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第43話 アンビシャスの始まり

こんばんは。夜です。

明るくなったらおはようですね。

10時過ぎからこんにちはでしょうか。

暗くなったらまたこんばんはですね。


その時の明るさで決まるのは結構あやふやですよね。

大丈夫です。シラフです。




機械大帝国 アンビシャス。




魔法と科学が交差する大帝国。

その国は人間よりも、人間を模した『機械兵』の数の方が多かった。

圧倒的な武力で周囲の国々を制圧、吸収。

それを繰り返し、この国は成長を遂げた。

しかしそれでも尚、人間の数が機械兵を上回る事が無いという事が、何よりの武力の証であった。




バンデッタを除く他の国も、月に一度、大量の金銭や特産物をアンビシャスに上納する事によって、侵略を免れているに過ぎなかった。

2ヶ月に1回、この世界で国を治める者達の会談が行われるが、まともに発言権があるのは、バンデッタのリラ、アンビシャスのマキナリアの2者だけである。

他の国々は2人の派閥のどちらかに付くのみで、双方にとってのイエスマンでしか無い状態であった。




リズアニアで最も栄えている国がバンデッタならば、アンビシャスは最も武力に特化した国である。




機械大帝国アンビシャスは、いつ生まれたか。







全ての始まりは、一人の機械技師であった。

名を、アバルーダ・アンビシャス。

彼は世界中を渡り歩いては、様々な機械のメンテナンスを行う傍ら、自身が作っていた機械人形も路肩で売っていた。

金は腐る程あったが、彼には人生の目的が無く、それを見つける為に彼は放浪していた。




ある日、出来のいい機械人形に目を付けた、とある大国の将軍が彼に、もっと大きな人間、例えば兵士などを作れないか?と持ち掛けた。




自分の機械人形に自信を持っていたアバルーダは、それを了承し、大国に用意された工房で、たった3日で試作の女性型機械兵を作り上げた。







「出来たか!アバルーダ!なんだそれは……女?女型じゃないか!?」




「試してみろ。形は俺の趣味さ。ここの兵士共は男ばかりで華が無い。目が腐っちまう」




アバルーダは何やら別の機械を作っているらしく、将軍の方など振り向きもしなかった。




(……なんだ、愛想の無い男だ。これで只の玩具に過ぎん物なら死罪にしてやる。この変態め)




