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第41話 剣と花の刻印

また書いていたら切る部分を見失い、長くなってしまいました。


なのでまたキリの良い所を作り出し、チョッキン。


ところで今、千年夜の覚醒鬼などを、かなり書き直しているのですが、まぁ誤字が多い。

恥ずかしい限りです。


近々書き直したバージョンに差し替える予定です。

もう少しソルシエラとヴァスターリアの繋がりが、詳しく見えるようにしました。




城へ辿り着いた大工団と、センヤとメロ。

津波のように現れたオッサン達の突然の来訪に、出迎えたアッシャーを含めた城護、キリナさんと子供たち、そしてサナは少し引き気味に驚いていた。




「すまない、アッシャー、連絡をすべきだった」




「いえ、こんな時にこそ、主護である私の真価が問われるのですが……ですが………少し、勢いに驚いてしまいました。………お恥ずかしい限りです」




アッシャーの胃に大ダメージを与えてしまった。

センヤ不在の間は、王の代わりに、一番近くで王の身の回りの世話をこなす彼女が、この城の指揮を執る。

なので城を空けていた時間は短かったが、自由人の城護達を纏めていたので、彼女は少しやつれているように見えた。

そこへむさ苦しいオッサン達が、追撃にと現れたのだ、もう胃が爆発しても仕方ない。




「げぇっ!?もう来たのかよ!」




「なんだ坊主、お前もここに居たのか。ははぁ、お前さん、この坊主から儂の話を聞いたな?」




騒ぎを聞きつけて2階から降りてきたテンガイ一派。

テンガイがロッシュを見るなり、露骨に嫌な顔をした。




「いやなに、坊主らも儂と同様、この大陸中を移動しているからな。ちょくちょく会うんだ」




「たまに仕事手伝わされるから嫌なんだよ……激務も激務。ほんと激務。ちょー激務」




仲間たちもうんうんと頷く。

どうやらロッシュは中々に人使いが荒いようだ。




「…何か、変わってる人多いね。勿論キリナさんは除いて」




メロが全員を見渡して感想を言う。

確かに、城護たちは中々に色物揃いだ。

すると、オッサン達をかき分けて、サナがこちらへとやって来た。




「おかえりなさい!センヤ様!……隣の方は……お知り合いですか?」




「メロだよ。色々あってアカツキ君とは協力関係になったの。宜しく」




「はい!宜しくおねがいします!」




サナがメロに、握手の右手を差し出した。

メロはパーカーのポケットから手を出し、それに応じる。

しかし、センヤは別の場所を見ていた。

握手の際に、袖からチラリと見えた謎の刻印。

やはり、アッシャーの話していた事は、事実のようであった。




「…サナ、右腕……大丈夫か?………いや、すまない、不用意な質問をした」




センヤは思わず聞いてしまった。

すぐに自分が配慮に欠けた事を聞いたと思い、サナに謝罪をする。




「私は大丈夫です!それに、なんだか前よりも……こう、なんでしょうか……パワーアップした感じです!」




サナは腕を捲り、センヤに謎の刻印を見せる。

そこには、1本の剣に、植物と花が絡み付いているような刻印が、右肩から腕の終わりまでに刻まれていた。




「そ、それなら良いんだが……」




痩せ我慢で言っている訳でも無さそうなので、これ以上の心配と追求は、逆効果だと思い、センヤはそれ以上の言及はしなかった。







「他の大工団の方々はホールで休んでいてほしい。ロッシュさんは俺とこちらへ」




センヤはアッシャーに紅茶だけを頼み、ロッシュと2人きりで応接間へと移動した。




────────────────────




「なるほど、領地の明確化と、国跡の作り直し、か。大きく出たな。お前さんも」




ガハハハハハ、とロッシュは笑う。

しかしその笑い方は「冗談だろう」という感じではなく、「面白い若者だ」というものであった。




「ロッシュさん。貴方の腕を見込んでお願いしたい」




センヤはロッシュに深々と頭を下げる。




「待て待て、頭を上げてくれ。可能か不可能かなら……無論、可能だ。だがしかし……1つ聞かせてくれ。お前さんは何故国を作り、一国の主となろうとする?」




老いて垂れた瞼の奥に光る瞳が、見定めるように真っ直ぐと、センヤを捉える。







「俺の願いは、この世界から全ての奴隷を、1人の尊厳ある人間として、解放する事です。まずは彼等を受け入れる場所、そして、俺は既に吸血鬼の王ではありますが、一国の王ともなれば、人の世界での発言力も得られると考えました」




「……この世界でその価値観を持つ者は少ないだろう。当然、反対する者も多い筈だ。それで利益を得ているもの、そして、利益こそ無いが、何かかしらの不利益を被る者。これは個人のみではない、大きな組織、下手をすれば国すら相手取る事もあるだろう。大きな恨みを買うぞ」




「……多少、強硬手段に出る事も俺は辞しません。俺は、俺を信じてこの身体を託した王に報いなければならない。そして、俺自身の願い………ロッシュさん、この話において、俺の本当の正体も知っておかなければなりません」




「………聞かせてくれ」




センヤは、ロッシュの視線をしっかりと見つめ返し、別世界の人間であった事、死してこの世界にやって来た事、吸血鬼の身体、ヴァスターリアについて、これまでの事を全て、彼に伝えた。










「……『回帰転生者』…か」




ロッシュは大きく唸り、頭を掻いた。

想像していたよりも、大きな事態が動いていた事を知り、少し纏める時間が必要な様であった。




「突拍子も無い話ですが……俺は何一つ嘘は吐いていません。これが、俺がロッシュさんにお話出来る全てです」




「……『転生者』の存在は、儂が若い頃から聞いていた。そして最近、魔法ではない『特異な能力』を持つ者が爆発的に増えてきている話も聞いた事がある」




『特異な能力』、『スキル』の事であろう。

ソルシエラやメロが使い、練度を積めば『覚醒』をし、能力の内容が更に強化・昇華される謎の能力。

ロッシュの口ぶりから、恐らく昔は『スキル』は存在しなかったのだろう。




「元々は別世界の存在である『転生者』の増加。そして千年の時を超え蘇った、人でも魔物でもない、世界の異端者(イレギュラー)……吸血鬼の王………。この世界の意思は、新たな未来を選ぼうとしているのか………」




ロッシュの瞳は自分の手を見ているが、どこか遠くへと想いを馳せるような、別の何かを見ているようであった。




「……ロッシュさん、世界を変えるには、貴方の力が不可欠です。どうか、宜しくお願いします」




センヤは再び、ロッシュへと深々と頭を下げた。

ロッシュは暫くの沈黙の後、意を決して口を開いた。




「……よぉし!引き受けた!なぁに、歴代のパラツオの男で、御先祖の恩人からこんなデッカイ依頼を受けるなんて、俺は一族の誇りになるだろうよ!!リズアニアに修行に出てる馬鹿息子も少しは見直すだろう!ガハハハハハハ!!!!」




「ロッシュさん…!!改めて、宜しくお願いします!」




センヤとロッシュは再び固い握手を交わし、ここに、国を作る為の契約が結ばれた。




「…早速なんですが、デュラハルド大陸の地図を見て頂きたい。この大陸に国は……」




センヤとロッシュの話し合いは、深夜まで続いた。







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