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第63話 不運なる冷血機将

投稿頻度が遅れて非常に申し訳ないです。

新型コロナの影響で仕事が増え、会社に拘束される時間が増えています……

なるべく、合間を縫って書き進めて行きたいとは思っていますので、よろしくお願いします。




〜デュラハルド大陸・港町 ウオスタス〜




「カルマ様!ご報告致します!次々と制圧された街や村が領主、そして冒険者や傭兵たちによって解放されています!」




カルマの部下の1人が息を切らしながら、勢い良く仮設テント内に入ってきた。

しかしその報告を聞いてもカルマは、デュラハルド大陸の地図を眺めるだけで特に大きな反応は示さなかった。




「……想定内だ。第一陣はフェイク。第二陣が『本物』だ」




「……そ、それは…?一体……?」




部下が首を傾げる。

それもそうだ、この事を知っているのはカルマ自身と、マキナリアを含め母国にいる数名のみである。




「相手の力量、戦力を見誤らせる事、俺は今回、この手を使う事にした」




今まで大陸内に解き放った機械兵は、滅銀機械兵を含めて、故意に性能を半分以下に落としている。

そして何より、未だ転生者は誰一人として派遣していない。




敵を欺くにはまず味方から。

味方は戦力にはなるが、弱点にもなりえる。

街一つ占拠するのに人間であるアンビシャス兵を派遣しているが、彼らには一切この事を伝えていない。

本来ならば人間の役割は機械兵でもなんとでもなる。

なので生身の人間など必要無いが、彼らを街に置いておく事によって『指揮官を置いてしっかりと制圧をしている』と認識させる為である。




その制圧を破った時にこそ、一種の達成感が芽生え、大きな油断を招く。

『勝った』と思っている時こそ一番『負け』やすいのである。

第一陣がやられた所で、余韻に浸る彼らへ向け、本来の性能に戻した機械兵を大量に送る。




カルマはこの港町を制圧したと同時に、すぐさま機械兵の量産体制を敷き始めた。

「幾らでも資源を使って構わない」とマキナリアからは承諾を得ているので、カルマは遠慮なく機械兵を消費する事にした。

どんな状況においても、量産体制を敷く事の出来る事がアンビシャスの強みである。




しかし、カルマは知らなかった。

この大陸には、自身達と、抵抗する勢力の他、魔に属する者達が大量に乗り込んで来ている事に。







〜デュラハルド大陸・南西の岩石海岸〜







岩石海岸地帯は、面積自体は広いのだが波が荒く、人が余り寄り付かない場所であった。

話を聞いた魔王はここに目を付け、大規模な魔力を使い、アスワードから声を掛けられた全員を転移させた。




黒い暗黒空間が複数出現し、転移してきた魔人や魔物たちが、その中からゾロゾロと現れ始めた。

暗黒空間の1つから、蜥蜴と人間のハーフのような魔人たちが現れた。







「『リザードマン族』魔人筆頭・レザールここに。むぅ……魔将殿の姿が見えませんな」




他の個体に比べ、レザールは身体が二回りも大きく、巨大な太刀を所持していた。




「まぁ予定よりかなり早く着いたしな。それに、魔将の方々はちょっとアレな人多いし……」




同じく、暗黒空間から現れた筋骨隆々の魔人が、レザールの元へとやって来た。




「お互い、苦労が絶えませんな……『マッスルゴブリン族』魔人筆頭・ムスコロ殿」




「「ハァ〜……」」




レザールとムスコロはお互いに深いため息をついた。

魔人筆頭ともなると一族を纏める仕事に、魔将からの無茶な願いや要望。

魔将は魔王の側近とあってか、種族間を越えての命令が可能であり、彼らに振り回される事も珍しくなかった。

昔は憧れていたが、実際は下と上から板挟みになり、苦労が絶えないという中々に辛い役職であった。




魔将になれたらどれだけ楽か、とは、魔人筆頭たちとの食事会で良く上がる話題であった。




食事会と聞いて、まるで人間の様だと思うだろう。

実際、姿形が人間に近い魔人達は、『亜人』として人間社会に打ち解けた種族も、少数だが存在する。

知能も人間と変わらない魔人は、人間と同じく高度な社会を築き、人間と何ら変わらない生活をしている。

しかし打ち解けた種族は当初、人々には簡単には受け入れられず、差別がきっかけの種族間戦争が起こった事もある。




人間が魔物を殺す様に、魔物、そして魔人も人間を殺す。

生まれつき、それが遺伝子レベルで刻み込まれている種族も多々存在した。

例えば……




「しかし、これを機にこの大陸を制圧してしまえば我々の領土は大きく広がる!やはりアスワード殿は話が分かるわ!ンガハハハハハ!!!」




前にシュヴァルツによって、四肢をもがれたオーク族の中でも強硬派に属する魔人筆頭・ガイネスの姿もあった。

今回適任だろうという事で、ガイネスはアスワードから声を掛けられた。




こうやって主義主張の違いで、1つの種族でも魔人筆頭が複数存在するという事も、決して珍しい話ではなかった。




「ほほほ、久し振りに我々も人を呑めると思うと、喉が疼きますなぁ」




『ラミア族』魔人筆頭・シュランゲ。

彼も遺伝子レベルで人を殺す……というか、人は捕食対象である為、決して人間と相入れる事は無かった。




「魔人だから」という漠然とした理由で魔王に付く種族もあれば、「人間を殺しこの世界を魔族の物にする」という種族、そして「捕食対象だから」という生き物の本能に従う種族。

彼らもそれぞれの理由で、この世界を生きていた。




呼び出されし4種族は、魔人筆頭同士で暫く会議を行い、これからの動きについて話し合う事にした。







────────────────────








<攻撃対象です。>




「声が小せぇ、『攻撃対象デェェェェェェスッッッ!!!!』」




<こう?げこうこ?こうこここここ>




ボォンッ!




機械兵は回路がショートして倒れてしまった。

恐らく『デェェスッ!』の意味は『death』のニュアンスをかなり含んでいる。




「機械だからっすけど『魂』が感じられねぇっすよ。もっとソウルフル!もっと熱く!激しくシャウト!」




マイク付きの棍をブンブンと振り回し、肩に担ぐ。




「さぁーて、こっちが最後っすね」




レイズヴェルの視線の先には、港町・ウオスタスの入口があった。

ここはカルマが滞在する街でもある。







……カルマにとって更なる大誤算(ロックンロール)が現れようとしていた。










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