第48話 弔いの夜
はよ国をつくれと自分自身にツッコミを入れたくなります。
「はぁッ!!」
終告げる紅薔薇を振るい、スケルトンを薙ぎ倒す。
しかしすぐに囲まれ、一向に死術者の魔人の元へ辿り着くことが出来ない。
(数が多い……!あの魔人、今まで何人の人間を手に掛けてきた…!?皆は無事だろうか……)
人間だった魔物たちを無視して、一気に死術者の魔人の元へ飛んで行く事も出来るが、それでは拠点が危うい。
全体火力で薙ぎ払おうにも、今度は国跡が吹っ飛ぶ。
「あ゛ぁ゛ぅ……」
(……ッ……すまない…)
足元に子供型の腐死人が現れるが、センヤは心を痛めながらも、終告げる紅薔薇で切り倒す。
「カカカカカ!!人間だった子供の腐死人を殺す気分はどうかね!?安心したまえ!お前もすぐにこちら側になる!」
「違ェ、俺がお前らを向こう側に渡してやるからよ…!覚悟しろ……!!」
死術者の魔人がセンヤを煽る。
センヤは怒りながらも、周囲の魔物を薙ぎ倒す手を緩めない。
その時、センヤは魔物の群れの中にある腐死人を見つける。
(………あれは!?)
冒険者の少女だろうか、心臓をから血が出ているが、それ以外の外傷が無い、そして何より、まだ身体が腐っていない。
(損壊が少ない……恐らく亡くなってからまだ数日も経っていない………行けるか…!!)
「『紅魔法』鎖の六章『鮮血の軛』!」
損壊の少ない少女の腐死人を捕縛し、群れから引き離す。
せめて、あの少女だけでも……!
(キリが無い……遺体の動力は魔力の筈だ……なら!)
「『紅魔法』破滅の終章『血染めの華園』!!」
紅色の巨大な宝石の群れが、地を割り砕きながら、スケルトン、腐死人を次々と刺し貫いていく。
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「黄泉送リ五連死脚!!」
メロが黄泉脚で腐死人、スケルトンの群れを蹴り倒していく。
『虚栄虚飾の王政』の分身も、手にした魔力の大剣で、魔物を次々と切り倒す。
「偽アカツキ君もやるじゃん!」
メロが分身の背中をバンバンと叩く。
分身は大剣を持っていない方の手で、「いや、それほどでも」というような感じで、後頭部を掻くジェスチャーをした。
「この分身普通のアカツキ君より正直だ……」
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「わっ!わっ!サナちゃん!姉ちゃん!」
拠点では、なんと地下が存在したらしく、そこからスケルトンが何体か湧き出てきた。
「やーっ!」
「らぁっ!」
2人はセンヤとメロが不在でも、臆する事無くスケルトンを倒した。
子供たちはその残骸を窓から投げ、外のスケルトンへと当てる。
その何本かが、幾つかのスケルトンの頭部へと命中して、頭蓋骨がポロリと落ちる。
そして動かなくなるのを確認した子供たちは、互いにハイタッチをした。
「大丈夫?怪我は無い?」
「センヤ様不在の時は、私たちが頑張りますよ!」
「待ってサナちゃん後ろ!!」
子供たちの1人、ヨヨがサナの後ろを見て叫ぶ。
「えっ…!?」
一体、遅れてやってきたスケルトンが、背後から忍び寄り、サナへとハンマーを振りかぶる……が
ガッ…!!
ミシッ……ミシッ……バギャッ!!
『虚栄虚飾の王政』の分身が、手にした魔力の大剣を使わず、「俺の家族に手を上げた事を後悔しろ」と言わんばかりに、片手で頭を掴み、握り潰してしまった。
「サナちゃん怪我無い!?」
「ひゃー……やっぱり分身でもセンヤ様に助けられちゃいました……」
サナはその場にへたりこんでしまった。
分身はすぐ様真っ暗な地下へと飛び込み、バキバキと骨を砕く音と共に、中にいた残党を殲滅し始めた。
スケルトン程なら一撃食らう前に殲滅が可能なくらいには、強い分身である。
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「な、何が、起こったんだ……!?」
スケルトンと腐死人は紅色の宝石に貫かれ、全員が指1本動かすことなく沈黙していた。
死術者が、彼らを操る為に繋げていた魔力の回線が、全て吸収・切断されたのだ。
「『紅魔法』地の三章『地海域』」
魔力を吸い尽くした宝石は砕け散り、キラキラと大気中に散った。
死術者の制御を失った彼らは地面に落ちたが、『地海域』によって地面が柔らかくなっており、激突は免れた。
「は、早く回線を…!!」
「今やってる!………あ」
「地獄で詫びろ」
ザンッ
焦った死術者の魔人たちが最期に見たのは、今まさに終告げる紅薔薇を振り下ろす瞬間のセンヤであった。




