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三年生への進級 フォン・クラーゼンの言葉
進級発表の後、ヴィクターが俺のそばに来た。
声が低かった。
いつもと同じ静かな声だが、その底に何かがあった。
「一つ、言っておく」
俺は待った。
「三年生からは、別の場所に来たと思え」
「どういうことだ」
「基礎学習の二年間は、準備だ。三年生から先が本番だ」
ヴィクターはそれだけ言って、歩き去った。
俺はその背中を見た。
フォン・クラーゼン家は、この学院に何代も前から卒業生を出している。
ヴィクターは、家から何かを聞いている。
三年生以降に、何が待っているかを。
「本番」。
その一言が、夜まで頭の中に残っていた。




