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悪役一家の愛され娘 になったので、ママの死を回避して幸せエンドを目指します  作者: 朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます!


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2、3歳。ママを死なせない!

 転生してから3年。3ちゃいになりまちた。


 一家の特徴である白銀の髪に水色の瞳をした私は、仲良し家族、ヴァリディシア侯爵ファミリーに囲まれてすくすくと育った。

 精霊様も健在だ。今のところ見放されてない。

 

 最近は、「にゃー」という鳴き声でも何を伝えようとしてるのかわかるようになってきた。何を隠そう、私は前世でも猫好きだ。猫様を喜ばせるためにせっせと猫カフェに通ったりしていたほどである。

 その私にとって、精霊様との生活はご褒美と言っても過言でもない。

 3歳児のちっちゃな指で精霊様の喉をよちよちと撫でたり、尻尾の付け根をとんとん叩いたりして毎日お接待しているのだ。


 さて、そんな私は今、シャボンの香りが漂うヴァリディシア侯爵家の子ども部屋で、家族が勢ぞろいで過ごしている。

 パパとママはソファに座り、私とアルバートお兄様はふかふか絨毯の上で寝そべって、背中に精霊さんを載せあいっこしながら絵本を読んでいる。

 

 6歳のアルバートお兄様は、白銀の髪に水色の瞳の超美少年。

 天使のように可愛らしく、かつ、妹目線だと頼もしい存在感だ。「絶対にいつも味方」という安心オーラが出ているのである。

 

「ルルミィ、せーれいさんは、魔力をあげると魔法をつかってくれますって書いてるよ」


 アルバートお兄様が言うと、精霊様が会話に加わる。

 

「みゃあー(使えるよ)」


 精霊様が何を言っているのかは、私にしかわからない。

 なので、アルバートお兄様は「ルルミィ、せーれいさんはなんて?」と聞きたがる。聞かれる前に教えてあげよう。

 

「おにーたま。せーれいさま、つかえうって」

「わあ、すごいな。見てみたいな」


 アルバートお兄様が目をキラキラさせている。お兄様のために、私は一肌脱ぎましょう。3歳になった私、おしゃべりはまだちょっと舌足らずだけど、魔力の量は大人くらいあるんだ。

 

「せーれいさま、魔力あげまちゅ」

「にゃーん。ごろごろ(魔力おいしい)」


 魔力を注ぐと、精霊様は喉を鳴らして喜んでくれた。

 

「ルルミィは文字もすらすらと読めるし、お話も上手だし、魔力も多いし、せーれいさんがいるし、すごいなあ」


 アルバートお兄様がニコニコと頭を撫でてくれるので、私のやる気がぐんぐん上がる。もっと頑張っちゃおう!

 

「こらこら。そんなに魔力をあげたら疲れて倒れちゃうよ」

  

 見かねたパパが止めに入って、魔力を注ぐのはストップした。

 魔法は、どんなのを使ってもらえるのかな?

 ワクワクしていると、アルバートお兄様が「そういえば」と窓から見える時計塔を指さした。お兄様? 魔法は見なくていいんですか? 

 

 子どもの興味関心はコロコロ変わる。

 頼もしくても、お兄様もまだまだお子さまなのだ。

 

「ルルミィ、ぼくは明日王子様と時計塔にいくんだよ。おみやげを買ってくるからね」

「……とけいとう?」


 時計塔という言葉を聞いた瞬間、記憶が思い出される。


「あーーー! たいへん!」

「ど、どうしたんだいルルミィ!?」

 

 ママが命を落とす事件は原作設定では「エイデン王子の時計塔見学事件」と呼ばれていた。

 エイデン王子というのは、現在6歳の第一王子。ゲームの主人公キャラだ。

 彼が時計塔見学をしたのだが、そこを第二王子バスティアン派、敵対派閥の暗殺者に狙われたのだ。

 

 その時、エイデン王子の学友であるアルバートお兄様とママも現場にいて、ママはその身を挺して王子様をお守りし、命を落とす……というのが、原作ゲームの設定なのだ。

 原作ゲームではさらっと語られる王子の過去エピソードなんだけど――


 ――ママが死んじゃう!


 この事実をどう伝えたらいいんだろう? 

 悩んでいると、精霊さんがふかふかの前足で「だいじょうぶだよ!」とアピールしてくる。

 

「せーれいさま?」

「うにゃーん♪」

 

 精霊さんは私の目の前でころんっと転がり、「撫でてよー」とお腹を見せた。

 アピールされたからには、撫でましょう!

 

「あーい! なでなでー!」


 なでなで。うーん、ふかふか。

 お腹、柔らかい。あったかい。 

 

 ……あっ、精霊さんがごろごろと喉を鳴らし、ピカーッと光った。

 

「なんだ!? なにか()える……!?」

 

 家族全員、大騒ぎ。

 

 なんと、精霊さんは魔法でみんなの頭の中に「時計塔に潜む暗殺者」や「暗殺者がエイデン王子を狙い、ママが王子を庇って斬られる」というイメージを見せてくれたらしい。すごい。


「こ、これは、精霊様の魔法か! なんて恐ろしい……」

「加護ですわ、あなた。精霊様の加護です!」

「こうしてはいられない。出かけてくる……! この情報は王室に共有し、急いで対策せねば!」

 

 パパは慌ただしく出かける準備をして、私の頬にちゅっとリップ音を立ててキスをした。

 

「でかした、ルルミィ! お前の力で、凶悪な事件が防げるぞ!」

 

 


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