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第一問 論理課題

総長が第一問を告げた。


「ある王国に、二つの派閥がある。一方は改革派、もう一方は保守派。両派閥は税制を巡って対立している。改革派は農民への税を軽減し、商人への税を増やすことを主張する。保守派は現状維持を主張する。王は決断を迫られている。あなたが王の補佐役であるならば、何を根拠に、どちらの立場を取るか。あるいは、第三の選択があるか。根拠を示して答えよ」


30分。


俺は1分かけて問いの構造を分解した。


表面の問いは「どちらの立場を取るか」だ。

しかし本質の問いは「王の補佐役として何を根拠に判断するか」だ。

つまり…

立場ではなく、判断の構造を問うている。


改革派の主張:農民の負担を減らし、商人に負担を移す。短期的な農村安定を優先する。

保守派の主張:現状維持。安定を優先し、変化のリスクを避ける。


どちらも、自分の側に有利な「今」しか見ていない。


俺は書いた。


「私は第三の立場を取る。根拠は以下の3点だ。


第一に、情報が不足している。農民の税負担が重い理由が不明確なまま、減税を決めることは対症療法に過ぎない。まず現状の調査が必要だ。


第二に、どちらの案も、実行した場合の反動を考慮していない。農民の税を減らせば財政が圧迫される。商人の税を増やせば商業活動が委縮する可能性がある。改革は一手だけでは完結しない。


第三に、補佐役の役割は、どちらかの答えを選ぶことではない。王が判断を下せるだけの情報と選択肢を整えることだ。私が提案するのは『調査と段階的移行』の枠組みであり、特定の派閥への肩入れではない。


王の補佐役に求められるのは、正しい答えを持つことではなく、判断の質を上げることだ」


俺は20分で書き終えた。

残り10分で読み直した。

削るべき言葉はなかった。


クレアが答案を受け取った。

読む速度は速い。

しかし途中で、止まった。

10秒ほど、同じ箇所を読んでいた。

表情は変わらなかった。

しかしその静止が、何かを語っていた。

特務機関の人間が立ち止まった。

それだけで十分だった。

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