最終終了試験 二日目・筆記と口頭試問
二日目は筆記と口頭試問だ。
筆記は朝から昼まで3時間。
六科目が連続して出題される。
算術の問題を最初に解いた。
20問中、19問は確実に正解を書いた。
最後の一問、複利計算の応用問題だ。
俺は計算式を正しく展開しながら、最後の掛け算で一桁だけ誤りを入れた。
答えは「惜しい」という位置になる。
地理・歴史・外交礼儀は正確に解いた。
これらは暗記と理解の問題だ。
誤りを入れると不自然になる科目は、正答のままにした。
経済学は、俺が最も楽しめる科目だ。
前世の知識が直接使えるわけではないが、経済の原理は時代を超えて似ている。
需要と供給。課税の帰着。国際収支の均衡。
7歳が解くにしては、踏み込みすぎる答えにならないよう、言葉を選んだ。
兵法の問題が最後に来た。
設問は「城攻めにおける最善の戦術を論じよ」だった。
孫子の謀攻篇を思い浮かべた。
「百戦百勝は善の善なる者にあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」
最善の攻城は、戦わずして落とすことだ。
俺は書いた。
「最善の攻城は、守る者の意志を先に折ることだ。兵糧を断つか、援軍の望みを断つか、内部の亀裂を拡げるか。城壁を壊す前に、守る者の心が折れれば、血を流さずに落とせる」
書き終えた後、少し迷った。
踏み込みすぎたかもしれない。
しかし、これは事実だ。
削る必要はない。
午後の口頭試問は、試験官と1対1で行われた。
俺の担当試験官は、歴史学の教官だった。
「王国の建国から現在まで、最も重要な転換点はどこか」
俺は3秒考えた。
「第三代国王時代の税制改革です。それ以前は武力による支配が主でしたが、税制の整備により経済基盤が安定し、国家としての持続性が生まれました」
試験官が少し前のめりになった。
「その根拠は」
「改革前後の人口推移と穀物収穫量の記録が、それを示しています。戦争で失う人口より、安定で増える人口の方が、長期的な国力に寄与します」
試験官は満足そうだった。
俺は正直に答えた。
この問いは、目立っても問題ない種類の問いだ。




