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鼓動の速さでわかる事【上映】

映画が終わった。


「ポップコーン、泣きながら全部食べちゃった」


央美君は、ゴミ箱に捨てながら笑った。


「お腹が、痛くなりそうだな」


私も、コーヒーのカップをゴミ箱に捨てた。


「めちゃくちゃ、よかったです。あー。香月の気持ちわかるな。」


「あの、女性の気持ちか?」


「だって、あそこまで気を持たせておいて、さよならだからね。酷いですよ。隆二は…」


「フッ、そうだな」


「鉄火面なのに、笑いましたね」


「私だって、笑う。鉄火面ではない。」


「へぇー。なら、興味沸いた。」


「どういう意味だ」


「先生は、女性が好きなんだと思ってたから」


「思ってた?私を知っていたのか?」


「どうだろうね」


央美君は、前をスタスタと歩いて行く。


この胸が、踊るように鳴っているのは、やはり罪悪感だ。


回想ー


「息子がいるんです。迷惑をかけたくないんです。お願いします」


「あのね、あんたとは敵なんですよ。何故来るんですか?」


「桜川先生、お願いします。私は、やっていない。息子にバレたくない。そんな性癖をバレたくはない。」


「無理だよな、桜川先生」


「すみません。失礼します」


もっと、話を聞くべきだった。


弁護士を通さずに、私に何度も会いに来たのだ。


私は、あのすがるような目を見放した。


現在ー


「せんせー、せんせー、先生ってば」


「あっ、すまない」


「何、ボッーとしてんの?」


「少し、感傷に浸ってしまっていた」


「俺と居んのに何してんの?振られた男の事、考えんのやめてよ」


「わかった」


央美君は、また私の手を握ってくる。


「もう、さっきみたいなのはなしだから」


ギュッと強く握りしめられた。


「央美君は、ご両親は?」


何をしょうもない事を聞いてるんだ。


「父親は、自殺した。母親は、それから、病んで入院してる。俺は、今一人暮らしだよ。先生は?」


「両親は、とっくに死んだ」


「そう、何で?」


「二人とも、自殺だ。」


「何で、死んだって聞いたら怒る?」


「父親が、不倫をしていたのを知った母親が自殺をした。父親は、母親を失った事で錯乱し、灯油をかぶって死んだ。帰宅すると、刑事が家にきていた。河川敷の遺体が親父だと話した。家の中には、首を吊った母親がぶらさがっていた。」


央美君は、何故か私を抱き締めてきた。


「やめろ、人前だ」


「じゃあ、二人になれるとこ行こうよ。先生」



「やめろ」


私は、央美君の腕を振り払った。


「先生?」


「今日のデートは、これで終わりだ。」


「次は、いつ?」


「また、連絡する」


私は、央美君を置いて歩き出した。


私に興味もないくせに、抱き締めてきた事に苛立ちを覚える。


心臓が、痛みで踊る。


やはり、罪悪感だった。


一緒にいて、央美君が笑いかけると鼓動が速さを増した。


背中に、じわっと汗をかいた気がした。


見つめられるとさらに速さを増した。


罪悪感…。


ハッキリと気づいた。


時刻は、もうすぐ18時だった。


bar 蝶の集いに私はやってきた。


カランカラン


「まだ、じ。優、どうしたの?」


ガチャ…


店の鍵を閉めた。


「奏太、俺を愛してくれよ」


テーブルを拭いてる奏太を抱き締めた。


パリン…


机の上の灰皿が、落ちた。



「奏太、こっち移動。何してんだよ。優」


ドカッ…


奏太から引き離されて、殴られた。


「あ、彰」


「お前、奏太は、俺に渡すって言っただろうが」


手をついた場所に、灰皿の破片があった。


刺さった。


ドク、ドク、と痛み出す胸。


「すまない。忘れてくれ」


「行かないで、優」


立ち上がった俺を奏太が、掴む。


「すまない」


「奏太、何言ってんだよ。俺を愛してるんだろ?」


「離してよ、彰」


彰は、奏太を抱き締める。


「離さない。絶対に離さない。」


俺は、スーツのポケットに血が流れてる手を突っ込んだ。


ガチャと鍵を開けて、店を出た。


「やっぱり、ここだった」


「央美君、何のようだ」


俺は、無視して歩き出す。




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