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第65話 人を見た目で判断してはいけません

1週間……早くないですか……?





「ハァッ!!」




斧へと変化した黄泉脚が、機械兵を次々と粉砕していく。

国跡への入口は精霊、大工団が防衛している為、メロは少し離れた場所を縦横無尽に駆け回り、機械兵の群れを遊撃していた。




「やるな、あの姉ちゃん……ありゃ闘法か?オラァッ!」




「にしては違和感があるな…ッセイッ!」




屈強な男達は、メロのしなやかな黄泉脚を、そしてパーカーの下、かなり際どい短パンデニムの間から見える下着を見逃さず、機械兵と戦っていた。







世界には『闘法』と呼ばれる技術がある。

魔法とは異なり、魔力を火や水へと変換、無から有を発生させる物ではなく、既に物体として存在するものに、魔力を使い補助的な働きをさせる技術である。




補助、この言葉のみではあまり強力には感じないが、一時的に自身の武器へ様々な属性を付与したり、瞬間的に身体を強化して技の威力、範囲、速度等を倍々で飛躍的に上昇させる事が出来る。




『自身の力を2倍にする』という、魔法では四章レベルの闘法が存在する。

これは元となる使用者が強ければ強い程、メリットが大きく、八章の魔法よりも少ない消費魔力で、八章レベルの威力の攻撃を連発する事も可能になる。




勿論、消費魔力を効率化し、四章レベルの消費魔力で八章の魔法を使う者も存在するが、大体は代々高名な魔法使いの家系、エルフ等の魔力コントロールを得意とする種族ばかりである。




誰が言ったか『筋肉は正義』。

並の一般人は魔法より闘法を極めた方が良かったりもする。

流石に大規模範囲攻撃等は、魔法に軍配が上がるが。




センヤが吸血鬼の王として真に目覚めるまで、魔力がほぼ存在しなかったデュラハルド大陸に転生したメロは、『闘法』を話には聞いていたが、実際に使った事は無かった。







「カンナ……カンナ……どこ……?」




<攻撃対象です。>




「邪魔ッ!!」




立ち塞がる機械兵を黄泉脚で蹴り壊し、カンナを探す。

しかし視界に広がるのは傭兵、冒険者、機械兵、魔骨兵……転生者と思われる人間の姿はどこにも見えなかった。




「きゃっ!?」




周囲を見回しながら移動していたメロは、丁度胴の辺りに貼られた細いワイヤーに気が付かなかった。

ワイヤーはすぐに回転を始め、メロの体を絡めとってしまった。




「その奇妙な足、やはり貴様……転生者だな?ハハハ、良い土産が出来たわ!」




ワイヤーの元があるであろう位置から、武装したアンビシャス兵が現れた。

その手には、自由無き輪廻(リンカーズ・マリオネット)が握られており、メロはガクガクと震え出した。




「や……やだ………止め………アカツキくん……た、助け………」




「なぁに、すぐにアカツキとやらの事も考えられなくなる。ヌフフ………良い顔だ。少し、可愛がってやろうかァ……」







「……ゲスめ!」




ダァンッ!!




ダダダダダァンッ!!!




「ウゲェッ!?」




アンビシャス兵が手にしていた自由無き輪廻(リンカーズ・マリオネット)は、1発の銃弾によって撃ち落とされた。

更に残りの銃弾がアンビシャス兵の重武装の結合部を綺麗に破壊し、下着を身に付けた下半身を露出させるという辱めもセットで与えられていた。




「………え……?」




メロが後ろを振り向くと、先日、千夜によって息を吹き返した少女が、2丁の銃を構えて立っていた。




「話はセンヤ殿から聞いてます!後は僕が引き継ぎますのでメロ殿は撤退を!」




「『僕』……?お、男の子?」




メロと少女のような少年の間に、微妙な沈黙が流れる。




「そ、その話は後で!ささ、早く!」




美少年は片方の銃をしまうと、メロに手を差し伸べ、メロを立たせた。

そしてグイグイと押すように、センヤのいる方向へと無理やり向かわせた。




「やはりこの格好は僕がちょっとアレな感じに見えるじゃないか………しかし、むむむ…センヤ殿からかなりの魔力を頂いた故、かつて無い程に絶好調。1度は死んだこの身体………大恩に報いなければ!」




服装と見た目は何やら訳アリの可憐なる少年は、再び銃を抜くと、戦場に存在するアンビシャス兵を、人間では不可能な凄まじい軌道から次々と攻撃し、武装を強制的に解除させた。




「これはセンヤ殿、つまり吸血鬼殿のお手伝いという事で、決して人間の手伝いではないから長老殿も許してくれる筈………多分大丈夫!」




独り言で納得し、1人でウンウンと頷く少年。

彼の種族こそが、歴史に残る人間との種族間戦争を起こした種族であった。







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