう持たなくて大丈夫だから!」
西田さんは、いつもと比べて少し強めの口調で言った。
俺はさすがに起こらせたらマズイと思って、「ごめんごめん、冗談ですから 」
そう言って西田さんに紙袋を渡した。
「⋯それ冗談になってないから 」
西田さんは小さな声でそう言いながら紙袋を受け取った。
⋯西田さん、いつもより少し怒ってる?
俺は少し考えた。登校する時に何か怒らせるようなこと言ったっけな⋯?そういえば朝に上履きを履き替えた後すぐツカツカと行ってしまったのも怒っていたからなのか⋯?
色々考えているうちに、俺は一つのことが脳裏によぎった。
⋯アレだ。西田さんを怒らせてしまった発言。それは”食欲の秋キャンペーン”の話だ。
そういえば朝のバスで、西田さんの吹き出しには[なんで知られてるの⋯]とかいてあったのを思い出した。
おそらく俺は、西田さんがスイーツ好きだから体重が重いということを知ってると思われてしまったのだ。
レディーに対して体重を聞いてはいけないと昨日読んだネット記事にもかいてあったが、スイーツと言えば高カロリー、高カロリーといえば体重、つまりスイーツの話はしてはいけなかったのだ、、、
あぁ、完全にやらかした。なんてことをしてしまったんだ。
バス停まで歩き、そこから紅葉台行きのバスに乗った。しかしなにも会話が始まらない。
バスはとうとう駅についてしまった。結局何も会話がなかった。
気まずい思い空気感に押しつぶされそうな気持ちで歩いていると、西田さんがとつぜん喋りかけてきた。
「ねえ、佐藤くん。2つお願いがあるんだけど⋯ 」
「ど、どうしたんですか?」
「あのさ、こ、今度の日曜日、一緒に青葉ケ丘のショッピングセンターにいかない?」
(≧∀≦)キター!まさかこの流れで休日にデートの誘いが来るなんて!あまりに思いも寄らない展開だった。俺のテンションはUの字を描くように急上昇した。
やはりカップルは最高である。このように人生という何もない一本道に、突然花が咲くことがあるからだ。
もちろん俺は喜んで快諾した。
「え、マジっすか?い、行きましょう!」
「ありがとう!それともう一つお願いなんだけど⋯」
「は、はい。なんですか?」
西田さんは一息置いてから落ち着いて口を開けた。
「もう私に余計なおせっかいかけないでほしいの。あなたはただ隣りにいてくれるだけでいいから。」
さっきのデート誘いの話と流れが違いすぎて、俺は当惑した。
「は、はぁ⋯ 」
「お願いね、じゃあごめん、今日私ちょっと急いでいるから、急行に乗って帰るね。日曜日は青葉ケ丘駅に10時に待ち合わせだよ!」
そう言って西田さんは足早に急行電車に乗り込んでいってしまった。
「ちょ、ちょっと!」
俺も急いで追いかけたが、電車は俺を載せること無くドアを閉めてしまった。
電車の中にいる西田さんを見ると、すこし表情が暗めな気がした。
頭をみると、やはりなにやら字幕がうかんでいる。うっすらと[もしかして、佐藤くんって⋯]とかいてあるように見えた。
しかし、電車が動き出してしまったので、なんて書いてあるか完全にはわからなかった。
果たしてこの後2人はどうなるのだろうか。
次回へ続く。
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