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第44話 アンビシャスを統べる者

主人公が出てきませんね。不思議ですね。




アンビシャスは、機械大帝国を名乗るだけあり、国全体の建物の外観は、城を含めて無骨な物が多かった。

各所で赤褐色の歯車が周り、魔力が一度に大量に消費され、大気に還る場合に起こる現象『魔蒸気』が至る所から噴出していた。




そんなアンビシャスを統べる現女王の居城。

その内部は外観とは裏腹に、白を基調とした高貴な雰囲気を醸し出す、美しい造りである。

そして、一切機械等の動力が使われておらず、全てが手動であった。







アンビシャス研究部門に所属する、研究員の男が、玉座のある王の間に続く扉を叩く。




「マキナリア様、宜しいでしょうか」




「……入れ」




扉の向こうから、厳しそうな張りのある女性の声が返って来る。




「失礼します」




研究員の男はゆっくりと扉を開け、中へと入る。

入口からは真っ直ぐと赤い絨毯が、女王の玉座まで続いていた。

彼女が座する玉座の真後ろには、厚いガラス1枚を隔てて巨大な歯車が幾つも噛み合い、国内の全ての機械に魔力を分け与える為に、グルグルと滞りなく回転を続けている。




研究員の男はそのまま真っ直ぐと絨毯の上を歩き、やがて女王の眼前へと到着し、足を止めた。

玉座の両隣には、武装した機械兵の側近が待機し、有事の際、いつでも女王を守る事の出来るように静止していた。

そしてその中央の玉座に座る女性こそ、機械大帝国アンビシャスの現女王、マキナリア・アンビシャスその人である。




『女王』というものの、身なりはドレスなどという凡庸な物とは違い、この国を象徴する赤褐色の歯車たちと同じ、赤褐色の鎧を身に纏っていた。

歯車と違う点は、彼女の鎧は磨きあげられ特殊なコーティングを施してあり、表面が光沢を放っていた。




研究員の男は女王に跪き、頭を垂れると、手にしていた書類を広げ、その内容を読み上げ始めた。




「報告致します。死した『転生者』を解剖した結果、やはり全員が一様に、心臓の内部に『黒い水晶』の存在を確認できました」




(………やはり、か……どうしたものか)




研究員の話を聞き、マキナリアは深いため息を吐いた。

「機械大帝国を名乗る国が」と笑われるかも知れないが、アンビシャスには『神託』を受け取る巫女が存在していた。




バンデッタは、アラガ教の大司祭リラ・キールのみが神託を受け取ると言うが、アンビシャスには、初代国王アバルーダが、意気投合して世界のどこからか、不思議な力を持つブランシュ家をアンビシャスに連れてきた。

そのアンビシャス家が持つ不思議な力こそ『神託』を授かる力であった。




現在のアンビシャスの巫女、レシヴ・ブランシュが、数年前に受け取った神託の内容は




『黒き者共が、星の均衡を乱す。無から生まれし空虚は世界となり、集いし黒は永久の停滞をもたらす。生きとし生ける者は、始まらず、終わらない』




殆どの神託は抽象的な表現が多く、直接的に何かを指摘するような表現はしなかった。

当初はグァンダレラ大陸に現れた黒きモノ……魔王の事だと考えたが、神託では『黒き者共』と、複数形になっている。




マキナリアは、最近になって爆発的に数を増やした異能力者、『転生者』に目を付けた。

彼らを捕獲し、アンビシャスの為の兵士として扱い、死した者は国の研究部門に死体を送る。

そもそもどこから来たか分からない『転生者』を普通の『人間』として扱うなど馬鹿げている。

情などは無かった。




とにかく『転生者』が増える事により、世界の均衡が乱れた結果、魔王が現れたのでは無いか、という仮説を立てたマキナリアは、転生者を捕獲し、『兵器』として使い潰していた。




「……やはり、そうか。それで、その『黒い水晶』について、何か他に分かった事は?」




「はい、『黒い水晶』は一定間隔で謎の『波動』を発しており、その規則性はこの世界に存在するどれとも違う……似たようなデータすらも無く、完全に独立したカタチです」




研究員はパネル型の機械から映像を中に映し、『黒い水晶』と『波動』のデータをマキナリアに見せた。




「宜しい、ではその波動のみを感知する機装(マキナ)をすぐに作れ。『波動』の研究は後だ。自由無き輪廻(リンカーズ・マリオネット)は量より質を優先しろ」




「はっ!そのように!」




マキナリアの命令に研究員の男は敬礼をすると、再び絨毯の上を歩き、扉の前で一礼すると、王の間を出ていった。

王の間にはマキナリアと、2体の機械兵のみが残された。




「……私は、しっかりと応えられているのだろうか……母上」









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