最終終了試験 一日目・実技試験
基礎学習最終終了試験は、二日間にわたって行われた。
一日目の朝、20名が訓練場に集合した。
実技三種目 剣術、馬術、弓術
と、陣形演習だ。
剣術は1対1の模擬戦形式だった。
俺の相手は、成績上位のラウル・ベルネだ。
ラウルは剣が速い。踏み込みのタイミングが読みにくく、2年間で多くの者が翻弄された。
俺は開始直後、意図的に一歩引いた。
ラウルの得意な間合いに入らない。
相手が前に出てくるのを待った。
ラウルが仕掛けてきた。
踏み込みが来た瞬間、俺は右に半歩ずれた。
剣先が空を切った。
俺は即座に体を戻し、ラウルの側面を突いた。
判定は俺の勝ちだった。
しかし、際どい勝ちに見えるように、動き方を調整した。
圧倒的な勝利は、目立つ。
「ぎりぎり勝った」という印象を残す方が、俺には都合がいい。
馬術は速度と正確さを同時に問う科目だ。
俺の馬との付き合いは、5歳のときから続いている。
体が馬の動きを覚えている。
これは実力を隠すのが難しい科目だ。
俺は上位で通過した。これは事実のままだ。
弓術は的への命中率と速度の総合評価だ。
俺の狙いは上位の中ほど。
最後の一射を、僅かに外した。
これも計算の上だ。
午後の陣形演習は、6人1組で行われた。
俺の組はエド、ラウル、そして他3名だ。
演習開始直後、ラウルが指揮を取ろうとした。
俺は一歩引いた。
「ラウル、右翼の展開はどうする」
問いを投げる形で、ラウルの判断を促した。
俺が答えを提示しているが、前に出ていない。
エドが左翼を黙って固めた。
言われなくても、場を読んで動く。
この2年間でエドが身につけた、最も価値のある能力だ。
演習は俺たちの組が最高評価を得た。
しかし評価票に記録された名前は、ラウルが筆頭だった。
俺はそれで構わなかった。




