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試験前夜 二年という時間
窓の外に、春の夜が広がっていた。
ランプの灯りの下で、俺はノートを開いた。
二年間。
365日が2回。730日。
その日数を、今夜初めて「過去」として眺めた。
基礎学習の二年間は、想定以上に濃かった。
剣術。馬術。弓術。
算術。地理。歴史。
上官となるための経済学と兵法。
外交のための礼儀作法と、社交会のための舞踏のマナー。
それら全てを、半年ごとに終了試験が課された。
今日で四回目を迎える。つまり、基礎学習の最後だ。
俺は7歳になった。
入学時の5歳から、二年が経っている。
体が伸びた。声も少し変わった。
しかし頭の中にある前世の記憶は、変わらない。
49年分の経験が、7歳の体の中にある。
ノートの最初のページを開いた。
入学初日に書いた一行が、まだそこにある。
「序列最下位。最下位から始める理由を、いつか証明する」
二年間で、序列は変わった。
最初の最下位から、現在は上位に食い込んでいる。
しかしそれは、静かに、目立たないように動いた結果だ。
父王の意図は、今もある。
「今はまだ、目立ちすぎるな」
俺はその意図を守りながら、しかし確実に位置を上げてきた。




