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第84話 真面目に不真面目



〜前回までのあらすじ〜


ウェンゲージと、その双子の妹で、気が触れているマリッジの過去が明かされた。


吸血鬼の荒城の地下では、『大城護』のウェディングが、マリッジと身体の入れ替わったウェンゲージから、センヤがヴァスターリアの身体で蘇った事と、これまでに何があったかを聞いていた。


歴代のデュラハルド家当主と変わらず、センヤも誰かの為に全力を尽くす事の出来る者である事に、ウェディングは安堵した。


舞台は再び国跡周辺へ、帝金機械兵に手も足も出ない人々は態勢を立て直すべく、一時撤退を選択する。

しかし背後から帝金機械兵が追い打ちをかけようと魔振銃を向ける。


その時、どこからかマイク付きの大きな棍が勢い良く飛んで来た。







<圧縮魔力弾……充填完了、敵性反応を多数確認、密度の高い座標を検知、中心へと発射、無力化します。>




「くっ!来るぞォォッ!!!」




帝金機械兵の音声アナウンスを聞いた人々が、一斉に構える。

この弾を直接身体に喰らえば、命は勿論無い。

タチの悪い事に、この砲弾は着弾と同時に、高密度に圧縮された魔力が解放され、その際に発生する衝撃は、近ければ巨大級(メガトン)の龍種ですら重症は避けられない。




ドォォォォォォンッッ!!!!!




「ぐあああッ!!!」




着弾した衝撃によって、大の男達はいとも容易く紙屑のように宙へと吹き飛ばされた。

その衝撃は防具を貫通し、内蔵や骨にまでダメージを与える。




「ハハハハ!!!進め!!帝金機械兵よ!!国跡を制圧すれば地下の大きな地脈が手に入る!!さすれば魔力は使い放題だ!!打ち放題1回やってみたかったんだよなー!!!」




死術者(ネクロマンサー)の魔人が巣食っていた国跡の下には大きな地脈があり、国跡を押されられてしまえば、帝金機械兵の先程の圧縮魔力弾がほぼ打ち放題となり、突破が困難な固定砲台となってしまう。




そしてカルマ直属の甲乙丙丁の壱〜玖まで存在する部隊、彼らは良くも悪くもカルマの影響を受けていた。

心の中に小学4年生男子が住んでいるのである。




先程、マリッジの元へ派遣された帝金機械兵はあっさりと破壊されてしまったが、帝金機械兵は九章以下の魔法攻撃の一切を受け付けず、原初鉄鋼を特殊な方法で装甲へと練り込んでいる為、物理的、魔力的にも驚異の防御力を持っていた。

普通の人間、魔人からすれば、近づく事すら困難であり、かなりの脅威である。




「だ、駄目だッ!!我々にはどうする事も出来ん!!一旦下がれ!!」




「帝金機械兵!!愚かな敗走者共の背中を撃ち抜いてやれ!!」




手も足も出ない為、彼らは態勢を整えるため、帝金機械兵から逃れるべく背を向けて走り出した。

帝金機械兵の横に並ぶアンビシャス兵が、彼らへと追い打ちをかけるべく、指示を出す。

指示を受け取った帝金機械兵は両手を突き出し、両腕に備え付けられた魔振銃(マシンガン)を起動させた。







「うぉらっ!!」




ゴインッ!!




「てっ、帝金機械兵ッ!」




遠距離から投げられた、先端にガーゴイルを象ったマイクの付いた棍は、帝金機械兵の脇腹に重い音を立てて命中した。

帝金機械兵は脇腹のパーツをひしゃげさせながら、数メートル飛ばされ、バランスを崩して倒れた。




「あ、アンタ達は…!」




投げた棍を魔力を使い手元へと引き寄せ、気だるげにグルングルンと回すのは、レイズヴェルであった。

その隣にはアッシャーもおり、帝金機械兵を見つけた2人は一緒にここへと来たらしい。

人々と帝金機械兵の間に割って入った2人は、片方が大きな棍型のマイクを持ったパンクファッションのレイズヴェル、もう片方が二対の刀を差し、執事服に身を包んだ男装のアッシャーと、正反対の出で立ちであった。




「でっけーのはウチらに任せるっす。人間(ヒューマン)はノーマルサイズのを相手にしとくっすよ」




「すまんっ!任せた!!」




人々もセンヤと城護達が、自身達とは一線を駕した強さである事を理解していた為、2人にこの場を任せて、通常の機械兵や魔人達の方へと向かった。

残されたのはレイズヴェルとアッシャー、そして向かい合うのは、起き上がった帝金機械兵と多数の機械兵。




「フ、フンッ、2人でこの数を相手にする気か!?舐められた物だな!!」




「チッチッチッ、数さえ多けりゃ良いってモンじゃ無いっすよ。問題は質っす」




内心、少し焦りつつも、この数の差は覆らないと高を括るアンビシャス兵へと、レイズヴェルが人差し指を振る。




「よく喋るお前、5点。でけーの、10点、そしてウチら……1人で100000000点。こんくらいか?アッシャー」




「点数で決める事自体がナンセンスです。私達はデュラハルド家に仕える城護。それは剣であり、力の一端。それを数字で表す事は無礼だと思いませんか?レイズヴェル」




アッシャーはレイズヴェルの方を向くことも無く、ピシャリと言う。

彼女はそんなアッシャーに、目を細めながらピアスの付いた舌を出すと、棍を地面へと叩き付け、マイクを口元へと寄せた。




「『魔叫絶音(ブレイクシャウト)』我が魂は声に在り、我が命は王に有り……」




レイズヴェルの棍に付いたガーゴイルの肖像の眼が赤く輝き、ゆっくりと翼を広げる。

彼女が戦闘態勢へと入ったのに続いて、アッシャーも鞘から一本だけ抜刀する。




「サクサク行きましょうか。城護が2人もいて手間取るなど、恥も恥ですよ」




「先程から聞いていれば!!アンビシャスを舐めるなッ!!行けェッ!!!奴らを跡形もなく消し飛ばせッ!!!!」




<殲め>




……ガンッ!!




