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【本編完結済】逆行令嬢リリアンヌの二度目はもっと楽しい学園生活〜悪役令嬢を幸せにしてみせます!〜  作者: 鈴埜
【番外編】

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逆転令嬢リリアンヌのもっと楽しい!?義実家訪問〜アーランデ国でも暴れちゃいます〜4

 帰宅後フィニアスと家族たちには心配されたが、私には傷一つない。イライジャが可哀想なので私の口からことの顛末を話した。どうせみんなが聞きたがるのだから、全員に一度に話してしまうのがいいだろう。

 結果、うちの家族が皆、お怒りモードに入った。その様子に、フィニアスは多少冷静になれたようだ。

 人が怒ってると反対にこちらの勢いがそがれるというやつである。


「リリアンヌが楽しそうだから良かったけど……」

「あの場にいたご令嬢たちの力関係というかそういったものが知りたいわ。どちらかというと彼女たちと対立している陣営と仲良くしておきたい」


「そうなるとギュネイ公爵家周りかな」

「ギュネイ公爵……第四王子様?」

「そうだね、そのご実家だ」


 フィニアスは第四王子派を最近公言したところだ。アイリーンの腹に子がいることを知らなかったので、それが一番だと思ったらしい。

 第二王子はすでに廃嫡されている。

 というのも例の魔素石をフォースローグ王国へ持ち込んだ際、協力したのが第二妃エセンだったのだ。

 ラーヴェリヒ国王はトルセイ男爵を捕縛した際、処罰を受けると言っていたが、首謀者であったエセン妃は断首。その家門も取り潰しまではいかなかったが、力の多くを削がれた。第二王子は王位継承権を失い、フィニアスと同じく臣籍降下となり、すでに地方の領地へ送られている。

 つまり今は赤目を持たない第一王子と、赤目で魔力も十分ある第四王子が王位継承権持ちだった。


 腹の子たちが本当に予定外なのだ。


「明日、エブレン様に呼び出されているんだ。エブレン様の宮殿の庭も、とても素晴らしいから、リリアンヌも一緒に行く? 私はエブレン様と話をしているけど、その間イライジャと一緒に庭を見ているといいよ」

「そうですね、明日は特に予定もないですし」

 宮殿でゆっくりしていてもいいが、暇を持て余しそうな気もする。

 ちなみにアシュリーお兄様は変装して街へ降りているそうでとても楽しそう。ジャスティンお兄様とフレデリカお義姉様はなんでも知り合いのお茶会だそうだ。情報収集に勤しむらしい。

 アシュリーお兄様のお忍びに参加したいくらいだが、今それはさすがにダメだというのはわかってる。我慢だ。


 お父様とお母様は陛下から招かれるらしい。明日は王宮行き。翌日の婚約式についてかな?


「一人で残ってるのも退屈ですものね」

 お出かけ決定だ。




 第四王子の庭園は、ちょうど背の高さほどの植え込みが迷路のようになっていた。

「こういったものも面白いですね」

「一応本当に困ったときは、赤い花を追えば入り口に出られるらしいですから」

「上から見てみたいですね」

 庭師が案内しましょうかと言うのを断って四人でキャッキャと楽しんでいた。


「では、出口まで競争しましょうよ。一番の人にシュワダー・レフサー最新刊を最速で進呈します」

「「頑張ります!」」

「俺はリリアンヌ嬢と行くよ」


 ちょうど三方向に分かれて、私と護衛騎士が行く。イライジャは私の後を着いてきた。

「ところどころお花が咲いてるのが可愛いですね」

「護衛しにくいから俺は嫌だけどね~」

「でも、第四王子様とは上手くいっているのでしょう?」

「そうだけど、ただなあ、腹の子が男児だったらまた問題勃発」

「その場合、フィニアスは弟君を推さなければならないの?」

「いや、絶対そうというわけじゃない。うーん、フィニアスも家門が衰えて欲しいとは思ってはいないんだけど、結婚に文句を付けられるから怒ってるんだよね」

「まあ、フィニアスなら、自国の高位の女性との婚姻も結べるから、家門の強化に使えますよね」

「いや、どちらかというとフォースローグ王国の大使の地位は喜んでる」

「ああ、私が子爵の娘、だからですね」


 どうせ縁を結ぶのなら、フォースローグの中でも高位の貴族がいいのだろう。


「まあ、フィニアスがそれに折れるわけがないから、いい加減諦めればいいのにね」


 そこには曖昧に返事をしておいた。思ってはいても自分でそうだと言うのはちょっと抵抗がある。

「そういえばイライジャは?」

「んん?」

 のんびり歩いていると中央に来たようだ。真ん中にある大きな木が近づいてきた。


「イライジャは結婚のお相手は?」

「ああ、フィニアスが大使になると決めた時点で婚約は解消したから」

「ええっ!?」

「だって、フォースローグで暮らすことになるだろ?」

「それはそうだけど」

「貴族の結婚は本来そんなものだよ。だから、アーノルドとか、クリフォードとかを上手にまとめていたリリアンヌ嬢は本当にすごいなって思うよ」

 あっけらかんとしているイライジャに、私は複雑な思いでいた。


「もしよかったら素敵な子を紹介してくれてもいいしー。ただ、フィニアスの邪魔にならない子ってのが条件かなぁ」

「そういえば、イライジャって爵位は?」

「子爵の子だが、上に五人いる。爵位はないようなものだね。余っているのも他国に行ってる俺よりかは、自国に残ってる兄姉に渡すだろう」


 フォースローグ王国に領地があるなら、そこで住み着いて稼ぎは別からで嫁に来てくれる令嬢もいるだろうが、実家の領地が他国ではなかなか難しい。いっそのこと婿養子になる方がいいのだが、そういったものをたどる伝手が今の彼にはないのだろう。

