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第9話 秋葉原 巡と倒れたクロン

 今俺は、森の中を、ソフィアを抱えたまま懸命に走っている。実際、いろいろな事が一度に起こりすぎて、自分でもチンプンカンプンという所だ。


「あの・・・・」


「どうした? ソフィア」


「あの方は・・・クロンさんは、何者なんですか?」


「あいつか? あいつはただの女の子で、ちょっと毒舌で、でも根は優しい、俺の彼女だ!」


「そう・・・・ですか・・・」


 ああ、それでいい。ぶっちゃけた話、俺もあの姿を見るのは、今回を合わせて二度目で、アレ自身が何なのかは、クロンがいずれ話すだろうと、今まで、伏せておいたため、詳しい事は分からない。


「でも・・・・どうしてですか? 人間、いえ断罪者ジャッジメントである御二人にとって、私達など、助けてもなんのメリットもないはずです。なのに・・・・」


「ばーか。困っている奴が居たら助けたいと思う。それって天使の君になら、理解しやすい事だと思うけど?」


「・・・・・・はい、そうかもしれませんね・・・・・」


 その応対が、一時続いた後、いい感じの草陰があったので、そこにソフィアを降ろし、隠れさせる事にした。


「いいか、此処から動くなよ」


「ま・・待ってくださいっ!・・・駄目ですっ!行っちゃいけませんっ!! 貴方も此処に隠れて――――」


「ばーか。彼女をほったらかして、自分だけ逃げる彼氏が、どこに居るんだよ!」


 そう言って、俺は再び、クロンのいる戦場へと舞い戻った。



 --------エンジェルズの村--------



 必ず、生きて帰る。とは言ったものの、正直、勝てる気がしないのはなぜかしら? 

まったく。変なところで、嫌な廻りが来るなんて、自分で言うのもなんなのだけれど、不幸この上ないわ。


「おやおや。先程の威勢はどこへ消えたのでしょう?」


「威勢? そんなの出して勝てるのは中二漫画ぐらいよ? そんな事も知らないなんて、天使と言うのは意外に無知なのね。ふん、哀れだわ」


「そうですか・・・減らず口を叩ける程度のチカラは残っていましたか。しかし、それも風前の灯火ですねぇ・・・」


「ふん。彼方にも同じ事が言えるわね。彼方と一緒に居たあの『ドミニク』とか言う人、もうダウンしているのに。安心なさいな。彼方もすぐ、後を追わせてあげるわ」


「それは・・・・どうもっっ!!!!」


 敵は、『騨』の文字を大量に生産し、それを弾丸のように放ってくる。ワタシもそれに応じて、広げた羽根で、打ち落としてはいるのだけど、若干、押され気味なのが現状。


 そして、当等ワタシのほうは弾切れになり、相手の弾の勢いに飛ばされ、背中から、地面に叩きつけられた。


「くぅ・・・・・・」


「まったく。手間を掛けさせないでください」


 ケルビムはワタシに近づきながらに口を動かす。


「先に・・・攻撃したのは・・・そっちでしょう?」


「我々は、神の名の下での正義を実行したまで。さあ、これで最後です。おとなしく死になさい」


 ケルビムの筆から、『矢』の文字を描き、ワタシの胸に当るように狙いを定めている。


 ああ、ごめん、あっくん。約束守れそうに・・・ない。


 そして、矢が空を裂く音だけが、辺りにこだました・・・・・

 いかがでしたか?

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