「……ハァァ〜〜ッ!?」




アンビシャス兵の命令を受けた機械兵達は、前方へ進み出したが、数歩も歩かない内に見えない壁へと頭を打ち付けた。

予想外の事に、アンビシャス兵も頓狂な声を上げてしまう。




「『魔叫絶音(ブレイクシャウト)』をマジに使った時、ウチから半径50m以内に『絶叫の招待状(ウェルカム・マイライブ)』……独立した空間を自由に作り出す事が出来る。並大抵の奴は出る事も、傷付ける事も出来ねぇぜ……?並大抵の奴、はな」




レイズヴェルが舌を出し、人差し指を真っ直ぐとアンビシャス兵へと向ける。

並んでいたアッシャーは目にも止まらぬ踏込みで刀を横凪に振るい、刀身に纏わせた魔力を斬撃として飛ばした。




「ハッ!真っ直ぐな斬撃など、機械兵は容易く避けられるわ!第一、外から干渉でき……」




「あぁそれと―――」




「そん中『振動』してるんすよ。物理的に(ハート)を感じて欲しくて。盛り上がるっしょ」




「し、振動……?」




その斬撃は『絶叫の招待状(ウェルカム・マイライブ)』を貫通し、中へと入った途端、振動によって細かく分断され、7つの細かな斬撃へと変化した。

3つは回避したのだが、4つは魔力を検知した機械兵によって、銃弾などで弾かれた。

しかし、その『弾く』という行動が正に悪手であった。

軌道を変えられた斬撃は、円形である『絶叫の招待状(ウェルカム・マイライブ)』の天井に当たると

、不規則な軌道で再び中心へと向かってきた。




「か、躱せッ!!!」




斬撃に触れた機械兵の胴体がスッパリと切り落とされたのを見たアンビシャス兵は、焦りながらも機械兵へと指示を出す。

魔力の流れを正確に検知→反応と出来る機械兵ならまだしも、生身のアンビシャス兵は検知器→視認→思考→反応の順で動くので、どうしても反応が遅れる。




「斬撃の硬さは?」




「最硬です。次に持続を優先しました……しかし、分断された斬撃は貴方の空間を破壊する事が出来ないのですね」




「流石は堅メガ……ン゛ンッ。なんでもないっす。まぁ突き破った時の一点集中の初撃程じゃなければなんとか。てか硬さと持続を重視して威力を優先しない状態でウチのアレ破るのもエグいなー」




「分断されても破壊出来るよう、もっと鍛錬を積まねばなりませんね。そもそも、一発で全てを破壊出来るくらいにならなくては」




絶叫の招待状(ウェルカム・マイライブ)』内は阿鼻叫喚の地獄となっているのに対して、外の元凶達はそれに目もくれず、自身の実力についての話をしていた。




斬撃同士がぶつかり合い、更に反射速度を上げていくが、その途中でアンビシャス兵は頭と胴体と足を切り落とされ、呆気なく死亡した。

やがて、機械兵たちも己の反応速度よりも斬撃の反射速度が勝り、次々と切断されていった。




「よォーしッ!!!魂の咆哮(レッツシャウト)!!」




大きく息を吸ったレイズヴェルは口元へとマイクを寄せ、どんなに叫んでも壊れることの無い喉を存分に使い、叫んだ。




「――――――――――――――――ッッッッ!!!!!」





―――ォォォォォンッッッッッッッッッ!!!!




明らかにやり過ぎだが『絶叫の招待状(ウェルカム・マイライブ)』内へとレイズヴェル渾身のシャウトが響き渡る。

声という名の衝撃波を食らった『絶叫の招待状(ウェルカム・マイライブ)』は内部から爆散し、後には残骸一つ残っていなかった。







「他の奴を巻き込まないで存分に叫ぶにはこれしかないんすよね。『叫びゲージ(シャウゲ)』の発散は大事っす。まぁ片付けも兼ねてるっつー事で」




「……次行きますよ」




楽観的なレイズヴェルの襟を掴み、彼女をズルズルと引きずっていくアッシャーはため息をつきながら別の帝金機械兵の元へと向かった。

魔人達は城護が何たるかをガイネスの一件で知っていた為に、恐れおののき一目散にその場を離れていた。

一部始終を全て見ていたのは、その近辺で他の機械兵と戦っていた人々であった。




「なんつー人達だ……」




「ありゃ明らかに人間じゃないが魔人にも見えん。王にも本物のような翼が生えてたが……」




「まぁ俺達と敵対してる訳でもない。寧ろ味方だ。とにかく今はアンビシャスと魔人を倒すぞ。後で本人に聞けばいい」




この後、彼らの中からセンヤの統治する国の正規兵に志願する者が何名か現れるのだが、現段階では、まさか直属の上司が彼女達になるとは夢にも思わなかったであろう。











なんか国家資格を取らせられるみたいです。

会社からテキストを渡されて読んでいるのですが、これまで携わっていた仕事の分野とはほぼ畑違いです。

読んでもサッパリ分かりません。

来月はコロナの関係もあって、研修所にほぼ軟禁されるみたいです。

研修所に隕石降ってこないかな(こなみかん)


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