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試験前夜 級友たちのこと
二年間で、エドが変わった。
入学当初のエドは、剣術でも馬術でも、平均より上という程度だった。
しかし一年が過ぎた頃から、エドの剣が変わり始めた。
無駄が消えた。判断が速くなった。
体力の底上げが、すべての科目の土台を押し上げた。
「お前は何で勉強しているんだ」
ある日、俺がエドに聞いた。
「目的があるからだ」
「何の目的だ」
エドはしばらく黙った。
「まだ言わない」
それだけだった。
ヴィクターは、変わらなかった。
正確に言えば…変わったが、それが外に出なかった。
剣術も馬術も、入学当初から圧倒的だった。
しかし二年目に入ってから、ヴィクターが初めて「なぜ」を聞くようになった。
「この兵法の前提は何だ」
「この歴史判断の根拠は何か」
それまで答えを覚えていたヴィクターが、問いを立て始めた。
それは入学初日に、俺が演台で言った言葉に似ていた。
気づいているのかいないのか、俺はヴィクターに聞かなかった。
他の17名も、それぞれに変わった。
二年間は、人を変える。
特に…
戦場を模した試験と、実力による序列が日常にある場所は…




