第80話 超電磁大剣『雷響』
最近良くない事がかなり続いています。
本格的にお祓い行った方が良いのでしょうか。
それぞれ向かい合った3つの勢力。
太陽が登り始める中、不気味な沈黙が場を支配した。
「────ゥウウウウウゥゥラァァッッッ!!!!」
ノワルの地鳴りにも似た声が、戦いの始まりの合図となった。
各勢力は敵対する勢力へと一斉に攻撃を仕掛け、周囲は一気に戦闘を開始した。
ノワルはまず、武器を手にしていないカルマから潰さんと、絢爛大剣を彼の頭に振り下ろす。
しかしその瞬間、カルマは腰からかなり大きな柄を持つ剣を高速で振り抜き、頭上で絢爛大剣を受け止めた。
「鳴り響け──────雷響ッ!!」
フォォォォォォ………ンッ…………!
「────ムッ!?」
…………ボゴォッ!!!
絢爛大剣はカルマの振り上げた剣の刀身に触れた途端、その豪奢な宝石で形作られた刀身に大きなヒビが入り、なんと真っ二つに折れてしまった。
「貴様………その剣はなんだ!!!」
「これがアンビシャス技術部の最高傑作、超電磁大剣『雷響』だ」
3mのカルマが振るう紫色の巨大な剣。
刀身からは超音波のような音が鳴り響き、時折バチバチと紫電が走る。
「雷響の刀身は1秒間に300万回超振動する。触れるだけであらゆる物を破壊し、断ち切る事が出来る」
雷響は魔力を使用しての超振動を行う。
魔力が振動となる時には、既に魔力は消費された後で大気へと還っており、ノワルに魔力を吸われる事も無く、物理的な衝撃でノワルの装備を破壊する事が可能であった。
「我々は剣だ。常に新しく、強き者が世界を切り開き、導いていく。進化を止めた古き者共は取り残され、やがて朽ちて尽きるのみ」
「ヌヌヌンッ!!!」
ノワルは破壊された絢爛大剣を魔力ですぐさま再生させ、ブンブンと煽るように振り回す。
「ヌハハハハハ!!!復!!!活!!!」
「フン、何度でも破壊してやろう。貴様もだ、吸血鬼ッッ!!!」
ギィンッッッッ!!!
カルマは標的をノワルからセンヤへと変え、その巨体からは想像も出来ないスピードでの突きを、センヤの腹目掛け繰り出す。
しかし黙って受ける訳もなく、雷響での突きは終告げる紅薔薇の刀身の腹で受け止めた。
「馬鹿め!!その様なナマクラ、すぐに破壊してくれるわ!!!鳴り響けッ!!」
キュィィィィィィイン………────!!!
雷響の刀身が超振動し、受け止めている終告げる紅薔薇を真っ二つに破壊しようとする。
しかし、終告げる紅薔薇は一向に破壊される気配など無く、ぶつかり合う刀身からは火花と煙が立ち上がり始める。
「貴様……その大剣、何で出来ている…!?」
「さぁな。………だが、ヴァスターリアはこう言ってるぜ………『及ばぬ。お前の剣では軽すぎる』ってな…!」
センヤは抑え込んでいる終告げる紅薔薇ごと、腕力で雷響を跳ね除ける。
後ろへと仰け反ったカルマは追撃に備え、雷響を咄嗟に構えるが、その上から圧倒的な力による終告げる紅薔薇の薙ぎ払いにより、防御の上から衝撃が伝わり、更に激しく後ろへと弾き飛ばされた。
「お留守ゥッ!!!」
センヤの背後へと回り込んでいたノワルの絢爛大剣が迫る。
しかしセンヤは背中の翼でコートを捲りあげながら、ノワルの剣を受け止めた。
ノワルが次の攻撃を仕掛けるより速く背後へ振り向きながら終告げる紅薔薇を横凪、斬り上げ、突きの3連撃をノワルの腹へと叩き込む。
