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第82話 狂笑煌めく

何故か分かりませんが家にポセイドン学園の1巻があります。買った覚えないのに……




「えいっ!やっ!とぉっ!」




可愛らしい声とは裏腹に、宝石で出来た巨大な腕、そしてその先端に付いた鋭利な爪を振るい、ウェンゲージは機械兵を次々と串刺しにしていく。

遠距離からの銃弾すらも、彼女の周囲に浮かんだ極彩色で六角形の形をした宝石が自動で動き、攻撃を防いでしまう。




「なんだあの腕は……!?こちら甲の参、聞こえるか!甲の玖!帝金機械兵を一機こちらへ回してくれ!並の機械兵では歯が立たん!!」




『こちら甲の玖。了解した。貴官も十分注意されたし』




機械兵の統制役である生身のアンビシャス兵。

彼の役割は敵の力を判断し、増援や動きの指示等を行う。

余裕があれば他の部隊へこちらの戦力を送る等、柔軟な動きが可能である。

彼は本国へとデータを送る為、側頭部に付いた望遠レンズ兼データ収集用の双眼鏡を目元へと動かし、ウェンゲージへと向ける。




「弱点らしい弱点など……本国の解析部に発見してもらうしか………ん?」




遠距離からウェンゲージを観察していると、対象である彼女と目が合ってしまった。

その瞬間、彼は背筋が凍り付くような恐怖を本能的に感じた。




「あっ!………うっ………うううう……待って!待って!マリッジちゃん!!今は、今は………!」




アンビシャス兵と目が合った瞬間、ウェンゲージは突然うずくまり、両方の目がそれぞれ別の方へとギョロギョロ動き始めた。




「まずい……まずいぞ!!帝金機械兵はまだなのか!?来るッ!来るぞ!!こちらへと来るッ!!」




アンビシャス兵は慌てて武装を高機動モードに切り替える。

慌てていた彼は、ウェンゲージがこちらを見つめている事に気が付く余裕など無かった。




ギロッ…………




「こんにちわ、私、そして、そして、さようなら、貴方」




本人は気付いていないが、双眼鏡の機能はONになっている為に、リアルタイムでそれは解析部へと送られていた。

数秒後、彼の双眼鏡は破壊されるのだが、その最期の数秒間に映っていたのは、両の目が別々の方向を向きながら、口元は裂けんばかりの笑みを浮かべたウェンゲージが異常な速度で駆け寄り、煌めく巨大な爪を突き出さんとしている瞬間だった。







ズンッ




アンビシャス兵の武装を易々と貫いた宝石の爪は、武装の先にある腹へ到達し、背中、そして背面の武装を突き抜け、真っ赤に染った鋭い先端が現れた。




「あッ……ガッ……ぁッ……!?」




「外は広いね。ん、狭いのかな。どうでも良いかな?今日は天気が良いから少し減らそっか。ぁぁ……帰りたいなぁ。でも広いから楽しい?」




突き刺したアンビシャス兵を無造作に投げ捨て、彼女は前後の流れが無茶苦茶な独り言をブツブツと喋る。

機械兵を統制する小隊の指揮官が攻撃を受けた信号を受け取り、周囲の機械兵が彼女へと攻撃を仕掛けるが、周囲に浮かんだ極彩色の宝石が自動で動き、全ての攻撃から彼女を守る。




「ねぇ、醜い機械は死ぬの?死ねば綺麗になるの?」




アンビシャスの機械兵デザイン担当者が聞けばペンをブン投げてきそうな事をさらりと口にし、彼女は素早く移動する高機動型機械兵を掴み、アルミ缶のようにぐしゃりと潰してしまった。

細く槍のようになった高機動型機械兵を、他の機械兵の脳天へと突き刺し、引き抜いては別の脳天へと突き刺す。

飽きたのか彼女はそれを投げ捨て、既に倒された機械兵を無造作に破壊し始めた。




<目標を補足。そして甲の参指揮官の死亡を確認。自動運転へと切り替わります。>




先程、指揮官が呼んでいた帝金機械兵が到着した。

指示を仰ぐ指揮官がいなくなった為に、自動運転へと切り替わった帝金機械兵は、ウェンゲージの排除を第一にしたようだった。




「醜い、汚い、下品、不細工、最低………死ね、死ねっ、死ねッ!!!!」




<対象の殲滅を開始。全武装安全装置解除。フルバースト。>




突如として怒りを露にしたウェンゲージへと、帝金機械兵は全武装のありとあらゆる火器を用い、攻撃を開始した。




ドドドドドドドドドッッッッッ!!!!!!!




<全武装・リロード開始。>




周囲の機械兵や冒険者、魔人が多数巻き込まれた火力は、周囲の地形が変わる程の威力であった。

全武装を使用する相手だと認識した帝金機械兵は弾切れを起こし、リロードを開始した。

しかし、爆煙の中から2つのターコイズ色の瞳が煌めき、狂笑を浮かべた無傷のウェンゲージが砂煙を掻き飛ばしながら、帝金機械兵へと真っ直ぐに突っ込み、搭載された砲門を全て引き裂き破壊してしまった。




「誰相手にしてんのか分かってんのォ??全部全部全部ぜぇーーーんぶッブッ刺してェッッ!!『憂鬱なる花嫁(マリッジ・ブルー)』!!!!」




ウェンゲージは後ろへと飛び下がると、城護、そして彼女のみが使える護法の1つを唱えた。

すると途端に帝金機械兵を囲むようにして、ターコイズブルーの鋭利な宝石が大量に発生し、それは中心の帝金機械兵へと惹かれるように、全てが機体を抉るように突き刺さった。

魔力炉に巨大な物理的ダメージ、そして魔力的ダメージを受けた帝金機械兵は爆散してしまった。




「機械、機械、機械……対象の殲滅を開始」




少し前に機械兵の発していた音声を真似すると、彼女は笑いながら機械兵が大量に存在する戦場へと駆けて行った。




彼女はウェンゲージではなく、マリッジという名の城護。

彼女の本体は、城の地下深くに存在しており、今も石像状態となっており、その傍らには全ての城護を統べる大城護が、全ての城護へと今も魔力を与えている。

マリッジはウェンゲージの双子の妹であり、美しき宝玉にその心を奪われし者である。










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