心の中で将軍はアバルーダに毒づく。

彼が用意して欲しいと頼むものは、希少な鉱石なども多く、既に100万メロ以上の金額が消費されていた。

これで結果が出なければ、将軍の見当違いという事で、責任を取らねばならなくなる。




「……さて、どこを持ったものか。修練場までは少し距離があるな…」




この機械兵、見れば見る程引き込まれるような、まるで生きている人間を目の前にしている錯覚を覚える程、精巧に、そして生々しく作られていた。




スッ……




「…は?」




女性型の機械兵は将軍を避け、1人で工房の入口を抜けて歩いていってしまった。




「この城のマップの情報は埋め込んである。アンタの『修練場』っていう言葉に反応して歩いてったのさ」




またもやアバルーダは振り向きもせず、それが当然だと言うように素っ気なく答える。




「……お前にはこの工房以外の場所は教えていない筈だ」




「そこに蛇型の機械があるだろ。初日にソイツを何匹か城内を歩かせた。隠し部屋までバッチリよ。それより早く追っかけた方が良いんじゃないか?」




「…クッ…!アバルーダ!その話、後で詳しく聞かせてもらうぞ!勝手に城内を探りおって…!!」




憤る将軍はアバルーダにそう言い残すと、大股で部屋を出ていった。




「短気は損気だ、禿げるぜ将軍」




そんなアバルーダの手元には、車輪のような物が4つ用意されていた。







自立して歩いていった機械兵は、修練場の中央で待機していた。

将軍は途中で腕利きの兵士を3名指名し、修練場へと連れてきた。

周囲には途中で機械兵を見つけた兵士たちが、ゾロゾロと集まりだしている。




「しかし舐められたもんだな。こんな玩具が相手とは」




「良いね、一家に一台欲しいぜ」




「…くだらん」




3人の兵士は、それぞれ三者三様の反応を示し、剣を抜いた。

周囲の兵士たちも、茶番だとヘラヘラ笑いながら機械兵と兵士の戦いを見物していた。




「音声だったか……では、前方3名の兵士との模擬戦闘……開始!」




「行くぜぇっ!」




「よっしゃあっ!」




「…フン」






……………







一瞬の出来事だった。




機械兵は手から鋭い爪を出し、兵士3名の首を綺麗にもぎ取った。

兵士の首からは鮮やかな血液が噴き出し、残された身体はガクガクと震えその場に倒れた。




「う、嘘でしょ……!?うっ……おぇぇッ…!」




「ひッ……ヒィイッ!!」




見物していた給仕の女性たちから悲鳴が上がる。

兵士たちは一瞬で死んだ仲間の亡骸を見て、呆然としていた。




「……ここにいる全兵士に告げる。機械技師の男、アバルーダを殺せ。良いか、機械兵の設計図だけは何としてでも他国に渡してはならん。これは……この大陸、いや、世界の勢力図を塗り替えるぞ……!」




ザワ……ザワ……




兵士達は、今起こった出来事と、将軍の発した言葉にどよめくが、心中では一種の諦めのような、仕方ないという思いが渦巻いていた。

アバルーダがこの国の専属機械技師となるなら良いが、この国を出るなら話は別だ。

他国がこの力を得た場合、今惨殺された兵士と、同じ末路を辿るのは自分達だ。







コンコン……




「アバルーダ殿!入っても宜しいか!」




工房の前にはかなりの人数の兵士が待機しており、全員が剣の柄に手を掛けており、アバルーダを決して逃がさない様、気を張りつめていた。




「ちょい待て……3、2、1……」







ボォォォンッッ!!!







「なッ!なんだァッ!?」




アバルーダのカウント共に工房のドアが壁ごと吹っ飛び、待機していた大勢の兵士が窓ガラスを突き破りながら中庭に吹っ飛んだ。

そして彼らの頭上を飛び越える謎の影が現れる。




「過ぎたるは及ばざるが如し。これはお前らに使いこなせるモンじゃない。設計図は俺の頭ン中さ」




車の先駆けとも言える、中型の四輪駆動の移動用機械に乗ったアバルーダは、城の正面入口目指して爆走する。

その途中で機械兵も回収し、後部座席に乗せる。




「機械とデートか、悪くないな」




「おーれはァ〜!走るゥー!!地平線のォ〜彼方までェー!!ハイご一緒にィー!!」




「アバルーダ!止まれ!」




入口の門前には将軍が待ち構えており、気持ち良く歌いながら爆走するアバルーダの前に立ちはだかるつもりだ。




「国に興味を持たせてもらった事は礼を言うぜ。等身大の機械兵なんざ作ろうとも思わなかった。やっぱ男ならでっかい夢だよなー。今まで人生の目的を探す為に世界中歩き回ったが、やる事決まったわ」




ゴオオオオオオオオ……!!!




アバルーダは速度を緩めるどころか、更にスピードを上げ、将軍へと真っ直ぐ向かっていく。




「クッ…!ア、アバルーダ!俺を部下にしてくれ!将軍の経験を活かし」




「どーん」




ドーンッ!!




「うおおおおおお!?!?!」




ドボォーンッ!!




国を裏切ろうとした将軍はそのままアバルーダに弾き飛ばされ、城を取り囲む堀へと落とされた。

アバルーダは城下町を爆走し、そのまま真っ直ぐ国を脱出した。




「よぉーし飛ばせ飛ばせ!ハハハハ!!」







こうして国を脱出したアバルーダは、リズアニア大陸に広がる巨大な森林を開拓し、機械大帝国『アンビシャス』を創り上げた。

アンビシャスの王として君臨したアバルーダは、歳を取り弱った身体の一部を機械化し、人の世界に飽きるまで生きた。

300年後のある夜、「もう満足したわ。じゃあな、皆元気でやれよ」と言い残し、機械心臓の維持装置を停止し、彼は眠る様に息を引き取った。










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