横凪でヒビを入れ、切り上げで完全に破壊し、突きで本体へとダメージを与える。
ノワルが血を流したのは今回が初であり、血を流しながら突きの衝撃で後ろへと吹っ飛んで行った。
(ギンベッカの時より………俺は更に強くなっている)
原初鉄鋼を破壊するだけの力、剣の正確性、魔力の吸収量と貯蔵量も数倍は上昇している。
そして先程感じ取ったヴァスターリアの意識。
同調率の上昇が影響しているのだろうか。
「やはりその翼は………!!デュラハルド!!貴様は歴史が生み出した幻想ではなかったか……!!」
目の前に立ち、自身と魔将の2人を相手取りながらも圧倒するこの男こそが、生ける伝説である事に興奮を禁じ得ないカルマ。
昂る心に背中の魔力炉が反応し、ヴォンヴォンと激しい音を響かせる。
「さぁ!!見せてみろ!!いや、見せてくれ!!貴様が積み上げしデュラハルドの歴史と!!我らがアンビシャスの人々の歴史!!どちらが潰えるかッッ!!」
地面を蹴り、カルマは雷響の振動へと使われる魔力を電気エネルギーへと変え、バチバチと音を立てる紫電を纏わせ、センヤへと再び攻撃を仕掛ける。
「『雷響一式、共震鳴雷』ッ!!!
ギィンッッッ!!!ジッ………ジジジッ……!!
「──ッ!!」
ぶつかりあった雷響と終告げる紅薔薇。
その直後、雷響の刀身から紫電が走り、触れている終告げる紅薔薇の刀身を通り、それはやがて柄を握っているセンヤ本人へと流れ始めた。
「クッ………!!」
一体どれだけの電圧なのだろうか。
一時的に身体のあちこちが麻痺してしまう程の電流がセンヤの全身へと回る。
「貴様のその剣、魔力そのものを電気として変換した場合、吸収されるのだろう?ならば、魔力をエネルギーとして本来の電気を発生させた場合は通る………降伏しろ。それを受け続ければ、先に貴様の心の臓が止まるぞ?」
「ッ……!!オオオォォォォッッッ!!!!」
「………ッ!?」
ッ………ザザザザッ………!!!
カルマは身の危険を感じ、雷響での接触を止めて大きく後ろへと下がった。
今、センヤは何か攻撃を与える為の行動をした訳ではなく、痺れる手足を無理やり動かす為に吼えただけであった。
だが、カルマは見た。
咆哮と同時に一瞬、センヤの身体から巨大な『鬼』の幻影が浮かび上がり、己を喰わんと襲いかかって来たのだ。
今、抱いたのは本能的な『恐怖』であった。
生き物は危機的な状況に置かれた時、闘争か、逃走のどちらかを選択する。
窮鼠猫を噛む────ネコに追い詰められたネズミが、逃げの姿勢から一転、攻勢へと変わる。
しかし、それはネコとネズミの場合だ。
『絶対に勝てない』と本能が判断した場合、身体は自然と『逃走』を選ぶ。
カルマは迷うこと無く『逃走』を選択した。
(……俺ともあろうものが、恐怖を感じた……?今、俺は何を見た……?鬼か?それとも『死』そのものか?………いや、魔力測定値の可視化機能が誤作動したのだろう)
カルマは視界画面から身体機能の一覧を選び、脳へと興奮作用のある物質を一定量投薬した。
「心臓なら1回止まってる………!次は、やると決めた事を成し遂げるまで……絶対に止まらねぇ」
「ヌハハハハハ!!!血が出たぞォ!!!次はもう喰らわん!!腹回りの防御増し増しだッ!!!」
今度はノワルが仕掛けてきた。
戦いはセンヤ VS ノワル&カルマのようになっており、それでも尚、センヤが2人を圧倒していた。
しかし、彼らの実力はまだ、このようなものでは無かった。




