駒の値段 玄狼衆が全てを飲む
「序列一位、ラウル・ベルネ」
蒼穹会の代表が即座に立ち上がった。六年生だ。
ラウルの家は財務省と繋がりがある。蒼穹会にとって、最初から決めていた獲物だった。
「800枚」
紅炎団が「1000枚」を出した。
蒼穹会「1300枚」
紅炎団「1600枚」
蒼穹会「1900枚」
その瞬間──玄狼衆の代表が、初めて口を開いた。
「2500」
会場が揺れた。
玄狼衆が、最初の一人目から動いた。しかも一気に値を跳ね上げた。
蒼穹会と紅炎団が顔を見合わせた。
蒼穹会「2800枚」。玄狼衆「3300」。
蒼穹会が止まった…
ラウルは玄狼衆に落ちた。
ラウルが、戸惑った顔で俺を見た。
俺は視線を返さなかった。
今は説明できない。
「序列二位、クルト・ハーゲン」
紅炎団が「900枚」を出した。
クルトの剣術は上位で、紅炎団向きの人材だ。
玄狼衆「1400」。紅炎団「1800」。玄狼衆「2300」。
紅炎団が引いた…
クルトは玄狼衆に落ちた。
クルトが珍しく真剣な顔をした。
いつも笑顔の男が、この場では笑えなかった…
「序列三位、ヴィクター・フォン・クラーゼン」
フォン・クラーゼンの名が呼ばれた瞬間、各派閥の代表の目が変わった。
蒼穹会「1000枚」。紅炎団「1300枚」。蒼穹会「1700枚」。紅炎団「2100枚」。
玄狼衆「3200」。
蒼穹会と紅炎団が顔を見合わせた。
紅炎団「3600枚」。玄狼衆「4200」。
紅炎団が落ちた…
ヴィクター・フォン・クラーゼンは、玄狼衆に落ちた。
ヴィクターは一度だけ、視線を動かした…
俺の方を、一瞬だけ見た…
確認する目だった。
─ やはり、この流れか…
そういう目だった。
「序列四位、エリカ・ゾンマー」
白鷺閥「600」、蒼穹会「900」、白鷺閥「1200」
玄狼衆が動いた。
「1800」。
白鷺閥「2200」
玄狼衆「2700」
白鷺閥が首を振った…
エリカは玄狼衆に落ちた。
「序列五位、ニコラス・ハルト」
紅炎団「700」、蒼穹会「900」、玄狼衆「1400」…
紅炎団「1800」
玄狼衆「2300」
両派閥が引いた。
ニコラスも玄狼衆に落ちた…
一位から五位まで、玄狼衆が全員を落とした…
他の三派閥は、一人たりとも取れていない…
会場のざわめきが、静かに広がっていた。
シオン兄上は書類を手に持ったまま、微動だにしなかった。
目だけが、次の名前を待っていた…




