20/35
最終終了試験 試験前夜の準備
試験の前夜、俺はノートを三冊並べた。
一冊目は実技の記録。
2年間の剣術・馬術・弓術の成績推移と、各試験での自己評価を書き込んだものだ。
1年目の前半は、俺はほぼ最下位だった。
体格が小さい。リーチが短い。力がない。
剣術の師範から「構えが教科書すぎる」と言われた日のことを、まだ覚えている。
しかし俺には、前世の49年がある。
力で勝てないなら、読みで勝つ。
相手の剣筋を先に読み、最小の動作で捌く。
それを1年かけて体に叩き込んだ。
二冊目は筆記の記録。
算術・地理・歴史・経済学・兵法・外交礼儀。
六科目すべてで、俺は「意図的に上位中位」を狙ってきた。
前世の知識と合わせれば、満点も難しくない。
しかし満点は目立つ。
「惜しい」と思わせる位置に、毎回一問か二問だけ誤りを入れた。
三冊目は人間関係の記録だ。
20名それぞれの特性、得意分野、弱点、誰と仲がいいか。
2年間で書き溜めた観察の結果だ。
俺はこの三冊を、1時間かけて読み返した。
試験の準備ではない。
2年間の確認だ。




