第66話 迫る豪胆無比の足音
本当に申し訳ございません……
遅れに遅れています……
思い付いたアイデアをメモだけして本文を書ける時間が無く、アイデアだけが山のように貯まっていきます……
「ゼェアッ!!」
再建中の国跡へと、侵入を試みる機械兵を纏めて切り倒す。
かれこれ数時間はまともに休んでいないが、吸血鬼の体力はまだまだ持つ。
敵は体力という概念が存在しない機械兵の為、切っても魔力しか吸収する事が出来ない。
(サナ達は無事だろうか……)
しばらく姿を見ていないサナやキリナ、子供達の事を考えていると、近くから機械兵を破壊する音が近付いてきた。
「メロ!」
メロが逆立ちをしながら黄泉脚を回転させ、機械兵を弾き飛ばしながら器用にこちらへと向かって来ている。
「ーっと、アカツキ君、無事!?」
「あぁ、俺は大丈夫だ。やはり自由無き輪廻を使ってきたみたいだな……無事で良かった」
「間一髪だったけどあの子が助けに来てくれて……男の子だったのは驚いたけど」
あの子、とはセンヤが助けた彼の事であろう。
先程、センヤの元に来てお礼と、アディッカという自身の名前を告げた。
センヤも少女だと思っていたのだが、どうやら少年のようだった。
話を聞いた大工団と精霊たちが魔法を使い、固まっていた身体の筋肉等をほぐし万全の状態に戻してくれたという。
「心配だったからな、誰かそっちへ回そうと思っていた時に丁度来てくれたんだ。…俺も驚いたが何やら訳アリのよう……だッ!」
2人は話しながらも攻撃の手を緩めない。
メロは脚だが。
「他の入口は大工団や精霊たちが抑えてくれている。この量、恐らく何処かを拠点に既に量産体制を整えている筈だ。中に入られれば物量で一気に乗っ取られる」
「なんか凄い魔法で一気に倒せないの?」
「他の冒険者や傭兵たちも戦ってくれている。あまり無茶は出来ない」
確かにやろうと思えばここの地形ごと丸ごと変えるレベルの魔法は使える。
しかし周囲は機械兵、冒険者、魔物、カテドラルが作り出した魔骨兵が入り乱れていた。
流石に味方ごと魔法で木っ端微塵に吹き飛ばすのは、選択肢に入る筈も無かった。
終告げる紅薔薇の刃と同じ紅い水晶を発生させ、魔力、体力を吸い尽くし戦闘不能に追いやる事も出来るが、それだと剣を中心にしての限定空間内となるので、大規模な範囲では発生させられない。
「「──ッ!」」
センヤとメロは、お互いの背後に迫っていた機械兵を同時に撃破する。
「戦場だから当たり前だが……呑気に立ち話もさせてはくれないな……」
「まさか、メロが不思議な力を手に入れてロボットを破壊するなんて夢にも思わなかったよ」
「俺もだが………だが、決して嫌だとは思わない。こっちの世界で俺は俺なりの答えを見出す事が出来た。俺は俺の願い、誓いを全うする。爺さんもきっと、自分で決めた事はしっかりとやり通せと言ってくれる筈だ」
「ふふ、メロもかな。過去より今、そして未来。昨日より今日、そして明日。今が良ければそれで良いの、それで明日がもっと良くなるなら最高でしょ?」
メロもあちらの世界で生前、様々な経験をしてきたのだろう。
その言葉、表情には不思議な重さが感じられた。
『アー……アー……テスト、テストっす』
センヤの脳内にレイズヴェルからの連絡が入った。
すると、他のメンバーからも連絡の入りそうな感覚が頭の中に伝わり始めた。
「回線?が混み合ってきたな……メロ、すまない。少し戦闘を頼めるか?1人くらいなら戦ってでも同時に繋げるが、複数人となると途切れる可能性がある」
「こっちはアカツキ君にビビって人間の敵は居ないっぽいから良いけど……なんか、大変だね」
「俺の頭が脳内会議の会場みたいな物だからな……俺が安定しないと全員に話が伝わらないんだ。すまない、頼んだ」
詠唱どころか名前まで省いた回復魔法をメロに掛け、しばし戦闘をメロに任せる。
『すまない、待たせた。全員無事か?話は1人ずつ頼む。流石に同時には聞き取れない。先ずはレイズヴェルから』
『こちらレイズヴェルっす。領土は解放したっすけどー、なんか人間に擬態してる機械兵が居た街が一つだけあったっすねー』
『擬態か……城護で他に遭遇した者は?』
他の城護にも聞いたが、どうやら誰もそのような機械兵は見掛けていない様だった。
『もしかしたらそこを拠点にしていた可能性があるな。レイズヴェル、指揮官が居るかもしれない。その辺りを調べてくれ』
『うぃすー仰せの通りにー』
『こっちも、だいじょーぶ。からーん。……でもでも、まもの、ふえてる、かも』
『魔物が増えている…?』
この大陸の魔物はほぼ掃討した筈だ。
しかし、カテドラルは魔物が増えているとの報告をした。
大陸中に魔骨兵を出現させたカテドラルが間違いを報告する筈が無い。
『あっ、ウェンゲージです。こちらも解放は完了しました。ブーケちゃんからは連絡……来てないですか?』
『ブーケだけ音沙汰無しだ。あのブーケの事だから忘れている可能性もあるが……後で個別に連絡をしてみる』
『アッシャーです。こちらも解放が完了しました。しかし、敵の動きがやや不自然というか……能力が抑えられているように感じました』
『能力が抑えられているように感じた?……意図が読めないな……』
『……そういえば、お母さん、少し前に海岸の方で2つの変な波の動きを感じたわ。もしかしたら……』
『変な動き、か…………──ッ!!』
様々な情報を纏める時間もなく、センヤの肌にビリビリと大きな魔力反応が感じられた。
「………マズい…!!全員道を開けろ!!デカイのが来るぞ!!」
センヤの振り向いた方向、そちらから重低音を響かせ、巨大な魔力反応の持ち主がやって来る。
ドッドッドッドッドッドッドッドッ………
ドッドッドッドッドッドッドッドッ………!!
ドッドッドッドッドッドッドッドッ!!!
「ウオオオオオオオオ!!!!!正義のォォ、ノワーーーーーールッッ!!!ジャァァァスティィィィスッッ!!!」
新たなる襲撃は、耳をつんざく様な雄叫びとと共に、不幸にも前方に立つ形となった機械兵や人間を吹き飛ばしながら、センヤの元へと一直線に向かって来ていた。