 帰ったらラングウェル公爵に相談してみよう。と決意を固めていると、ふと、イライジャの声がしないことに気付いた。


「イライジャ?」


 さっき角を二つ曲がっただけなのに。仕方ないから戻るかと思ったが、それよりも中央の木に行った方が早いと気付いた。きっと彼もそこへ来るだろう。あの木が中間地点だと、生け垣の迷路に入る前に教えられているのだ。


 だが、そこにいたのは知らない男性。


 黒髪に空色の瞳。身なりがとても良い。

「やあ」

 笑顔でこちらに話しかけてくる姿に、眉をひそめるほかない。


 似ているのだ。

 フィニアスに。


 警戒して距離を取りたいのに、彼は遠慮なく私に近づいてくる。

 杖を取り出そうかとも思ったが、その行為自体が不敬にあたる可能性があった。


 フィニアスに似ている。ラーヴェリヒ国王陛下に似ている。


 第四王子はフィニアスと会っているはずだ。

 そうなると、本来ここにいてはいけない人しか候補がいない。


「リリアンヌ・クロフォードと申します」

 相手は私のことを知っているようだ。名を名乗らせるにはこうするしかない。

「綺麗な赤い髪に緑の瞳。聞いていた通りだね。私は、ターネル」

「ターネル様ですね。お初にお目にかかります」

 第一王子だ。第二でないだけマシか? 第二王子には逆恨みされている自信がある。しかし、第一王子とは特に接点はなかったはずだ。魔力量が足りなくて、魔族の王にはなれない王子。それは私のせいではない。


「フィニアスが選んだ相手だと聞いてどんなものかと思ってみたら……悪くないね」

 距離が縮まることに不安を覚えて少し後ずさると彼はさらに前へ出た。


「護衛騎士とはぐれてしまったので、失礼いたしますね」

「ああ、イライジャだろ、ちょっと待ってもらってる」

 そうだろう。フィニアスに任せたと言われたイライジャが私から離れるわけがないのだ。まったく気づかなかったのは、罠が後からではなくすでに張ってあったと言うことだ。いつ踏んだ? かなり高位の魔術師が関わっている。


「……ご用件は?」

「王位継承権に興味がない令嬢がいると聞いてね。しかもフォースローグでは色々な事業に手を出しているそうじゃないか。どうだ? 正妃には無理だが、私の側妃にならないか? 箔付けにぴったりだと言われた」


 こいつ、ぶっ飛ばしたい。


 いや、ダメダメ。継承権なくても王子は王子。それこそフィニアスより地位は上。

 お茶会はやってこいって言われたけど、これ相手はダメ!


「お断り申し上げます。わたくし、――フィニアス様をお慕いしておりますの」


 ふぁああああ……自分で口に出すと自分にダメージくらう。やだ、恥ずかしいんだけど、どうしよ。これ!


「顔ならそう変わらないぞ」

「お顔は関係ありませんので」

 まあ、フィニアスの顔も好きだけど!


「ならやはり魔力か」

 低い声でそう言いながら私の腕を掴む。

 いきなり雰囲気が変わって、魔力量に劣等感がすさまじいのだとわかる。そりゃ、そのせいで王位継承権が得られなかったのだ、そうなるのは十分わかるが、巻き込まないで欲しい!

 だいたい、顔か魔力って、どんな価値観だ。


「離してくださいませ」

「私もフィニアスもそうかわらないだろう」

 ぶん殴りたい!!! 全然違うわ!


「離してください」

「ヤツだって、赤目を持たないのに、魔力があるから継承権をなどと公爵が言い出したこともあった。この国の女どもは赤目ではないからとことごとく言いやがる」

 まあ、王妃になれるか、単なる王族の親戚になるかと言ったら、王妃になれるチャンスをと思うのはわかるけど。

「お前は赤目など関係ないのだろう? だったら俺でもいいじゃないか」

 いいわけがないだろう! こじらせすぎです。


 腕を振りほどこうとするが、男性の力か、なかなか思うようにいかない。なんだかクラクラした。また痕がついたらフィニアスに何と言われるか。

 めまいがする。

 ……いや、本当にこれは目が回りそう。何か、されている。


「離して!」

 身体強化を重ね、思い切り腕を振り払うと、私はそのまま飛びすさり距離を開ける。

 攻撃できないのがもどかしい。でもまあ、するわけにいかない、となれば防御あるのみ。


「【土籠】」


 地面があるところでは一番使いやすい、人を傷つけることのない術。

 それを、自分に使う。


 一瞬で組み上がった土の籠の中に、自分を閉じ込める。少し大きめに作ったので、相手からの手も届かない。この中からも魔術は使えるので、何か攻撃してきたら土盾で防ぐだけだ。

 何に驚いたのか、ターネルは目を見開いている。


「私の婚約者はフィニアス様です。お引き取りください」


 私の言葉に唇を噛みしめ、手をブルブルと震わせていた。

 これで諦めてくれないなら……火柱でもドカンと立てるしかない。せっかくの垣根迷路燃えちゃうけど、第一王子が侵入してきたのだ。警備の穴を知れたし、そのおかげでこっちが(周りから見たら)怖い思いをしたのだからチャラにしてもらいたい。


 突然ドンッ、と音がした。

 びっくりしてそちらを見ると来た方向から火柱が。

 も、燃えてるっ!!

 私まだやってないよ!?


 そしてさらにもう一本。

 火柱はとても目立つ。激しい。

 この異変に、第四王子の宮殿の者が気付かないはずがない。


 

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野生のリリアンヌ(地の文のリリアンヌ)誤字報告ありがとうございます。助かります。


競争に乗る護衛が一番おかしいんですけどね!

まあ、物語ってことで。

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